「ヒノキの香り、と書いてあっても、本当に木から採った香りなのか分からない」。
そう思ったら、選ぶのは和精油です。日本の木の幹や枝葉、果実の皮を蒸留して採った、植物そのものの香り。ボトルの裏には、どの植物の、どの部分から、どうやって採ったかが書いてあります。
仕事を終えたあとのリラックスタイムに、寝る前のひとときに、気分を切り替えたい昼下がりに。この記事では、飛騨の森の手入れで出た枝葉を蒸留するyuica、ゆずの村・高知県馬路村の農協、吉野のひのき、北見のハッカまで、国産の精油5本を、香らせたい時間ごとに紹介します。あわせて、ラベルの見方と、使う前に知っておきたい安全な使い方もまとめました。
【早見表】国産の和精油5本
| 商品 | 香り | こんな時間に | つくり手・産地 |
|---|---|---|---|
| yuica ヒノキ(木部) | ヒノキの木材そのもの | 夜のリラックスタイム・寝る前のひととき | 正プラス/岐阜・飛騨高山 |
| インセント 吉野ひのき | すっきりした木の香り | お風呂・はじめての和精油 | 原産国 日本(紀伊) |
| 馬路村農協 ユズ | 甘くやわらかな柑橘 | 朝の支度・冬の夜のくつろぎ | 馬路村農業協同組合/高知県 |
| yuica クロモジ(枝葉部) | 凛として、やわらかく甘い | 来客の前の玄関・特別な夜 | 正プラス/岐阜・飛騨高山 |
| 北見ハッカ通商 ハッカ油 | すっと抜ける清涼感 | 気分を切り替えたい昼・夏の部屋 | 北見ハッカ通商/北海道北見市 |
1. 和精油は、日本の木と果実から蒸留した香り
森の手入れで出た枝葉が、一滴の香りになる
精油(エッセンシャルオイル)は、植物の幹や枝葉、花、果皮などから採った、香りの成分を集めたものです。日本の木や果実から採ったものを、和精油と呼びます。
たとえば岐阜県高山市のyuicaは、森の手入れのために伐った枝葉や、間伐で出た木を原料にしています。それを山の伏流水を使って水蒸気で蒸留し、蒸留を終えた枝葉は腐葉土にして森へ返す。一本の小瓶の向こうに、手入れされた森があります。
2. ラベルで見る4つ|学名・抽出部位・抽出方法・原産国
「どの植物の、どこを、どうやって、どこで」
精油のボトルや商品ページには、次の4つが書かれているものを選んでください。
- 学名:ヒノキなら Chamaecyparis obtusa。和名だけでは植物が特定できないことがあります。
- 抽出部位:木部、枝葉部、葉部、果実など。同じ植物でも部位が違うと香りが変わります。
- 抽出方法:水蒸気蒸留法、圧搾法など。
- 原産国:どこで育った植物か。国産を選ぶなら、ここを見ます。
「ヒノキの香り」と書いてあっても、この4つがなく成分に「香料」とだけあるものは、植物から採った精油とは別のものです。
豆知識:「AEAJ表示基準適合認定精油」は、何を認定しているのか
精油のラベルで見かける「AEAJ表示基準適合認定精油」は、日本アロマ環境協会(AEAJ)が定めた表示の基準に合っているという意味です。学名や抽出部位などが正しく書かれているかの目印にはなりますが、AEAJ自身が「あたかも精油の品質そのものを認定されたかのような誤解を受ける表現は絶対に慎んでください」としています。品質や安全を保証するマークではないことを知っておくと、ラベルを正しく読めます。
3. 日本の森と畑から、国産の和精油5本
どれも原産国が日本の精油です。木の香り、柑橘の香り、甘い枝葉の香り、すっと抜ける香り。部屋や気分に合わせて選んでください。
【ヒノキ】yuica|エッセンシャルオイル ヒノキ(木部)
同じヒノキを、木・枝葉・葉に分けて蒸留する。
yuicaをつくる正プラスは、家具づくりのオークヴィレッジの工房と同じ敷地、飛騨の里山で精油を蒸留しています。ヒノキは木部・枝葉部・葉部をそれぞれ別に蒸留していて、部位によって香りの成分の組み合わせが大きく違うのだといいます。
木部は、ヒノキの木材そのものの香り。夜のリラックスタイムや、寝る前のひとときに。森の手入れで伐った木や枝葉を、山の伏流水で蒸留した国産の一本です。慣れてきたら枝葉部や葉部と嗅ぎ比べて、部位による違いを楽しめます。
yuica エッセンシャルオイル ヒノキ(木部)5ml
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【ヒノキ】インセント|吉野ひのき
紀伊の吉野ひのきを、木部から。
学名 Chamaecyparis obtusa、原産国は日本(紀伊)、抽出部位は木部、抽出方法は水蒸気蒸留法と、ラベルの4項目がそろった一本です。AEAJ表示基準適合認定精油。
10mlで手に取りやすいので、はじめての和精油に。日本人ならどこか覚えのある、すっきりした木の香りです。お風呂の時間を、檜の香りで過ごしたい人に。
インセント 吉野ひのき エッセンシャルオイル 10ml(AEAJ表示基準適合認定精油)
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【ゆず】馬路村農協|ユズエッセンシャルオイル(高知県産)
ゆずの村の農協が、自分たちのゆずから。
高知県の山あいにある馬路村は、ゆずの村として知られています。そのゆずを育てる馬路村農業協同組合が、自ら製造元となってつくるゆずの精油です。
果実を、水蒸気蒸留法(マイクロ波抽出)で。冬至のゆず湯を思い出す、甘くやわらかな柑橘の香りです。朝の支度の時間や、冬の夜のくつろぎに。ポン酢やドリンクで知られる馬路村のゆずを、香りで楽しむ一本。
馬路村農協 ユズエッセンシャルオイル 水蒸気蒸留法(マイクロ波抽出)5mL 高知県産
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【クロモジ】yuica|エッセンシャルオイル クロモジ(枝葉部)
和菓子の楊枝の木は、甘い香りを持っている。
茶席で和菓子に添えられる楊枝の材として知られるクロモジ。その枝葉を蒸留した精油の主な香り成分は、リナロールと1,8-シネオールです。
yuicaは、凛とした香りながらもやわらかい甘さも感じる、と書いています。5mlで1万円ほどと値の張る精油ですが、yuicaを代表する香りのひとつです。来客の前に、玄関で一滴。
yuica エッセンシャルオイル クロモジ(枝葉部)5ml
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【ハッカ】北見ハッカ通商|ハッカ油
北見の会社がつくる、和種ハッカの香り。
北海道北見市の北見ハッカ通商は、ハッカの栽培から商品の製造・販売までを手がける会社です。原料の和種ハッカ(Mentha arvensis)は、メントールを多く含むのが特徴とされています。
ふたを開けると、すっと抜ける清涼感のある香り。夏の部屋や、気分を切り替えたい昼下がりに。香りが強いので、ほかの精油よりさらに少量から試してください。
北見ハッカ通商 ハッカ油 ボトル 20mL
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4. シーンで選ぶ|くつろぎ・寝る前・気分転換・来客
同じ精油でも、香らせる時間と場所で印象が変わります。5本を、香らせたい時間に当てはめてみました。
夜のリラックスタイムに:ヒノキ
仕事を終えて、ソファでくつろぐ時間に。yuicaのヒノキ(木部)や吉野ひのきをディフューザーで香らせると、部屋が木の香りに包まれます。お風呂に使えば、旅館の檜風呂を思わせる香りに。
寝る前のひとときに:ヒノキ・クロモジを枕元で
寝室では、香りは控えめに。アロマストーンや木片に1滴垂らして、枕元から少し離して置きます。木の香りならヒノキ(木部)、やわらかい甘さがほしい夜はクロモジを。ディフューザーを使うなら、眠る前に止めておきましょう。
気分を切り替えたいときに:ゆず・ハッカ
朝の支度や、仕事の合間の昼下がりに。甘くやわらかな柑橘のゆずか、すっと抜ける清涼感のハッカを。ハッカは香りが強いので、ほかの精油より少ない量から試してください。
来客の前に:クロモジを玄関で
お客さまを迎える前に、玄関のアロマストーンにクロモジを一滴。和菓子の楊枝の木として知られる香りは、ふだんの部屋の香りとは違う、少し特別な印象を残します。
5. 香らせ方|アロマストーン・ディフューザー・お風呂
枕元や机には「アロマストーン・ウッド」
素焼きの石や木片に精油を1〜2滴垂らすだけ。電気も水も使わず、すぐそばでふんわり香ります。寝る前の枕元や、仕事机に。
リビングには「ディフューザー」
部屋全体に香りを広げるなら、ディフューザーを使います。水と一緒に香りを広げる超音波式と、精油だけを細かい霧にするネブライザー式があります。ときどき換気をして、香りがこもりすぎないようにしましょう。
お風呂は「無水エタノールに混ぜてから」
精油は水に溶けにくいので、原液をそのままお湯に垂らすと浮いて肌に触れてしまいます。日本アロマ環境協会(AEAJ)は2020年に使い方を見直し、5mlほどの無水エタノールに精油を混ぜてからお湯に入れる方法をすすめています。ヒノキの木部やゆずの精油で、旅館のお風呂のような香りを。
6. 使う前に知っておきたいこと
精油は植物の香りの成分を集めたものなので、使い方には気をつけたい点があります。
- 原液を肌に直接つけない:肌に使うときは植物油などで薄めます。AEAJは、肌に使う前に低い濃度で試してから使うよう案内しています。
- 飲まない・目に入れない:子どもの手の届かない、直射日光の当たらない涼しい場所に、ふたを閉めて立てて保管します。
- 小さな子どもがいる家庭:AEAJは、3歳未満の子には香りを楽しむ芳香浴以外の使い方をしないよう案内しています。
- 妊娠中・持病がある・薬を飲んでいる:使う前に医師に相談してください。
- ペットがいる家庭:動物によっては精油の成分が負担になることがあります。とくに猫や小鳥がいる部屋で使う前には、獣医師に相談してください。
7. よくある質問(FAQ)
「和精油」と、アロマオイルや芳香剤はどう違いますか?
和精油は、日本の植物から採った香りの成分そのものです。ラベルに学名・抽出部位・抽出方法・原産国が書かれています。「アロマオイル」という名前でも、成分に「香料」とだけあるものは、植物から採った精油とは別のものです。買う前に成分の欄を見てください。
国産の精油は、なぜ値段が高めなのですか?
原料の量と手間によります。精油は、たくさんの枝葉や果実を蒸留して、わずかな量しか採れません。yuicaのように森の手入れで出た枝葉を集めて少しずつ蒸留するものは、小瓶でも値が張ります。少しずつ、数滴ずつ使うものなので、1本が長く持ちます。
開封後、どれくらいで使い切ればいいですか?
作り手の表示があれば、それに従ってください。目安としては、開封後おおむね1年以内、柑橘系はそれより早めに使い切ると、香りを楽しめます。空気や光、熱で香りが変わっていくので、ふたをしっかり閉めて冷暗所に立てて保管しましょう。
お風呂に入れてもいいですか?
原液をそのまま入れず、無水エタノールに混ぜてから入れてください。精油は水に溶けにくいので、そのまま垂らすと浮いて肌に触れます。AEAJは、5mlほどの無水エタノールに精油を混ぜてからお湯に入れる方法をすすめています。肌に合わないと感じたら、すぐに使うのをやめてください。
ペットがいる部屋で使っても大丈夫ですか?
使う前に、獣医師に相談してください。動物によっては精油の成分が負担になることがあり、とくに猫や小鳥は注意が必要とされています。使う場合も、ペットのいない部屋で、換気をしながら少量にとどめましょう。
同じヒノキでも、香りが違うのはなぜですか?
蒸留する部位と、育った場所が違うからです。yuicaはヒノキを木部・枝葉部・葉部に分けて蒸留していて、部位によって香りの成分の組み合わせが大きく違うといいます。吉野、飛騨など産地による違いもあるので、ラベルの抽出部位と原産国を見比べて、好みの一本を見つけてください。
8. まとめ:一滴の向こうに、日本の森と畑がある
森の手入れで出た枝葉を伏流水で蒸留するyuica、ゆずの村の農協がつくるゆずの精油、紀伊の吉野ひのき、北見のハッカ。和精油は、どこの、どの植物の、どの部分から採ったかが分かる香りです。
夜のリラックスタイムにはヒノキ、寝る前のひとときには枕元でヒノキやクロモジを一滴、気分を切り替えたいときはゆずやハッカを。選ぶときは、ラベルの学名・抽出部位・抽出方法・原産国の4つを。使うときは、原液を肌につけず、子どもやペットに気を配って。原産国「日本」の文字を手がかりに、ぜひ国産の一本を探してみてください。