白い磁器に、藍の筆あと。
有田の窯元には、窓の光にかざすと縁が透けて見えるほどの白を焼くところもあります。
佐賀県有田町は、日本で最初に磁器が焼かれたと言われる土地。陶工の李参平が泉山で陶石を見つけてから、400年あまり白い器を焼き続けてきました。
この記事では、古伊万里のこころを手描きで継ぐ源右衛門窯、光にかざすと透ける白と「フカガワブルー」の深川製磁、陶祖の住居跡に建つ李荘窯、そして釉薬をかけない1616/arita japanを、窯元ごとに紹介します。
【早見表】有田焼、どの窯元を選ぶ?
| 窯元 | 始まり | 見どころ | 食洗機 |
|---|---|---|---|
| 源右衛門窯 ▾ | 宝暦3年(1753年) | 古伊万里の文様を手描きで | 不可(組皿) |
| 深川製磁 ▾ | 明治27年(1894年) | 透ける白とフカガワブルー | 可(組飯碗) |
| 李荘窯 ▾ | 李参平の住居跡 | 削って模様を出す鎬 | 可(プレート) |
| 1616/arita japan ▾ | 2012年 | 釉薬をかけないマットな肌 | 可(オーブンも可) |
窯元名を押すと、その解説へ飛べます。使い方で選ぶなら6章 ▾へ。
1. 日本で最初の磁器が焼かれた町
泉山で見つかった、白い石
伝統的工芸品産業振興協会によると、有田焼の始まりは、陶工の李参平が有田の泉山で磁器の原料となる陶石を見つけたことです。「このとき焼かれたものが、日本で最初の磁器であると言われています」。
有田焼は、土ではなく陶石という石を砕いてつくります。陶石を粉にして粘土にし、形をつくって素焼きし、絵付けをして釉薬を掛け、1300度ぐらいの高温で焼き上げます。こうして生まれるのが、白く美しい磁肌と、食器としての丈夫さです。
豆知識:有田焼と伊万里焼は、同じもの?
有田でつくられた磁器は、近くの伊万里港から積み出されたので「伊万里焼」とも呼ばれました。伝統的工芸品としての名前も「伊万里・有田焼」です。
江戸時代にはオランダ商館を通じて大量に輸出され、とくに柿右衛門様式や古伊万里様式の磁器は、その美しさでヨーロッパの人々を魅了しました。
2. 源右衛門窯:古伊万里のこころを、手描きで
宝暦3年から、有田の丸尾で
源右衛門窯は宝暦3年(1753年)創業。敷地の一隅には土蔵造りの古伊万里資料館があり、暮らしのなかで使われてきた古伊万里の器が収められています。
窯元の言葉はこうです。「江戸時代から続く伝統的な技法で作り上げる器たち。私たち源右衛門窯は古伊万里のこころを継承しながら、これからも時代に合った製品を作り続けたい」。昭和30年代に、料亭向けの器から家庭の食器へと軸足を移しています。
源右衛門窯 染付唐草文 組皿|佐賀・有田町(ふるさと納税)
藍一色の唐草を手で描いた、深皿と受け皿の組です。深皿は直径13cm、受け皿は19cm。スープにも、煮物にも、デザートにも使えます。
有田町のふるさと納税の返礼品で、提供は源右衛門窯です。食洗機とオーブンは使えないので、手で洗って長く使う器です。
源右衛門窯 染付唐草文 組皿(有田町ふるさと納税)
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3. 深川製磁:光にかざすと透ける白と、フカガワブルー
1350度で焼き切る
深川製磁は、1650年ごろから有田で窯焚きを営んできた深川家の深川忠次が、明治27年(1894年)に設立した窯元です。忠次は1900年のパリ万博で、大壺を出品して金牌を受けています。
公式サイトが挙げる特徴は、「「フカガワブルー」と呼ばれる鮮やかな青、そして光にかざすと透けるほどの透白磁」。それを支えるのが、自分たちで行う生地づくり、自家調合の絵の具、そして通常より高い1350度での焼成です。
約600色の絵の具を、自分たちで調合する
深川製磁の絵の具は約600種類あり、そのほとんどが自家調合です。毎日の気温や湿度に合わせて、専門の職人が微妙に調節しています。呉須(青の絵の具)一色で、細かな陰影や濃淡まで描き分けるのは、7人の伝統工芸士をはじめとする職人の技です。
成形の職人は、「1mmの4分の1」の細かさまで感覚で判断すると、公式サイトは紹介しています。
深川製磁 丸紋(赤・呉須)組飯碗|佐賀・有田町(ふるさと納税)
赤と呉須の丸紋が、ひとつずつ入った夫婦茶碗です。径11.5cm、高さ7cmが2個。
電子レンジと食洗機が使えます。毎日のご飯茶碗として気がねなく使えます。有田町のふるさと納税の返礼品です。
深川製磁 丸紋(赤・呉須)組飯碗(有田町ふるさと納税)
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深川製磁 ブルーチャイナ 桔梗小付揃|佐賀・有田町(ふるさと納税)
フカガワブルーを楽しむなら、青の小付(小鉢)を。桔梗の形の小さな器がそろいます。
漬物や薬味、和え物を少しずつ盛ると、深川製磁の青が食卓に映えます。
深川製磁 ブルーチャイナ 桔梗小付揃(有田町ふるさと納税)
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豆知識:年に一度だけ、薪の登り窯を焚く
深川製磁は、ガスや電気を使わない創業当初の磁器づくりを受け継ぐため、毎年、昔ながらの登り窯「谷窯」で器を焼いています。
薪で1350度まで温度を上げ、焼成にかかるのはその日の気温や湿度によっておよそ30〜50時間。その間、職人たちが交代で火の番をします。
4. 李荘窯:陶祖の住居跡で、削って模様を出す
名前は、李参平の「李」
李荘窯の名前は、有田焼の陶祖とされる李参平の住居跡に創業したことから来ています。いまは四代目の寺内信二さんが窯を率い、古伊万里などの伝統的な絵柄を継ぐ染付にこだわっています。
もう一つの顔が「鎬(しのぎ)」のシリーズ。器の表面を削って筋の模様をつくる伝統的な鎬手の技法に、最新のデジタル技術を組み合わせています。光が当たると、削った筋に陰影が生まれます。
李荘窯 240鎬プレート 紺マット|佐賀・有田町
鎬の筋が入った、径24cmの紺色の皿です。マットな紺に、白い料理も色のある料理もよく映えます。
食洗機・電子レンジが使え、重ねてしまえるので、毎日のメインの皿に向いています。
李荘窯 240鎬プレート 紺マット
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5. 1616/arita japan:釉薬をかけない有田焼
ブランド名は、有田焼が始まった年
「1616」は、李参平が有田で日本最初の磁器をつくったとされる年です。2012年、デザイナーの柳原照弘さんがクリエイティブディレクターとなり、有田の人々と立ち上げました。製造元の百田陶園は、前身の百田家が1647年から1871年まで鍋島藩のもとで窯焼きに携わってきた家です。
柳原さんの「TY Palace」は、釉薬をあえてかけない磁器の皿。ザラッとして滑りにくい、マットで温かい手ざわりです。同じ年にミラノサローネに出て評価され、いまは20カ国以上で使われています。
1616/arita japan TY Palace プレート 160|佐賀・有田町
柳原照弘さんデザインの、直径約16.6cmの平皿です。パン皿、取り皿、ケーキ皿にちょうどいい大きさ。
オーブン・電子レンジ・食洗機が使えます。販売店によると、写真では白く見えても、実際は薄いグレーです。
1616/arita japan TY Palace プレート 160(柳原照弘)
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6. 使い方で選ぶ。食洗機と電子レンジ
① 毎日がしがし使うなら、食洗機が使えるものを
紹介した器のうち、深川製磁の組飯碗、李荘窯の鎬プレート、1616の TY Palace は食洗機・電子レンジとも使用可。TY Palace はオーブンにも入れられます。
一方、源右衛門窯の染付唐草文の組皿は、食洗機・オーブン不可です。手描きの藍を長く楽しむ器として、手で洗ってください。
② どんな食卓にしたいかで選ぶ
和の献立に古い器の風格を足したいなら、源右衛門窯の手描きの染付。白と青のすっきりした食卓なら、深川製磁。和洋どちらにも合わせたいなら、李荘窯の紺の鎬皿か、1616のグレーの皿です。
7. よくある質問(FAQ)
有田焼は、いつ始まりましたか?
陶工の李参平が有田の泉山で陶石を見つけたことが始まりです。
伝統的工芸品産業振興協会は、このとき焼かれたものが「日本で最初の磁器であると言われています」と紹介しています。1616/arita japan は、その年を1616年としています。
有田焼と伊万里焼の違いは何ですか?
もともとは同じ産地の磁器です。
有田でつくられた磁器が伊万里港から積み出されたため、伊万里焼とも呼ばれました。伝統的工芸品の名前も「伊万里・有田焼」です。
「フカガワブルー」とは何ですか?
深川製磁の器に使われる、鮮やかな青のことです。
深川製磁は、自家調合の絵の具と1350度の焼成で、「光にかざすと透けるほどの透白磁」とこの青を生み出しています。
有田焼は食洗機で洗えますか?
器によって違います。
この記事で紹介した深川製磁の組飯碗、李荘窯の鎬プレート、1616の TY Palace は使用可。源右衛門窯の染付唐草文の組皿は使用不可です。それぞれの表示を確かめてください。
鎬(しのぎ)とは何ですか?
器の表面を削って、筋の模様をつくる技法です。
李荘窯は、この伝統的な鎬手の技法に最新のデジタル技術を組み合わせた器をつくっています。
有田焼を贈り物にするなら、何がいいですか?
夫婦やふたり暮らしには、深川製磁の組飯碗がおすすめです。
赤と呉須の丸紋が一つずつ入っています。器好きの人には、古伊万里の文様を手で描いた源右衛門窯の器も喜ばれます。
8. まとめ:光にかざすと、透ける白
有田は、日本で最初に磁器が焼かれたと言われる町です。
源右衛門窯は、宝暦3年から古伊万里のこころを手描きで継いでいます。深川製磁は、1350度で焼き切った、光にかざすと透ける白とフカガワブルー。李荘窯は、陶祖・李参平の住居跡で、削って模様を出す鎬の器を。1616/arita japanは、あえて釉薬をかけないマットな皿で、有田焼を世界の食卓へ運んでいます。
400年続く白い器を、ぜひ一つ食卓に。手に取って光にかざすたびに、有田の白を確かめられます。