「百」から、一画目の「一」を取ると「白」。だから99歳は白寿。
「米」の字は、八十八と読める。だから88歳は米寿です。
長寿祝いには、こうした名前の由来とともに、年齢ごとの祝い色があります。三越伊勢丹の一覧によると、還暦は赤、緑寿は緑、古希と喜寿は紫、傘寿と米寿は金茶、卒寿と白寿は白。
この記事では、その色ごとに、日本の産地の器を一つずつ選びました。毎日のお茶や晩酌で手に取れる、使える長寿祝いです。
【早見表】長寿祝いの祝い色と、その色の器
| お祝い(数え年) | 祝い色 | その色の器 |
|---|---|---|
| 還暦(61) ▾ | 赤 | 九谷焼 赤絵細描のぐい呑 |
| 緑寿(66) ▾ | 緑 | 会津塗 鉄錆塗の緑の箸 |
| 古希(70)・喜寿(77) ▾ | 紫 | 江戸切子 菊花の紫のロックグラス |
| 傘寿(80)・米寿(88) ▾ | 金茶 | 美濃焼 黄瀬戸の小さな碗 |
| 卒寿(90)・白寿(99) ▾ | 白 | 白山陶器 白磁千段の湯呑 |
お祝いの名前を押すと、その章へ飛べます。祝い色は三越伊勢丹の一覧によります。
1. 長寿祝いには、年齢ごとの祝い色がある
名前の由来は、言葉遊び
三越伊勢丹の案内によると、いまのような長寿祝いが一般の人々に広まったのは江戸時代のようです。お祝いは、正月や誕生日、9月の敬老の日にすることが多いとされています。
名前の由来も楽しいものばかりです。古希は杜甫の詩「人生七十古来稀なり」から。喜寿は「喜」の草書体が七を3つ書くように見えるから。傘寿は「傘」の俗字が八十に、卒寿は「卒」の俗字「卆」が九十に読めるから。そしてそれぞれに、祝い色が決まっています。
還暦だけは、満60歳で
三越伊勢丹によると、還暦は数え年61歳、または満60歳でお祝いします。ほかの長寿祝いは、数え年でも満年齢でもかまいません。
また、66歳の「緑寿」は、まだ現役の還暦世代のために、統計上の高齢者区分である満65歳を節目として祝うことにしたものだそうです。
2. 還暦の赤:九谷焼の赤絵細描
赤いちゃんちゃんこの代わりに
還暦は、生まれた年の干支に還ること。「赤ちゃんに還る」になぞらえて、昔は赤い頭巾やちゃんちゃんこを贈りましたが、最近はそうした光景はあまり見られないと三越伊勢丹は書いています。
赤を贈るなら、毎日使えるものに。石川の九谷焼の赤絵細描は、細い筆と赤い絵具で細かな線を描き込む技法です。第一人者の福島武山さんについて、北陸中日新聞は「一ミリの間に三本の線を描き」と伝えています。
福島礼子 ぐい呑 赤絵細描波千鳥文(桐箱)|石川・九谷焼
赤一色の細い線で、波と千鳥を描き込んだぐい呑です。福島武山さんの娘、福島礼子さんの作。直径6.4cm、桐箱入り。
晩酌が好きな人の還暦に。販売店は、長く使うために食洗機と電子レンジは使わないよう案内しています。
福島礼子 九谷焼 ぐい呑 赤絵細描波千鳥文(桐箱)
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豆知識:還暦の赤は、必須ではない
三越伊勢丹のよくある質問には、こうあります。「還暦に赤い物は必須? 必須ではありません」。赤は「新しい門出」「魔除け」の象徴として好まれるものの、本人の好みや実用性を優先するのが現代の考え方だそうです。
まだ若々しくて「還暦」と書くのが気が引ける相手には、「華」の字が十6つと一で61になることから、「賀華甲(がかこう)」という表書きもあります。
3. 緑寿の緑:会津塗の鉄錆塗
六十六は「緑緑(ろくろく)」
66歳の緑寿は、六十六を「緑緑(ろくろく)」と読むことから。祝い色は緑です。
福島の会津塗には、鉄の鋳物のような渋い肌を漆で写す「鉄錆塗」という技があります。会津若松の高橋商店の箸は、天然木の木地に鉄錆塗を施した、緑の一膳です。
会津塗 箸 鉄錆 緑 1膳(木製・漆)
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4. 古希・喜寿の紫:江戸切子の菊花
底をのぞくと、菊の文様
古希(70歳)と喜寿(77歳)の祝い色は紫です。紫のガラスに細かなカットを入れた江戸切子なら、祝い色をそのまま贈れます。
カガミクリスタルの直営店にある「菊花」は、伝統工芸士の鍋谷聰さんがデザインし、カットを施したロックグラスです。販売店の説明では、菊花をイメージしたカットが「万華鏡のような輝き」を放ち、上からのぞくと底面に細かく刻まれた菊の文様が見えます。
カガミクリスタル 江戸切子 菊花 ロックグラス 紫|伝統工芸士 鍋谷聰
容量240mlの、紫のロックグラスです。木箱入りで、しおりには英語も併記されています。
ウイスキーや焼酎のロックに。お酒を飲まない人なら、冷たいお茶を注いでも菊の文様が楽しめます。
カガミクリスタル 江戸切子 菊花 ロックグラス 紫(伝統工芸士 鍋谷聰・木箱)
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5. 傘寿・米寿の金茶:美濃焼の黄瀬戸
金茶に近い、落ち着いた黄色
傘寿(80歳)と米寿(88歳)の祝い色は、三越伊勢丹の一覧では金茶です(黄色とする案内もあります)。
岐阜の美濃焼の黄瀬戸は、金茶に近い落ち着いた黄色の釉の焼き物です。多治見の蔵珍窯の「こふく碗」は、ふつうの抹茶碗より一回り小さな形。窯元は「お茶碗の下から静かにうねるろくろ目は、まるで桃山時代の焼き物のよう」と書いています。
蔵珍窯 黄瀬戸こふく碗|岐阜・多治見
両手で包むとすっぽり収まる、小さな黄瀬戸の碗です。商品名は「コーヒーをいれても似合う抹茶碗」。
抹茶でも、煎茶でも、コーヒーでも。毎日のお茶の時間に使ってもらえる長寿祝いです。
蔵珍窯 黄瀬戸こふく碗(コーヒーをいれても似合う抹茶碗)
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6. 卒寿・白寿の白:波佐見の白磁千段
幾重にも彫った、ひかえめな白
卒寿(90歳)と白寿(99歳)の祝い色は白。白寿は、「百」から「一」を取ると「白」になることから名づけられました。
長崎・波佐見の白山陶器の「白磁千段」の湯呑は、販売店の言葉では「幾重にも施された千段彫が、ひかえめながら深みのある白磁の表情を引き出し、縁の茶色い錆絵具が器全体を引き締めて」います。真っ白ではなく、彫りの陰影がある白です。
白山陶器 白磁千段 ゆのみ(大)|長崎・波佐見
径約7.5cm、容量約230mlの白磁の湯呑です。販売店は「一般的な磁器ですので特別な扱いはいりません」と書いています。
毎日のお茶に。特別な手入れがいらないのも、90歳、99歳の方への贈りものにはうれしいところです。
白山陶器 白磁千段 ゆのみ(大)
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7. よくある質問(FAQ)
長寿祝いの色は、年齢ごとに何色ですか?
三越伊勢丹の一覧では、還暦は赤、緑寿は緑、古希と喜寿は紫、傘寿・半寿・米寿は金茶、卒寿と白寿は白です。
傘寿・米寿を黄色、卒寿を紫とする案内もあります。
還暦は満60歳ですか、数え年61歳ですか?
どちらでもお祝いします。
三越伊勢丹によると、還暦は数え年61歳または満60歳。ほかの長寿祝いは、数え年でも満年齢でもかまいません。
還暦祝いは、赤いものでないといけませんか?
必須ではありません。
三越伊勢丹は、本人の好みや実用性を優先するのが現代の考え方としています。赤を差し色にした小物や、赤にこだわらない上質な実用品も喜ばれるそうです。
のしの表書きは何と書けばいいですか?
三越伊勢丹の案内では、基本は「寿」や「祝還暦」「祝古希」などです。
還暦には紅白もろわな結びののし紙を使い、表書きは「還暦御祝」「賀華甲」なども使われます。
「白寿」は、なぜ99歳なのですか?
「百」から一画目の「一」を取ると「白」になるからです。
同じように、米寿は「米」の字が八十八に、卒寿は「卆」の字が九十に読めることから名づけられています。
長寿祝いは、いつお祝いすればいいですか?
正月や誕生日、9月の敬老の日にお祝いすることが多いとされています。
受注生産の品は届くまでに時間がかかるので、日にちが決まったら早めに注文してください。
8. まとめ:祝い色を、毎日手に取る器で
長寿祝いには、年齢ごとの祝い色があります。
還暦の赤は九谷焼の赤絵細描のぐい呑。緑寿の緑は会津塗の鉄錆塗の箸。古希・喜寿の紫は江戸切子の菊花のロックグラス。傘寿・米寿の金茶に近い美濃焼の黄瀬戸の碗。卒寿・白寿の白は波佐見の白磁千段の湯呑。
色はきっかけで、決まりではありません。相手が毎日手に取ってくれる器を選べば、それがいちばんの長寿祝いです。