漆の器というと、つややかな黒か朱を思い浮かべるかもしれません。
福島県の会津塗には、もっとたくさんの「塗り」があります。
米のもみ殻をまいて金の模様を出す「金虫喰(きんむしくい)塗」。鉄の鋳物のような肌を漆で写す「鉄錆塗」。器全体に布を貼って塗り重ねる「布着せ」。
この記事では、木製・本漆の会津塗の箸、椀、重箱を、塗りの技ごとに紹介します。扱い方もまとめました。
1. 会津塗は、塗りの引き出しが多い
室町の漆の木から、江戸の海外輸出まで
伝統的工芸品産業振興協会によると、会津塗の始まりは室町時代。この地方で力のあった一族が、漆の木を植えることを奨励しました。安土桃山時代には近江から来た武将が近江の漆器職人を呼び寄せ、会津の漆器づくりは一気に産業になります。
京都から蒔絵の技術も取り入れ、江戸時代中期には幕府の許可を得て、海外輸出を試みるまでになりました。協会が見どころに挙げるのは「多彩な塗りの技法」。鉄錆塗、金虫くい塗、木目の美しい木地呂塗などです。
見えない工程が、塗物の質を決める
会津塗の漆は天然漆、木地はホオ、トチ、ケヤキ、センなどの木です。仕事は、木地づくり・下地づくり・上塗り・加飾の工程ごとに、さらに丸いもの・板状のものなど種類ごとに分担されています。
協会はこう書いています。「特に本地の乾燥具合、下地作りなど、表面に見えない工程が塗物の質を決めています」。
2. 金虫喰塗:もみ殻が描く金の模様
虫食いの跡のような、不規則な模様
協会は金虫くい塗を「米のもみ殻をまいて模様を出す」技法と紹介しています。販売店の説明では、虫食いの跡のような不規則な下塗りに金箔を貼り、漆を塗り重ねて研ぎ出す。
研ぎ出してはじめて模様が現れるので、どこにどんな金が出るかは一膳ずつ違います。同じものが二つとない、会津塗らしい技です。
会津 金虫喰 夫婦箸 23cm(桐箱入)|福島・会津
一膳一膳手作業でつくられた、一点ものの夫婦箸です。天然木に漆塗り、長さ23cm。
桐箱入りなので、結婚のお祝いや記念日の贈り物に。箸先まで、職人の技と色の違いを楽しめます。
会津 金虫喰 夫婦箸 23cm(桐箱入・漆)
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3. 鉄錆塗:鉄の鋳物を、漆で写す
漆に錆土を混ぜて描き、粉を蒔いて磨く
鉄錆塗は、協会が「渋みのある」と紹介する会津塗の技法です。伝統的工芸品の基準では、生漆に錆土などを混ぜたもので絵を描き、地の粉や砥の粉を蒔いて磨くとされています。
会津若松の高橋商店は、この箸を「鉄鋳物を漆で表現」したものと紹介しています。見た目は鉄の重みを感じさせながら、手に持てば木の軽さ。その意外さが楽しい箸です。
会津塗 箸 鉄錆 緑|福島・会津若松
天然木の木地に鉄錆塗を施した箸です。長さ23.5cm。
受注してから約1か月かけて届きます。自分のマイ箸に、記念の贈り物に。
会津塗 箸 鉄錆 緑 1膳(木製・漆)
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4. 布着せの椀:栃の器に、布を貼って塗り重ねる
会津の栃を、布でくるむ
高橋商店の「匠」の椀は、奥深い会津地方の栃材を使っています。器全体に布を貼り、幾重にも漆を塗り重ねて研ぎ出す技法でつくられ、販売店は「塗りが非常に硬く、大変丈夫に仕上がりました」と書いています。
販売店の言葉を借りれば、「素朴ながらも大変高級感が有り」。毎日の味噌汁に使える、木と漆の椀です。
会津塗 匠 3.8寸 石目布貼 椀 朱|福島・会津若松
栃の木に布を貼り、漆を塗り重ねた朱の汁椀です。径11.4cm、高さ6.4cm。
販売店は「会津の伝統的な工芸漆器の代表作品」と紹介しています。化粧箱入り。
会津塗 匠 3.8寸 石目布貼 椀 朱(栃・漆)
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会津塗 匠 3.8寸 石目布貼 夫婦椀 黒内朱/朱|福島・会津若松
同じ布着せの椀を、黒内朱と朱のふたつ組にした夫婦椀です。
買った人のレビューには「両親の金婚式の記念品に購入しました。会津塗の素朴で温かい風合いが大好き」とあります。
会津塗 匠 3.8寸 石目布貼 夫婦椀 黒内朱/朱(栃・漆)
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5. 溜塗の重箱と、南天の蒔絵
季節を問わない色に、難を転ずる南天
会津塗は、京都から取り入れた蒔絵も得意としてきました。高橋商店の三段重は、外が溜塗、内が朱。販売店は「溜塗のため、季節感を問わない漆色」と書いています。
そこに南天の蒔絵。南天は「難を転ずる」と言われる縁起の植物です。お正月のおせちにも、春の花見の弁当にも使えます。
会津塗 重箱 溜内朱 6.0 三段重 梨地南天|福島・会津若松
天然木に漆を手で塗った、6寸(約18cm角)の三段重です。高さ20cm、仕切り1本付き。
化粧箱入りで、新年を迎える贈り物にもなります。
会津塗 重箱 溜内朱 6.0 三段重 梨地南天(漆・手塗)
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豆知識:檜垣とひし形の箔「会津絵」
会津塗の加飾には、「会津絵」と呼ばれるものがあります。伝統的工芸品の基準では、檜垣(ひがき)を描いたあと、ひし形の箔を押すとされています。
ほかにも、雲形を描く「錦絵」、のみで彫った溝に箔や粉を入れる「沈金」など、会津塗の加飾の種類はたくさんあります。
6. 木と漆の器の、扱い方
① 電子レンジ・食洗機・オーブンは使わない
紹介した器は、どれも天然木に本漆です。金虫喰の夫婦箸の販売店は、「電子レンジ、食洗機、オーブン使用不可」と明記しています。木と漆の器は、手で洗うものと考えてください。
なお「会津塗」と名のつく器には、樹脂の素地で食洗機に対応したものもあります。買うときは、素材の欄で「天然木」「漆」を確かめると安心です。
② やわらかく洗い、すぐ拭く
同じ販売店の案内では、タワシや磨き粉は避け、やわらかいスポンジで洗う。長時間の水のつけ置きに注意し、できるだけ早く洗って、やわらかい布で水気をとる。そうすると長持ちします。
7. よくある質問(FAQ)
会津塗の特徴は何ですか?
縁起の良い図案と、多彩な塗りや加飾です。
伝統的工芸品産業振興協会は、鉄錆塗、金虫くい塗、木地呂塗などの多彩な塗りの技法を見どころに挙げています。
金虫喰塗(金虫くい塗)とは何ですか?
米のもみ殻などで虫食いの跡のような模様をつくり、金箔と漆で研ぎ出す技法です。
研ぎ出して初めて模様が現れるので、一膳ずつ違う表情になります。
会津塗は食洗機で洗えますか?
天然木・本漆の会津塗は、食洗機を使わないでください。
やわらかいスポンジで手洗いし、すぐに布で水気をとります。樹脂の素地で食洗機に対応した「会津塗」の器もあるので、素材の表示を確かめてください。
会津塗の木地には、どんな木を使いますか?
ホオ、トチ、ケヤキ、センなどです。
紹介した「匠」の椀は、会津地方の栃材を使っています。
会津塗の贈り物には、何がいいですか?
結婚祝いなら金虫喰の夫婦箸、長寿や記念日には布着せの夫婦椀がおすすめです。
どちらも二つ一組で、一点ずつ表情が違います。
会津塗はいつから続いていますか?
室町時代に、漆の木を植えることが奨励されたのが始まりです。
安土桃山時代に産業として大きく育ち、江戸時代中期には海外輸出も試みました。
8. まとめ:金のもみ殻、鉄の錆、布の目
会津塗は、塗りの引き出しが多い漆器です。
もみ殻が描く金虫喰の金の模様。鉄の鋳物を漆で写した鉄錆塗。栃の器を布でくるんで塗り重ねた、丈夫な布着せの椀。そして溜塗に南天の蒔絵の重箱。
木と漆の器は、やわらかく洗ってすぐ拭くだけで長く使えます。黒と朱だけではない漆器の世界を、会津塗で一つ手に取ってみてください。