すき焼き鍋は南部鉄器で|及源・岩鋳・釜定、人数と形で選ぶ

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黒い鉄鍋に牛脂をすべらせ、肉を一枚広げる。
じゅっという音と一緒に、すき焼きの夜が始まります。

その鉄鍋を、岩手の南部鉄器で選んでみませんか。伝統的工芸品産業振興協会は南部鉄器を「質実剛健」「丈夫で長持ち」と紹介しています。

同じ南部鉄器でも、作り手ごとに顔はさまざまです。この記事では、嘉永5年創業の及源鋳造、半世紀変わらない鍋を作る岩鋳、北欧に学んだ盛岡の釜定のすき焼き鍋を、人数に合う大きさと手入れの仕方とあわせて紹介します。

【早見表】南部鉄器のすき焼き鍋、どれを選ぶ?

鍋 人数の目安 重さ 見どころ
釜定 組鍋 中 ▾ 2〜3人 1.3kg 北欧に学んだすっきりした形
及源 すきやき鍋 24cm ▾ 3人 3kg 倒せる2本のツル
岩鋳 南部ツル付 26cm ▾ 3〜4人 (販売店に記載なし) 半世紀変わらない形、ガラス蓋付き
及源 六つアラレ 27cm ▾ 5〜6人 3.5kg 霰の文様、ロングライフデザイン賞

4つともIH対応です。使い始めの油慣らしは6章 ▾へ。

1. すき焼きの鉄鍋を、南部鉄器で

盛岡と奥州、ふたつの鋳物の町

伝統的工芸品産業振興協会によると、南部鉄器は17世紀の初め、南部藩が盛岡に京都から茶釜職人を招いたのが始まりです。一方、伊達藩のもとにあったいまの奥州市でも日用品の鋳物づくりが盛んで、昭和30年代から、盛岡と奥州の鋳物を合わせて「南部鉄器」と呼ぶようになりました。

すき焼き鍋の使い心地について、及源鋳造の鍋を扱う販売店はこう書いています。「野菜やしらたきを入れても温度が冷めず箸で突っついても動かない安定感」。買った人のレビューにも「熱の保持がいいので肉が美味い!」とありました。

黒い南部鉄器のすき焼き鍋で、牛肉と白ねぎ、焼き豆腐、しらたきが割下で煮えている水彩イラスト

2. 及源鋳造:嘉永5年からの鍋と、霰の文様

奥州水沢で、鍋釜を作り続けて

岩手県奥州市水沢の及源鋳造は、嘉永5年(1852年)創業。二代目の時代には、鍋釜を東北各地に売り歩いていたと沿革に書かれています。

「六つアラレすき焼鍋」は、工芸家の廣瀬慎さんのデザインで、グッドデザイン賞とロングライフデザイン賞を受けた鍋です(販売店の説明)。南部鉄器の代名詞のひとつ、「霰(あられ)」の粒の文様が入っています。協会は、霰の美しく並んだ粒を「作る人々の心の機微と温もりを感じさせてくれます」と紹介しています。

黒い鉄鍋の縁や持ち手に、小さな粒が規則正しく並んだ霰の文様が浮かんでいる水彩イラスト

及源鋳造 六つアラレすき焼鍋 特大27cm|岩手・奥州市

5〜6人向けの、霰の文様のすき焼き鍋です。重さ3.5kg、容量2.5L。縁があるので、吹きこぼれを抑えられます(販売店)。

IH・オーブン・直火に対応。家族や仲間が集まる冬の夜に、食卓の真ん中に置く鍋です。

及源鋳造 南部鉄器 盛栄堂 六つアラレすき焼鍋 特大27cm F-107

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及源鋳造 すきやき鍋 24cm つる付|岩手・奥州市

3人分にちょうどいい、内径24cmのすき焼き鍋です。重さ3kg、深さ56mm。

持ち手の2本のツルは倒せるので、食卓では邪魔にならず、しまうときもかさばりません。直火とIHに対応しています。

及源鋳造 盛栄堂 すきやき鍋 24cm つる付 CA-1

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3. 岩鋳:半世紀変わらない、ツル付きの鍋

余分なものを削ぎ落とした形

盛岡の岩鋳は、1902(明治35)年に岩清水末吉が始めた鉄器工房です(nippon.com)。いまは「IWACHU」の名で欧米でも知られ、売り上げの4割が海外市場だそうです。

すき焼き鍋は、「半世紀以上前から変わらず作られる「南部ツル付きシリーズ」」。販売店によると、ツルとの接続部分に余計な部品や隙間がないのでお手入れが簡単。漆黒の鍋肌が、料理の見た目を引き立てるとも書かれています。

両側に弧を描く鉄のツルが付いた、飾りのない黒い丸いすき焼き鍋の水彩イラスト

岩鋳 すきやき鍋 南部ツル付 26cm ガラス蓋付|岩手・盛岡

3〜4人用の26cm、ガラス蓋が付いています。IH・直火・ガスに対応。

蓋があるので、すき焼きのあとにおでんや煮込みにも使えます。半世紀作り続けられてきた形をそのまま家に。

岩鋳 南部鉄器 すきやき鍋 南部ツル付 26cm ガラス蓋付

商品情報を読み込み中…

4. 釜定:北欧に学んだ、盛岡の組鍋

「釜屋の定吉」から百年あまり

盛岡市紺屋町の釜定は、1908(明治41)年に「宮鉄瓶店」として創業しました。Discover Japanの取材で、3代目の宮伸穂さんは名前の由来を「初代の名前が定吉でしたから、愛称の『釜屋の定吉』から転じたんじゃないかな」と話しています。

宮さんは30歳のときフィンランドに渡り、スカンジナビアのデザインを研究しました。信条は、松尾芭蕉の「不易流行」と千利休の「守破離」。組鍋(すきやき鍋)は、余計なものをそぎ落とした、すっきりした形の鍋です。

楕円形で浅く、飾りのない端正な黒い鉄鍋が、白木のテーブルに置かれている北欧風の水彩イラスト

釜定 組鍋(すきやき鍋)中 19cm|岩手・盛岡(デザイン 宮伸穂)

2〜3人用、重さ1.3kgの組鍋です。外寸24×19cm、IH対応。

ひとり用の「小」(0.8kg)と、4〜5人用の「大」(2.8kg)もあります。ふたり暮らしのすき焼きに、軽くて扱いやすい大きさです。

釜定 南部鉄器 組鍋(すきやき鍋)中 19cm 宮伸穂デザイン

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5. 人数と重さで選ぶ

小さな楕円の鉄鍋、ツル付きの丸い鉄鍋、霰の文様の大きな鉄鍋が、大きさの順に並んでいる水彩イラスト
ふたりなら軽い組鍋、家族なら24〜26cm、大勢なら27cm。重さも一緒に見て選びます。

① 人数で大きさを決める

ふたりなら釜定の組鍋(中)、3人なら及源の24cm、3〜4人なら岩鋳の26cm、5〜6人なら及源の六つアラレ27cm。販売店や作り手が書いている人数の目安です。

② 重さも確かめる

鋳鉄の鍋は重さがあります。1.3kgの組鍋と、3.5kgの六つアラレでは、持ち運びの手ごたえがまるで違います。台所から食卓へ運ぶこと、洗って片づけることも考えて選んでください。
4つともIH調理器に対応しています。卓上で使うときは、カセットコンロやIHのサイズに合うかも見ておくと安心です。

6. 使い始めの油慣らしと、洗い方

最初に、野菜を油で炒める

及源鋳造は、鉄鍋を初めて使うときの「油慣らし」を案内しています。たっぷりの油で野菜を炒めるだけ。食材の焦げ付きやサビを抑えるためです。

手順は、ほこりを水で洗い、中火で水気を飛ばす。油とキャベツなどの葉野菜を入れて、鍋肌に油がなじむように炒める。野菜を取り出したら、たわしと温水で余分な油を洗い、もう一度中火で水気を飛ばす。これで準備は完了です。

黒い鉄鍋でキャベツの葉を油で炒めている、使い始めの油慣らしの水彩イラスト

食べ終えたら、鍋を空にして温水で洗う

及源鋳造のQ&Aによると、料理を鉄鍋に入れたまま放置すると、サビが発生しやすくなります。残ったすき焼きは、冷めきる前に保存容器に移しましょう。
洗うときはたわしで温水洗いが基本。ただし、高温の鉄鍋にいきなり水をかけると蒸気が激しく上がり、ヤケドのおそれがあります。手で触れられる程度に冷めてから洗い、最後に火にかけて水気を飛ばしてください。空焚きのしすぎにも注意します。

7. よくある質問(FAQ)

南部鉄器のすき焼き鍋は、IHで使えますか?

この記事で紹介した4つは、どれもIH対応です。
及源の六つアラレはオーブンにも対応しています。

使い始めに何をすればいいですか?

油と葉野菜で炒める「油慣らし」をします。
及源鋳造の案内では、たっぷりの油で野菜を炒め、たわしと温水で余分な油を洗い、火にかけて水気を飛ばせば準備完了です。

すき焼きが残ったら、鍋に入れたままでいいですか?

入れたままにせず、保存容器に移してください。
及源鋳造のQ&Aによると、料理を入れたまま放置するとサビが発生しやすくなります。

鉄鍋は洗剤で洗えますか?

及源鋳造は、たわしで温水洗いを基本としています。
こびりつきが取れないときは、鍋でお湯を沸かして汚れを浮かせる方法も案内しています。

ふたり暮らしには、どの大きさがいいですか?

釜定の組鍋の「中」(2〜3人用・1.3kg)がちょうどいい大きさです。
ひとり用の「小」もあります。

「南部鉄器」は、どこで作られていますか?

岩手県の盛岡と奥州(水沢)です。
昭和30年代から、両方の土地で作られた鋳物を総称して南部鉄器と呼んでいます。及源鋳造は奥州市、岩鋳と釜定は盛岡市にあります。

8. まとめ:黒い鉄鍋で、冬のすき焼きを

霰の文様の鉄鍋、ツル付きの鉄鍋、楕円の組鍋を縦に並べ、湯気の立つすき焼きを描いたまとめイラスト

すき焼き鍋は、岩手の南部鉄器で。

嘉永5年創業の及源鋳造は、霰の文様の六つアラレと、ツルを倒せる24cm。1902年創業の岩鋳は、半世紀変わらないツル付きの26cm。北欧に学んだ釜定は、ふたりにちょうどいい組鍋。

使い始めに油慣らしをして、食べ終えたら空にして温水で洗う。そうして使い込んだ黒い鍋で、今年の冬もじゅっと肉を焼いてください。

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