送別会の最後、花束と一緒に手渡す小さな箱。
家に帰って開けたら、明日からの毎日で使えるものが入っている。
三越伊勢丹の案内には、こんな一文があります。「定年退職の場合、本人への贈りものに加えて、これまで本人を支えてきた配偶者への記念の品を添えても喜ばれるでしょう」。
この記事では、送別会で手渡せる大きさの日本の器を、本人のためのものとご夫婦で使えるものに分けて紹介します。のしの目安も三越伊勢丹の案内からまとめました。
1. 送別会で、手渡せる大きさのものを
記念性と、実用性と、上質感
三越伊勢丹によると、職場の退職祝いは送別会や最終出社日に手渡すのが一般的です。だから大型・重量物は避ける。受け取った人が持ち帰りやすい大きさを選びましょう。
選び方の基本は「記念性×実用性×上質感」。そして「長く使える素材や工芸性を意識しましょう」とも書かれています。日本の産地の器は、まさにその条件にかなう贈りものです。
2. 書く:これからの手紙に、日本の万年筆
長く愛用できる筆記具は、節目の定番
三越伊勢丹は、「長く愛用できる筆記具や時計は節目にふさわしい定番」と書いています。仕事の書類から離れたあと、友人への手紙や日記を書く時間に、万年筆は似合います。
たとえばセーラー万年筆は、広島県呉市の工場でペン先をつくり、伊東屋の特集によると世界で唯一「21金ペン先」を手がけているメーカーです。金を多く含むペン先は、筆圧に合わせてよくしなります。
パイロット、セーラーなど日本の万年筆の名品と書き味の違いは、別の記事で比べています。
3. ひとりの晩酌に:手のひらのぐい呑
1ミリに3本の、赤い線
お酒が好きな人には、手のひらに収まるぐい呑を。石川の九谷焼には、細い筆と赤い絵具で細かな線を描き込む「赤絵細描」という技があります。第一人者の福島武山さんについて、北陸中日新聞は「一ミリの間に三本の線を描き」と伝えています。
ぐい呑なら、送別会で受け取っても片手に収まる小ささ。仕事を終えた夜、一杯ずつ、その細い線を眺める時間になります。
福島礼子 ぐい呑 赤絵細描波千鳥文(桐箱)|石川・九谷焼
直径6.4cm、高さ4.1cmの、桐箱入りのぐい呑です。福島武山さんの娘、福島礼子さんの作。
一つずつ手描きなので、絵付けの濃淡は一つひとつ違います。販売店は、長く使うために食洗機と電子レンジは使わないよう案内しています。
福島礼子 九谷焼 ぐい呑 赤絵細描波千鳥文(桐箱)
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4. 支えてきた人にも:夫婦湯呑
白い志野と、灰色の鼡志野
定年退職なら、三越伊勢丹が書くとおり、支えてきた配偶者の分も添えたいところです。ふたりで毎日使える夫婦湯呑なら、明日の朝から一緒にお茶が飲めます。
岐阜県多治見市の蔵珍窯の湯呑は、やわらかな白い長石釉の志野に赤い椿、灰色の鼡志野に白黒の椿。形も色も違うふたつを並べると、ひと組の夫婦湯呑になります。
蔵珍窯 志野赤椿 湯呑|岐阜・多治見(美濃焼)
白い志野に赤い椿、径8cm・高さ7.8cmの湯呑です。職人がひとつひとつ椿を描いています。
椿の赤は、蔵珍窯が紅柄を1000日かけて摺ってつくる赤絵の具です。
蔵珍窯 志野赤椿 湯呑
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蔵珍窯 鼡志野椿 湯呑|岐阜・多治見(美濃焼)
灰色の地に白黒の椿を全面に描いた、径9cm・高さ6.2cmの湯呑です。
志野赤椿と組み合わせて、ふたつで一組に。どちらがどちらを使うか、ふたりで決める楽しみもあります。
蔵珍窯 鼡志野椿 湯呑
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5. ふたりで乾杯:割れない錫のペア
これからの夕食に、ふたつのカップ
退職の日の夜、家でふたりで乾杯する。そのためのペアのカップもいい贈りものです。富山県高岡の能作は1916年創業の鋳物メーカーで、ビアカップは錫100%。落としても割れないので、毎日の食卓で気兼ねなく使えます。
能作 ビアカップ M 2個セット(錫100%・桐箱)|富山・高岡
約270mlの錫のビアカップがふたつ、能作のロゴ入りの桐箱に入っています。
ビールだけでなく、冷たいお茶や水割りにも。錫はやわらかく傷つきやすいので、やわらかいスポンジと中性洗剤で洗います。
能作 ビアカップ M 約270ml 2個セット(錫100%・桐箱)
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6. のしと渡し方の目安
三越伊勢丹の案内による目安
| 定年退職 | 結婚退職 | |
|---|---|---|
| 水引 | 紅白の蝶結び(もろわな結び) | 紅白の結び切り(ま結び)、または蝶結び |
| 表書き | 御退職祝、御祝、御退任祝、御贐(おはなむけ)など | 御結婚祝、寿、御贐など |
| 渡す時 | 送別会や最終出社日 | |
三越伊勢丹は、目上の方には「御餞別」は通常用いないとしています。また、退職の理由によってはお祝いの言葉がふさわしくないこともあるので、相手の事情に配慮して、静かにねぎらいの気持ちを贈ったほうがよい場合もある、と書いています。
7. よくある質問(FAQ)
退職祝いは、いつ渡せばいいですか?
送別会や最終出社日に渡すのが一般的です(三越伊勢丹)。
その場で手渡すので、大きすぎるものや重いものは避けるとよいとされています。
定年退職ののしは、何を選べばいいですか?
紅白の蝶結び(もろわな結び)で、表書きは「御退職祝」などが無難です。
三越伊勢丹は、目上の方には「御餞別」は通常用いないとしています。
配偶者にも何か贈ったほうがいいですか?
三越伊勢丹は、配偶者への記念の品を添えても喜ばれると書いています。
夫婦湯呑やペアのカップなら、ふたりで一緒に使えます。
退職祝いに、江戸切子はどうですか?
江戸切子の記事で、文様の意味と退職祝い向けの選び方をくわしく紹介しています。
グラスを贈りたいときは、そちらを参考にしてください。
名入れはしたほうがいいですか?
特別感は出ますが、相手の好みや使う場面を確かめられると安心です。
三越伊勢丹も、名入れは使用シーンや好みを事前に確認するよう案内しています。
器の手入れで気をつけることはありますか?
品ごとに違います。
赤絵細描のぐい呑は、販売店が食洗機と電子レンジを推奨していません。錫のカップはやわらかいスポンジと中性洗剤で洗います。手入れの仕方をメッセージに添えると親切です。
8. まとめ:明日からの毎日に、ひとつずつ
退職祝いは、送別会で手渡せる大きさの、長く使えるものを。
手紙を書く時間には日本の万年筆。ひとりの晩酌には九谷焼の赤絵細描のぐい呑。そして、支えてきた人と一緒に使える蔵珍窯の夫婦湯呑や能作の錫のペアカップ。
長い勤めの最後の日に、明日からの毎日で使うものを手渡す。それが、これからの時間へのいちばんのお祝いです。