七味唐辛子の選び方|浅草・京都・信州で「七つ」が違う

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「七味」に、決まった中身はありません。

信州・善光寺の八幡屋礒五郎は、自社サイトにこう書いています。「七味唐辛子を構成する素材には厳密な定義がありません。店ごとにそれぞれの《七味》があり、その調合に工夫があり」。

七つ入っていれば、七味。何を七つにするかは、店が決めています。浅草・京都・信州の三軒を並べてみると、共通しているのは四つだけでした。

残る三枠の使い方が、まるで違います。唐辛子を二種類入れて辛さを作る店もあれば、唐辛子以外の六枠をすべて香りの素材で埋める店もあります。

この記事では、三軒の中身、そこから読める設計の違い、そして保存の仕方までを順に見ていきます。

【早見表】三軒の「七つ」

店 創業 七つの中身
やげん堀(浅草) ▾ 1625年 唐辛子・焼唐辛子・黒胡麻・山椒・陳皮・けしの実・麻の実
七味家本舗(清水) ▾ 1655年 唐辛子・山椒・麻の実・白胡麻・黒胡麻・青のり・青紫蘇
八幡屋礒五郎(善光寺) ▾ 元文元年 唐辛子・陳皮・胡麻・麻種・紫蘇・山椒・生姜
共通しているもの 唐辛子・山椒・麻の実・胡麻の四つだけ。残る三枠の話へ ▾

中身は八幡屋礒五郎「七味三都物語」の記載によります。店名を押すと、その解説へ飛べます。

1. 共通していたのは、四つだけでした

三軒の中身を、並べてみます

八幡屋礒五郎の公式サイトには、浅草・京都・信州の三軒の配合が並べて載っています。自社のものだけでなく、他店のものも一緒にです。

並べてみると、三軒すべてに入っているのは、唐辛子・山椒・麻の実・胡麻の四つでした。七枠のうち四枠です。

残る三枠が、店ごとにまったく違います。やげん堀には焼唐辛子とけしの実。七味家本舗には青のりと青紫蘇。八幡屋礒五郎には生姜。重なりません。

七味の材料を小皿に一種類ずつ分けて並べた、俯瞰の写真
三軒の七味の中身を横に並べ、共通する四つとそれぞれ固有の三つを色分けした図
七枠のうち四枠は同じ。残る三枠が、店ごとに入れ替わります。

「七味」に、定義はありません

同じページにこう書かれています。「このように七味唐辛子を構成する素材には厳密な定義がありません。店ごとにそれぞれの《七味》があり、その調合に工夫があり」。
七つ入っていれば七味。何を七つにするかが、そのまま店の考え方になります。だから、買うときに見るのは中身の表示ということになります。

2. 浅草は、唐辛子を二種類入れます

生と、焼いたもの

東京・浅草のやげん堀。創業は1625年(寛永2年)です。七つの中身は、唐辛子、焼唐辛子、黒胡麻、山椒、陳皮、けしの実、麻の実。

最初の二つに注目してください。唐辛子と、焼唐辛子。唐辛子だけで、七枠のうち二枠を使っています。

公式の解説にはこうあります。「2種の唐辛子で辛さに深みを出し、香り高い山椒や胡麻の風味が特徴」。辛さを一種類で作らないという考え方です。

やげん堀 七味唐がらし 瓶入 18g|浅草・中島商店

浅草のやげん堀の七味です。唐辛子と焼唐辛子、二種類が入っています。

けしの実が入るのも、この三軒ではここだけです。小さな粒で、噛むとぷちぷちと弾けます。辛さのほかに、食感が乗るということでもあります。

卓上に置ける18gの瓶入りです。三軒を並べて食べ比べるなら、この大きさから。粉は湿気と光を嫌うので、使い切れる量で持つほうが香りは残ります。

やげん堀 七味唐がらし 瓶入 18g(中島商店・浅草)

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3. 京都は、六枠すべてを香りに使います

辛いものは、一つだけ

京都・清水の七味家本舗。創業は1655年(明暦年間)です。七つは、唐辛子、山椒、麻の実、白胡麻、黒胡麻、青のり、青紫蘇。

辛いものは、唐辛子ひとつだけです。残りの六枠に何が入っているかを見ると、山椒、麻の実、白胡麻、黒胡麻、青のり、青紫蘇。

公式の解説はこうです。「唐辛子以外すべて香りを持った素材を用い、香りを立たせています」。七枠のうち六枠を、香りに割り当てているということになります。

青のりと青紫蘇を含む、緑がかった七味を小皿に盛った寄りの写真

七味家本舗 七味唐がらし|京都・清水寺参道

京都・清水の七味家本舗の七味です。清水寺の参道、三年坂に店があります。

青のりと青紫蘇が入るのは、この三軒ではここだけです。粉の色にも出ます。赤一色ではなく、緑が混じって見えます。

白胡麻と黒胡麻の両方を使っているのも特徴です。胡麻を二枠使う、という配り方をしています。

七味家本舗 七味唐がらし(京都・清水寺参道 三年坂)

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4. 信州は、生姜が入ります

辛味と香りを、両方持つもの

信州・善光寺の八幡屋礒五郎。創業は元文元年(1736年)です。七つは、唐辛子、陳皮、胡麻、麻種、紫蘇、山椒、生姜。

生姜が入るのは、この三軒ではここだけです。生姜は、辛味も香りも持っています。どちらかに割り切らない枠が入っている、ということになります。

公式の解説は「辛味と香りの調和のとれた独特の味わい」。浅草が辛さに二枠、京都が香りに六枠。信州は、その両方を持つものを入れています。

干した生姜と陳皮を小皿に分けて並べ、そのわきに赤い七味を盛った写真
生姜は辛味と香りの両方を持ちます。どちらかに割り切らない枠が、七つのうちに入っています。

八幡屋礒五郎 七味唐辛子 18g 袋入り2袋|信州・善光寺

善光寺の門前で売られてきた七味です。袋入りなので、手持ちの容器に移して使えます。

陳皮と紫蘇が入るのは、浅草と信州の二軒。陳皮はみかんの皮を干したものです。柑橘の香りが、辛さの後ろに残ります。

三軒を比べるなら、まずここからという選び方もできます。中身が公式に並べて公開されている店です。

八幡屋礒五郎 七味唐辛子 18g 袋入り2袋セット(信州・善光寺)

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八幡屋礒五郎 七味缶 14g|定番の缶

同じ八幡屋礒五郎の、缶に入ったものです。振り出し口が付いていて、そのまま卓上に置けます。

七味は湿気を吸うと固まります。缶は光も通しません。袋より、開けてからの持ちがよくなります。

次のカードは、この缶に柚子が入ったものです。並べると、七枠の外に何かを足すという発想が見えます。

八幡屋礒五郎 七味缶 14g(信州名産・善光寺)

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八幡屋礒五郎 七味唐辛子(ゆず入り)|柚子を足したもの

同じ缶で、柚子が入ったものです。商品名に「ゆず入り」と書かれています。

七味は七つで決まっていますが、そこに何かを足した派生が作られています。定義が無いということは、こういうこともできるということでもあります。

柚子は、香りが立って、辛さの印象を軽くします。うどんや吸い物など、汁に落とすものに合わせやすくなります。

八幡屋礒五郎 七味唐辛子(ゆず入り)缶入

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5. 黒い七味も、あります

赤くない七味です

七味といえば赤い粉、という印象がありますが、京都・祇園の原了郭には「黒七味」があります。

名前のとおり、色が黒い。振り出すと、赤ではなく黒っぽい粉が出ます。器に落ちたときの見え方が、まったく違います。

白い料理に振ると、その差がよく分かります。豆腐、うどん、白身の魚。赤い七味とは、皿の上の景色が変わります。

黒っぽい七味と赤い七味を、白い小皿に並べて盛った寄りの写真

原了郭 黒七味 袋(大)8g|京都・祇園

京都・祇園の原了郭の黒七味です。袋入りで、手持ちの容器に移して使う形。

8gという量に、この粉の使い方が出ています。たくさん振るものではなく、ひとつまみで足りるもの。少量ずつ、長く使います。

詰め替え用としても使えます。次のカードの木筒に、これを足していくという持ち方ができます。

原了郭 黒七味 袋(大)8g(京都・祇園)

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原了郭 黒七味 四角(木筒)|入れ物ごと

同じ黒七味が、木の筒に入ったものです。中身は同じで、入れ物が変わります。

木筒は光を通しません。そして卓上に置いたときの姿が変わります。使うたびに手に取るものなので、そこは選ぶ理由になります。

中身が減ったら、袋入りを足していけます。筒はそのまま使い続けられます。

原了郭 黒七味 四角(木筒)(京都・祇園)

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6. 粉は、湿気と光に弱いものです

香りは、減っていきます

七味の七枠のうち、多くは香りのための素材です。山椒、陳皮、紫蘇、青のり。香りは、時間とともに飛びます。

買ったばかりのときがいちばん立っています。だから、大きい袋を長く置くより、小さいものを早く使い切るほうが、この調味料には合っています。

湯気の上で振らない。鍋やどんぶりの真上で振ると、缶の口から湿気が入ります。少し離して、手前に落とすようにします。

七味の缶と袋、小さな匙を並べて置いた写真

袋で買ったら、缶か筒へ

袋入りは、開けたあとの湿気と光を防げません。買ったら、缶や木筒に移すか、密閉できる容器に入れてください。
置き場所は、コンロの近くを避けます。熱と湯気がいちばん当たる場所だからです。戸棚に入れて、使うときだけ出すほうが香りは持ちます。

7. よくある質問(FAQ)

七味に、決まった七種はないのですか?

ありません。八幡屋礒五郎の公式サイトに「七味唐辛子を構成する素材には厳密な定義がありません。店ごとにそれぞれの《七味》があり、その調合に工夫があり」と書かれています。浅草・京都・信州の三軒を並べると、共通しているのは唐辛子・山椒・麻の実・胡麻の四つだけです。

最初の一つは、どれを選べばいいですか?

何に振るかで決まります。辛さを求めるなら唐辛子を二種類使う配合、香りを立てたいなら唐辛子以外を香りの素材で埋めた配合。中身の表示を読んで、入っているものから選べます。七味は中身が公開されている調味料です。

「一味」とは何が違うのですか?

一味は唐辛子だけを粉にしたものです。七味は、そこに六つの素材を加えたもの。辛さだけが欲しいなら一味、香りも一緒に乗せたいなら七味という使い分けになります。

黒七味は、普通の七味と何が違いますか?

まず、色が黒いことです。京都・祇園の原了郭が作っています。白い料理に振ると、赤い七味とは皿の見え方が変わります。量も8gなど少なめで売られていて、ひとつまみだけ落とす使い方に向いています。

どのくらい日持ちしますか?

傷むというより、香りが飛んでいきます。七枠のうち多くが香りのための素材だからです。大きい袋を長く置くより、小さいものを早く使い切るほうが向いています。袋で買ったら、缶や木筒に移してください。

鍋の上で振ってもいいですか?

湯気の真上は避けてください。缶の振り出し口から湿気が入り、中で固まる原因になります。少し離して、手前に落とすように振ります。置き場所も、コンロの近くではなく戸棚のほうが香りは持ちます。

8. まとめ:中身を読んでから選ぶ

三軒の七味と黒七味を小皿に並べた、まとめのイラスト

「七味」に、決まった中身はありません。八幡屋礒五郎の公式サイトに「七味唐辛子を構成する素材には厳密な定義がありません。店ごとにそれぞれの《七味》があり、その調合に工夫があり」と書かれています。

浅草・京都・信州の三軒を並べると、共通しているのは唐辛子・山椒・麻の実・胡麻の四つだけでした。残る三枠は重なりません。やげん堀には焼唐辛子とけしの実、七味家本舗には青のりと青紫蘇、八幡屋礒五郎には生姜。

七枠の使い方そのものが違います。浅草は唐辛子を二種類入れて辛さに深みを出し、京都は唐辛子以外の六枠すべてを香りの素材で埋め、信州は辛味と香りを両方持つ生姜を入れています。同じ七枠を、三通りに配っているということです。

京都・祇園には、赤くない黒七味もあります。白い料理に振ると、皿の上の景色が変わります。

七枠の多くは、香りのための素材です。だから香りは時間とともに減っていきます。小さいものを早く使い切る。袋で買ったら缶か木筒へ移す。湯気の真上で振らない。それだけで、買ったときの香りが長く残ります。中身が公開されている調味料なので、表示を読んでから選べます。

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