鍋に入れた大根おろしが、すぐに水っぽく溶けてしまう。焼き魚に添えたら、皿に水がたまった。
その差は大根ではなく、おろし器の歯にあるのかもしれません。
鬼おろしは、竹やステンレスの大きな歯で、大根を粗くおろす道具です。細かくすりつぶさないので、水気が出にくく、ザクザク、シャキシャキとした大根おろしになります。みぞれ鍋に入れても溶けすぎず、焼き魚やおろしそばにのせても形が残ります。
この記事では、明治27年創業の竹虎をはじめとする竹の鬼おろしと、燕三条のステンレスの鬼おろしを合わせて6つ紹介します。使い方と、竹の道具を長く使うための手入れもまとめました。
【早見表】日本製の鬼おろし6選
| 鬼おろし | 素材 | 作り手の土地 | こんな人に |
|---|---|---|---|
| 竹虎 竹製鬼おろし ▾ | 炭化した孟宗竹 | 高知・須崎 | 竹の専門店の一本を |
| 酒井産業 国産鬼おろし ▾ | 国産孟宗竹 | 日本 | 握りやすさで選びたい |
| 朱竹堂 炭化竹 鬼おろし ▾ | 炭化竹(九州産) | 九州 | 昔ながらの形が好き |
| 八木竹工業 鬼おろし&受け皿 ▾ | 竹 | 鹿児島・薩摩川内 | 受け皿ごと食卓に出したい |
| ツボエ 大鬼おろし金 ▾ | ステンレス厚板 | 新潟・燕 | たくさんおろす・洗いやすさ重視 |
| 下村工業 両面おろし ▾ | ステンレス・水切り付 | 新潟・燕三条 | 鬼おろしも薬味も1台で |
名前を押すと、その解説へ飛べます。
1. 鬼おろしは、粗くおろす道具。だから水っぽくならない
竹の歯が、鬼の歯に見えたから
高知の竹虎は、名前の由来をこう紹介しています。竹の刃が鬼の歯を連想させるから、鬼おろし。ふつうのおろし金の細かい目とはまったく違う、大きな三角の歯が並んでいます。
この歯で、大根をすりつぶさずに粗く削るようにおろします。竹虎は「竹は熱の伝導率が低いため食物をおろすのに熱を持たず素材を粗くおろせるため水分や食物繊維が逃げにくく、ふんわかシャキシャキとした大根おろしをすることができます」と書いています。
九州の竹工芸の店・朱竹堂も、鬼おろしなら大根やりんごを「水分を余り出さずに、荒おろし」できると書いています。水気が少なく、大根の粒が残った大根おろしになるので、鍋に入れても溶けきらず、ザクザクとした歯ごたえが残ります。
2. 竹の鬼おろし|竹虎と酒井産業
明治27年創業、竹の専門店が作る鬼おろし
竹虎(山岸竹材店)は、明治27年(1894年)に大阪で竹材商として創業し、二代目が高知県須崎市安和の「虎竹の里」へ拠点を移した竹の専門店です。竹虎が「日本唯一」と紹介する虎斑竹(とらふだけ)で知られています。
竹虎の鬼おろしは、炭化加工した国産の孟宗竹を、熟練の職人が竹工場で作っています。身の厚い孟宗竹を割って削り出し、磨き上げた本体に、竹の歯を切り込みにはめ込んで釘で留めてあります。持ち手には吊るして乾かすための穴があいています。
竹虎 竹製大根おろし(鬼おろし)|高知の竹の専門店から
130年以上竹を扱ってきた店の、炭化竹の鬼おろし。
国産の孟宗竹を炭化加工し、熟練の職人が仕上げています。炭化加工は、専用の釜で高温と圧力をかけて竹の内部まで蒸し焼きにする加工で、竹虎によれば薬剤を使わずに虫やカビに強くできます。
天然の竹を手作りしているので、形や色合いは1本ずつ少しずつ違います。竹皿とのセットもあり、おろしてそのまま食卓に出せます。
竹虎 竹製大根おろし(鬼おろし)単品
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酒井産業 国産 鬼おろし|握りやすく、削りやすい
国産の孟宗竹を使った、握りやすい鬼おろし。
生産国は日本。メーカーは「繊維質をできるだけ残しながら大根をおろせるので、みずみずしくふんわりシャキシャキの大根おろしに」と紹介しています。
歯を留めるネジはステンレス。握りやすいので削りやすく、子どもの離乳食作りにも使われています。食洗機は使えないので、手洗いしましょう。
酒井産業 国産 鬼おろし(竹製)
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3. 九州の竹で作る|炭化竹と、薩摩の竹職人
竹の国、九州の鬼おろし
竹工芸の朱竹堂が扱う鬼おろしは、九州産の竹を炭化させた「炭化竹」で作られています。販売ページの言葉では「昔懐かしい形の大根おろし」。大根やりんごを、水分をあまり出さずに荒くおろせます。
鹿児島県薩摩川内市の八木竹工業は、鹿児島の職人が手がける竹製の鬼おろしを、専用の受け皿とセットで作っています。おろした大根おろしを受け皿ごと食卓に出せるので、焼き魚や鍋の席で、その場でおろすこともできます。
豆知識:炭化竹が飴色なのは、蒸し焼きにしたから
炭化竹の鬼おろしは、生の竹よりも濃い飴色をしています。朱竹堂の説明によれば、竹を高圧釜で蒸し焼きにすると、竹に含まれるデンプン(糖質)が抜け、虫が喰わない、引き締まった堅い竹になるそうです。
あの色は塗ったものではなく、熱と圧力でつけた色。台所で毎日濡れて乾いてをくり返す道具のために、竹そのものを強くしてあるのです。
朱竹堂 炭化竹製 鬼おろし(推奨品)|九州産の竹で、昔ながらの形
九州の竹を炭化させた、堅く引き締まった鬼おろし。
国産・九州産の炭化竹を使った、竹工芸の店の「推奨品」です。大根のほか、りんごをすりおろしても水分が出すぎず、風味を残しておろせます。
ひと回り小さな「鬼おろし 小」もあります。一人分の焼き魚に添えるくらいなら、小さいほうが扱いやすいと思います。
朱竹堂 炭化竹製 鬼おろし 推奨品 40-306
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八木竹工業 鬼おろし&専用受け皿セット|鹿児島の竹職人の手仕事
おろして、受け皿ごと食卓へ。
鹿児島県薩摩川内市の八木竹工業の竹製品で、販売ページには「鹿児島県の職人が手掛けた」とあります。粗くおろせるので、水気が少なく食感のよい大根おろしができます。
専用の受け皿があるので、まな板を出さずに食卓でそのままおろせます。竹細工の工芸品として、贈り物にも向いています。
八木竹工業 鬼おろし&専用受け皿セット
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4. 燕三条のステンレス|ツボエと下村工業
ヤスリを作ってきた町の、鬼おろし金
新潟県燕市の株式会社ツボエは、創業当時、燕の主要産業だったヤスリの製造に取り組み、その技術を生かして刃物のメーカーになった会社です(販売ページに引用されたツボエ公式の紹介より)。
大鬼おろし金は、ステンレスの厚い板に大きな歯を立てた鬼おろし。業務用の特大・大は、刃が大きく板が厚いのが特徴で、たくさんの大根を続けておろせます。
豆知識:燕のものづくりは、和釘から始まった
ツボエの紹介には、燕市の製造業は古く寛永(1624年〜)の和釘から始まったとあります。釘からヤスリへ、ヤスリから刃物へ。
鬼おろし金の大きな歯は、金属を削ってきた町の技術から生まれています。
ツボエ 大鬼おろし金|ステンレス厚板で、ザクザクおろす
洗いやすいステンレスで、たくさんおろせる鬼おろし。
燕三条産のステンレス厚板。小・中・大・特大の4つの大きさがあり、販売店は「なつかしさを感じる素朴なおろし金」と紹介しています。
大根のほか、りんごなどの果物やハードチーズにも使えます。竹のように乾かす手間がないので、毎日使うならこちらという選び方もできます。
ツボエ 大鬼おろし金(ステンレス厚板)
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下村工業 フルベジ ふわシャキ両面おろし|鬼おろしも薬味も1台で
粗い面と細かい面、薬味用まで3通りにおろせる。
燕三条の下村工業が作る日本製のおろし器です。両面を使い分けて、鬼おろし・細目・薬味おろしの3通りができます。水切りとすべり止めが付いていて、おろした大根をこぼさずに水を切れます。
重さは133gと軽く、引き出しにしまいやすい大きさです。鬼おろしを試してみたい人の、最初の一台にも向いています。
下村工業 フルベジ ふわシャキ両面おろし 水切付 FV-659
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5. おろし方と、鬼おろしが合う料理
力を入れず、大きく動かす
鬼おろしは、歯が大きいぶん、軽い力で大きく動かすだけでおろせます。大根は皮をむいて、持ちやすい太さに切ってから。最後まで指でつまんでおろそうとすると、歯で手を傷つけることがあります。竹虎も、取り扱いには十分注意するよう案内しています。小さくなった端は、無理におろさず料理に回しましょう。
みぞれ鍋、焼き魚、おろしそば
- みぞれ鍋:粗い大根おろしは、煮ても溶けきらずに粒が残ります。たっぷり入れて、雪が積もったように仕上げます。
- 焼き魚:水気が少ないので、皿に水がたまりません。脂ののったさんまやぶりに。
- おろしそば・おろしうどん:シャキシャキとした食感が、冷たい麺によく合います。
- 大根以外にも:りんごやにんじん、ハードチーズも粗くおろせます(ツボエの紹介より)。
6. 竹の鬼おろしを長く使う手入れ
さっと洗って、吊るして乾かす
竹虎は、汚れたらさっと手早く水洗いして、完全に乾かすよう案内しています。竹虎の鬼おろしの持ち手に穴があいているのは、使ったあとに吊るして乾かせるようにするためです。
酒井産業の鬼おろしは食洗機が使えません。竹の道具は、つけ置きせず、洗ったらすぐに水気を切って風通しのよいところで乾かしましょう。
ステンレスの鬼おろしは、竹ほど乾かし方に気を使わずに済みます。毎日のように使うならステンレス、ときどき使って道具の手ざわりも楽しみたいなら竹、という選び方もあります。
7. よくある質問(FAQ)
鬼おろしと、ふつうのおろし金は何が違いますか?
歯の大きさと、おろし上がりの粗さが違います。鬼おろしは大きな歯で粗くおろすので、水気が出にくく、シャキシャキとした食感が残ります。細かいおろし金は、なめらかな大根おろしや薬味に向いています。
竹とステンレス、どちらがいいですか?
手ざわりと昔ながらの風合いなら竹、洗いやすさとたくさんおろすならステンレスです。竹は使ったら乾かす手間がありますが、軽く、手にやさしい道具です。燕三条のツボエの大鬼おろし金は、業務用の大きさもあります。
竹の鬼おろしにカビが生えないか心配です。
使ったらさっと洗って、完全に乾かすのが基本です。竹虎の鬼おろしは炭化加工で虫やカビに強くしてあり、持ち手の穴で吊るして乾かせます。つけ置きや食洗機は避けましょう。
みぞれ鍋には、どのくらい大根おろしを入れますか?
具が隠れるくらいたっぷり入れると、みぞれ鍋らしくなります。鬼おろしでおろした大根は煮ても溶けきらないので、多めに入れても水っぽくなりにくいのが利点です。
大根以外にも使えますか?
りんごやにんじん、ハードチーズなども粗くおろせます。ツボエは野菜のほか、りんごなどの果物やハードチーズにも使えると紹介しています。
おろすときに、手を切らないか心配です。
大根が小さくなったら、無理におろさないことです。鬼おろしは歯が大きいので、最後まで指でつまんでおろすと手に当たることがあります。持ちやすい長さのうちにおろし終え、残った端は煮物やみそ汁に使いましょう。
8. まとめ:ザクザクの大根おろしを、竹と燕三条の道具で
大根おろしが水っぽくなるのは、細かくすりつぶしているから。鬼おろしは、大きな歯で粗くおろすので、水気が少なくシャキシャキの大根おろしになります。
明治27年創業の竹虎は炭化した孟宗竹で、九州の朱竹堂は炭化竹で、鹿児島の八木竹工業は職人の手で。燕三条のツボエはヤスリの町の技術で、下村工業は粗い面と細かい面を1台に。竹とステンレス、どちらも日本の作り手が、大根をおいしくおろすために作った道具です。
今年の冬は、みぞれ鍋に鬼おろしの大根おろしを、たっぷりのせてみてください。