干し柿の表面をおおう、白い粉。
あれは、柿の中から浮き出てきたブドウ糖の結晶です。
長野の市田柿は、小ぶりな柿を何度も揉んで、すみずみまで粉をまとわせます。岐阜・美濃加茂の堂上蜂屋柿は、仕上げに稲わらのほうきで表面をやさしく掃いて、粉を吹かせます。
この記事では、農林水産省の地理的表示(GI)の登録簿をもとに、市田柿・堂上蜂屋柿・あんぽ柿、そして出雲の柿農家がつくる西条柿を紹介します。どれも届くのは12月から。予約の目安もまとめました。
1. 白い粉は、柿の中から出てきた甘さ
揉んで、掃いて、粉を吹かせる
市田柿のGI登録簿には、こう書かれています。「表面を覆う白い粉は、果肉内から水分と共に浸み出したブドウ糖の結晶」。カビではなく、柿そのものの甘さです。
産地では、この粉をきれいに吹かせるために手をかけます。市田柿はしっかり揉み込むことで、堂上蜂屋柿は稲わらのほうきで表面を掃くことで、粉をまとわせます。産地ごとに、手のかけ方が違うのです。
2. 市田柿:小さいから、何度も揉める
ひと口大で、羊羹のようにもっちり
長野県の南信州でつくられる市田柿は、干し上がりの平均が25gというひと口大の干し柿です。登録簿は果肉を「羊羹のようにやわらかでもっちりとした肉質」と書いています。
小ぶりだから、しっかり揉める。何度も揉んで仕上げることで、もっちり感が引き出され、「地肌が見えないくらい、凹んでいる部分にまで」白い粉が行き渡ります。
天竜川の川霧が、段丘をのぼってくる
市田柿の産地は、天竜川の両岸に続く河岸段丘の果樹園地帯です。晩秋から初冬、朝夕の冷え込みで天竜川やその支流から川霧が発生し、段丘をのぼってきます。この霧が、干し柿づくりにちょうどいい温度と湿度をつくります。
登録簿によると、自然乾燥では「早朝には、朝霧が触れることにより表面のしっとり感が生まれる」。機械で乾かす場合も、この川霧の効果を再現しているそうです。
市田柿 個包装化粧箱 大粒10粒|長野・高森町(JAみなみ信州)
市田柿の発祥の地、高森町のふるさと納税の返礼品です。提供はJAみなみ信州。一粒ずつの個包装で、28gの大粒が10粒入ります。
生産者の声として、こんな言葉が載っています。「吊るした柿を下す「はざ下ろし」のタイミングが一番難しいです。市田柿にきれいな粉が吹くまでは毎年やきもきさせられます」。発送は12月中旬から年末まで。お正月に間に合います。
市田柿 個包装化粧箱 大粒10粒(JAみなみ信州・高森町ふるさと納税・年内発送)
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市田柿 化粧箱 秀 約700g|長野・喬木村(JAみなみ信州)
約700gに24〜28粒。家族で冬じゅう楽しめる量です。
喬木村のふるさと納税の返礼品で、提供はJAみなみ信州。飯田・下伊那地域の市田柿が、12月中旬から下旬に届きます。
市田柿 化粧箱 秀 約700g 24〜28粒(JAみなみ信州・喬木村ふるさと納税)
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豆知識:市田柿は、神社の境内の一本の木から
登録簿によると、市田柿のもとになったのは、1800年代に下市田(いまの高森町)の伊勢社の境内にあった柿の古木です。その焼柿がおいしいと評判になり、接ぎ木で村じゅうに広まりました。
「市田柿」と名づけられたのは大正10年。東京の市場に出すときに、発祥の地名をとって銘打ったそうです。
3. 堂上蜂屋柿:手で揉み、稲わらのほうきで掃く
一本の枝に、実は一つ
岐阜県美濃加茂市の堂上蜂屋柿は、四角くて先がやや尖った渋柿からつくります。木には原則として一本の枝に一つしか実をつけさせず、250g以上の大玉に育てます。
皮は、四角い形を生かすために手作業でむきます。干し上がりは平均80g程度、最上級品は100gを超えます。果肉は飴色で、ゼリーの部分が多く、とろりとした食感です。
手もみの力加減を、柿ごとに変える
登録簿に書かれた加工の手順は、とても細やかです。表面が急に乾かないよう、1日以上かげ干ししてから天日に干す。乾燥の途中では手もみをします。柿の内側と外側の水分をそろえるための作業で、外側の乾燥が進んでいれば力を強めるなど、柿の状態で力加減を変えます。
そして仕上げに、稲わらでつくった「ニオボウキ」で表面をやさしく掃く。これで上品な白い粉が吹きます。出荷の基準も厳しく、60g未満のもの、大きなシワがあるもの、粉が厚すぎるものは出しません。
めぐみの農業協同組合 堂上蜂屋柿「寿」化粧箱8個入|岐阜・美濃加茂
一つ65g以上の堂上蜂屋柿が8個。美濃加茂市を管内にもつ、めぐみの農業協同組合の干し柿です。
出荷は12月下旬から3月中旬まで。年が明けてからの年始のあいさつや、春先の贈り物にも使えます。賞味期限は冷蔵で90日です。
めぐみの農業協同組合 堂上蜂屋柿「寿」化粧箱8個入
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豆知識:一度は途絶えかけ、一人の農家が作り直した
堂上蜂屋柿は、千年余り前から朝廷や幕府への献上品だったと言われています。「堂上」は、宮中にのぼる殿上人のこと。
ところが砂糖が出回るようになると需要が減り、つくる農家はほとんどいなくなりました。昭和5年、一人の農業者が再びつくり始め、近所の農家に呼びかけて少しずつ仲間を増やし、いまの堂上蜂屋柿ができあがったと、登録簿は伝えています。
4. あんぽ柿:とろりと半生。福島の五十沢で生まれた
干しぶどうの技術で、柿の色を残した
あんぽ柿は、半生でジューシーな干し柿です。GI「伊達のあんぽ柿」の説明には、「鮮やかなオレンジ色の果肉で、…半生でジューシーかつトロリとした口当たり」とあります。
生まれたのは、福島県伊達市梁川町の五十沢(いさざわ)地区。大正時代、村の人たちが柿の色を保つために、当時アメリカで干しぶどうの乾燥に使われていた方法を取り入れました。JAふくしま未来によると、大正11年に技術が確立し、翌12年に出荷組合ができています。
種まきうさぎ 五十沢 あんぽ柿 700g 化粧箱|福島・伊達市
あんぽ柿が生まれた五十沢の農家が、柿の栽培から干し上げまで手がけています。「原料の栽培から加工まで、手づくりで一つ一つ丁寧に仕上げました」。
一つ100g前後の大きなあんぽ柿が、700gで7〜10個。化粧箱入りです。出荷は12月15日ごろから。
種まきうさぎ 五十沢 あんぽ柿 700g 大サイズ7〜10個 化粧箱(福島県伊達市)
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JAふくしま未来 伊達のあんぽ柿 1kg|福島
産地のJAが届ける、3L〜5Lの大玉が9〜12個。
そのまま食べるほか、凍らせてシャーベットのようにして食べる方法も紹介されています。12月中旬から2月下旬まで届きます。
JAふくしま未来 伊達のあんぽ柿 1kg(3L〜5L 9〜12個)
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5. 西条柿:生で美味しい柿を、干し柿に
柿の専門農家・柿壺
島根県出雲市の柿壺は、約7ヘクタールの畑で西条柿を育てる柿の専門農家です。自分たちの畑の柿を、自分たちで干し柿にしています。
柿壺はこう書いています。「1年間とおして柿園を管理し、生でも美味しい西条柿を贅沢に干し柿にしました」。水分の残し方にこだわった、しっとりとした食感の干し柿です。
柿壺 西条柿の干し柿 8個セット|島根・出雲市
原材料は「西条柿(島根県出雲産)」だけ。柿壺が育てて干した柿を、一つずつ個包装にしています。
ギフト用は一つ50gの大玉が8個。常温で、賞味期限は製造から60日です。
柿壺 西条柿の干し柿 8個セット(島根県出雲市)
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6. 食感で選ぶ。届く時期と日持ち
① 食感で選ぶ
もっちりした歯ごたえが好きなら、市田柿。とろりとした果肉を味わうなら、堂上蜂屋柿。干し柿のかたさが苦手なら、半生のあんぽ柿。柿農家が育てた柿の味をそのまま楽しむなら、しっとりした西条柿です。
② 届く時期は12月から。予約は秋のうちに
秋に収穫した柿を干し上げてからの出荷なので、紹介した干し柿は届くのがどれも12月からです。市田柿は12月中旬〜年末、あんぽ柿は12月中旬から、堂上蜂屋柿は12月下旬から3月中旬まで。
お正月に食べたいなら、発送時期を確かめて、秋のうちに予約や申し込みを済ませておくと安心です。
③ 日持ちは、ものによって大きく違う
半生のあんぽ柿は日持ちが短めで、JAふくしま未来のものは製造から常温で20日、種まきうさぎのものは1か月です。市田柿(高森町)と西条柿(柿壺)は製造から60日、堂上蜂屋柿「寿」は冷蔵で90日。
高森町の市田柿の案内では、開封後は冷蔵庫か冷凍庫へ。未開封でも気温が高いときは冷蔵庫で保管するよう書かれています。
7. よくある質問(FAQ)
干し柿の白い粉は、カビではないのですか?
柿の中から浮き出たブドウ糖の結晶です。
市田柿のGI登録簿に「果肉内から水分と共に浸み出したブドウ糖の結晶」とあります。高森町の市田柿の案内によると、気温が高くなると溶けることがあります。
あんぽ柿と干し柿は、何が違いますか?
あんぽ柿は、半生でジューシーに仕上げた干し柿です。
GI「伊達のあんぽ柿」の説明では、鮮やかなオレンジ色の果肉で、「半生でジューシーかつトロリとした口当たり」とされています。福島県伊達市梁川町の五十沢地区で生まれました。
市田柿は、どうして小さいのですか?
市田柿という品種そのものが小ぶりだからです。
GI登録簿によると、原料の柿は100〜120gが中心で、干し上がりは平均25g。小さいので何度も揉むことができ、もっちりした食感とまんべんなく吹いた白い粉に仕上がります。
堂上蜂屋柿の「ニオボウキ」とは何ですか?
稲わらでつくったほうきです。
干し上げの終盤に、このほうきで柿の表面をやさしく掃く「ホウキがけ」をして、上品な白い粉を吹かせます。美濃加茂で受け継がれてきた技法です。
干し柿は、いつ届きますか?
紹介した干し柿は、どれも12月以降のお届けです。
市田柿とあんぽ柿は12月中旬から、堂上蜂屋柿は12月下旬から3月中旬までです。年内に欲しいなら、発送時期を確かめて早めに予約してください。
あんぽ柿は、どう食べるのがおすすめですか?
そのままでも、凍らせても食べられます。
JAふくしま未来は、凍らせてシャーベットのようにして食べる方法を紹介しています。日持ちが短めなので、届いたら早めに楽しんでください。
8. まとめ:白い粉の下の、飴色の甘さ
干し柿の白い粉は、柿の中から出てきた甘さです。その粉を吹かせるために、産地ごとに手のかけ方が違います。
市田柿は、ひと口大の柿を何度も揉んで、天竜川の川霧のなかで干し上げます。堂上蜂屋柿は、一本の枝に一つだけ実らせた大玉を、手で揉み、稲わらのほうきで掃いて仕上げます。あんぽ柿は、福島の五十沢で生まれた、とろりと半生の干し柿。西条柿は、出雲の柿農家が自分の畑の柿を干したものです。
届くのはどれも12月から。今年の冬は、ぜひ産地を選んで干し柿を取り寄せてみてください。割ったときの飴色に、きっと驚くはずです。