おせちは買うことにしても、黒豆と数の子と田作りだけは、自分で選んだものを重箱に入れたい。
そう思う人のための記事です。
丹波篠山の小田垣商店は、享保19年(1734年)の創業。明治に種苗店となってから、黒大豆の種を選び続けて、いまの大粒に育ててきた店です。北海道の塩数の子、国産の片口いわしでつくる田作りとあわせて紹介します。
黒豆を炊く前の水浸け、数の子の塩抜きの目安も、豆や数の子を扱う店の案内からまとめました。
1. 重箱の一の段を、自分で選ぶ
黒豆と数の子と田作り
重箱のふたを開けて、最初に目に入る一の段。祝い肴を詰めることの多いこの段に並ぶ黒豆、数の子、田作りは、素材そのものが見える三品です。黒豆は粒の大きさと艶、数の子は厚みと歯ごたえ、田作りは小魚の形。
どれも、産地と作り手で選べる食べものです。おせち全体は買うことにしても、この三品だけは自分で選ぶ。それだけで、重箱を開けたときの景色が変わります。
2. 丹波の黒豆:種を選び続けて、この大粒になった
金物商から、黒豆の種の店へ
兵庫県丹波篠山市の小田垣商店は、享保19年(1734年)、鋳物師の金物商として始まりました。明治元年に種苗店へ転業し、黒大豆の種子を扱い始めます。
公式サイトはこう書いています。「古くから栽培されてきた黒豆や小豆を先人の努力により幾多の選抜を繰り返し、今日の大粒で美味な大玉丹波黒大豆…に育てあげました」。あの大粒は、何代もかけて種を選び続けた結果です。
試験農場、研究会、そして「飛切」
沿革を読むと、小田垣商店が豆を育てる側にも手を伸ばしてきたことがわかります。昭和34年に試験農場を取得して黒大豆の系統比較栽培を始め、昭和46年には地元の農家を集めて第1回黒豆つくり研究会。
昭和48年には、「世の中で初めて」丹波黒大豆の作柄見本として枝豆を取引先へ送り始めました。そして昭和53年、店独自の規格「飛切」「飛切極上」を売り出しています。
小田垣商店 丹波の黒豆 飛切 400g|兵庫県・京都府産
小田垣商店が昭和53年に始めた独自の規格「飛切」の黒豆です。自分で炊くための乾燥豆。
家で炊けば、煮汁の甘さも硬さも好みにできます。賞味期限は購入日から1年。年末に炊くまで、涼しいところで待たせておけます。
小田垣商店 丹波の黒豆 飛切 400g(令和7年収穫)
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小田垣商店 丹波の黒大豆 煮豆 420g|京都産の黒豆
炊く時間がとれない年は、小田垣商店の煮豆を。固形量260g、重箱の一角を埋めるのにちょうどいい量です。
小田垣商店は昭和47年に、料理研究家・土井勝さん監修の黒豆煮のレシピをつくっています。黒豆を炊くことに、長く向き合ってきた店です。
小田垣商店 丹波の黒大豆 煮豆 420g
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豆知識:黒豆の店が、国の登録有形文化財に
小田垣商店の沿革によると、平成19年(2007年)、店舗や当家住宅など10件が国の登録有形文化財に登録されました。
300年近く同じ町で続いてきた店の建物が、いまも残っています。
3. 北海道の数の子:塩数の子を、家で戻す
原材料は「にしんの卵(北海道)」
塩数の子は、にしんの卵を塩漬けにしたものです。北海道留萌市の株式会社やまかがつくる塩数の子「煌」は、原材料の欄に「にしんの卵(北海道)、食塩」とあります。
買った人のレビューには「パリパリの国産数の子」「パキパキと大変良い歯ごたえ」。塩抜きをして、だし醤油に漬けておくだけで、一の段の主役になります。
やまか 北海道産 塩数の子「煌」500g|北海道・留萌(ふるさと納税)
北海道のにしんの卵を、留萌でつくった塩数の子です。500gの、たっぷりした量です。
留萌市のふるさと納税の返礼品として申し込めます。要冷蔵で、賞味期限は製造日から180日。塩抜きしてから味つけしてください。
やまか 北海道産 塩数の子「煌」500g(留萌市ふるさと納税)
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北海道産 天然塩数の子 特々大 1kg(1本羽)|産地・加工 北海道
一本45〜65gの、肉厚な「特々大」の数の子です。1kgでおよそ17〜20本。
販売している鈴木商店は「厚みがあり、見栄えが良く、歯ごたえもしっかり」と紹介しています。一本ずつが大きいので、切り分けて重箱に並べると見栄えがします。
北海道産 天然塩数の子 特々大サイズ 1kg(1本羽)
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4. 田作り:国産の片口いわしを、甘辛く
小魚と、しょうゆと、清酒
田作りは、小さな片口いわしを甘辛く炒りつけたもの。千葉県船橋市の石井食品の田づくりは、原材料の最初に「片口いわし(国産)」と書かれています。続くのは糖類、しょうゆ、なたね油、でん粉、清酒。
18gの小袋なので、元日の朝の一皿分にちょうどいい量です。常温で置いておけるのも、年末の冷蔵庫が満員になる時期には助かります。
石井食品 田づくり 18g|千葉・船橋(国産片口いわし)
国産の片口いわしでつくった、ひと皿分の田づくりです。
常温で保存できる小袋。黒豆と数の子を自分で用意する年も、田作りだけはこれで、という分け方ができます。
石井食品 田づくり 18g(国産片口いわし)
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5. 炊くか、買うか。手間と量で選ぶ
① 黒豆は、炊くか、煮豆か
時間があるなら、飛切の乾燥豆から。甘さも硬さも家の味にできます。年末が忙しいなら、小田垣商店の煮豆。どちらも小田垣商店が選んだ丹波の黒大豆です。乾燥豆は兵庫県か京都府産、煮豆の原材料は京都産の黒豆と表示されています。
② 数の子は、大きさと届け方で
一本の存在感を楽しむなら、特々大。留萌のつくり手から選ぶなら、やまかの「煌」。こちらは留萌市のふるさと納税で申し込む形です。どちらも塩数の子なので、塩抜きの時間を逆算して買っておきます。
③ 量は、三が日に食べる分だけ
祝い肴は、少しずつ箸をのばすもの。家族の人数と三が日の食事の回数から、必要な量を決めると余らせずに済みます。数の子は1kgでおよそ17〜20本、黒豆の煮豆は固形量260g、田作りは18gの小袋です。
6. 黒豆の水浸けと、数の子の塩抜き
黒豆:冬は半日、水に浸ける
豆の専門店・豆の水野は、飛切の下準備の目安をこう書いています。水浸けは「春〜秋は3〜4時間程度、冬期は半日程度」。
お正月に炊くなら冬なので、半日。前の晩に浸けて、翌日に炊き始めるくらいの段取りです。保存は直射日光と高温多湿を避けて。外が暖かい時期は、冷蔵庫の野菜室がすすめられています。
数の子:肉厚なものは、普通の倍の時間を
鈴木商店は、特々大の数の子についてこう案内しています。「肉厚な分。塩抜きに少し時間が掛ります。普通の倍くらい(12時間くらい)かかるので、急いで塩抜きしたい場合は水を替えたり、水の量を増やしてください」。
そして「必ず塩の抜け加減は味見して確認してください」。数の子の大きさで時間が変わるので、最後は自分の舌で決めます。食べる日の前日には始めておくと安心です。
7. よくある質問(FAQ)
丹波の黒豆の「飛切」とは何ですか?
丹波篠山の小田垣商店が、昭和53年に売り出した店独自の規格です。
同じときに「飛切極上」も始めています。小田垣商店は、明治から黒大豆の種を扱い、選抜を繰り返して大粒の丹波黒大豆を育ててきた店です。
黒豆は、どのくらい水に浸けますか?
豆の水野の目安では、春〜秋は3〜4時間程度、冬は半日程度です。
お正月用に年末に炊くなら、前の晩から浸けておく段取りが目安になります。
塩数の子の塩抜きには、どのくらいかかりますか?
大きさによって変わります。肉厚な特々大は、普通の倍の12時間くらいが目安です。
鈴木商店の案内です。急ぐときは水を替えたり増やしたりし、最後は味見で塩の抜け具合を確かめてください。
数の子は、いつごろ買っておけばいいですか?
塩数の子は日持ちするので、年末の混む前に用意しておけます。
やまかの「煌」は要冷蔵で製造日から180日、鈴木商店の数の子は出荷から冷蔵で約4か月が賞味期限です。冷蔵庫の場所を空けておいてください。
田作りは、日持ちしますか?
石井食品の田づくりは常温保存です。
年末に冷蔵庫が混み合う時期でも、置き場所に困りません。
黒豆の煮豆と乾燥豆、どちらを選べばいいですか?
家の味にしたいなら乾燥豆、手間をかけられない年は煮豆です。
小田垣商店はどちらも出しているので、同じ店の丹波の黒大豆から選べます。
8. まとめ:一の段は、産地で選ぶ
黒豆、数の子、田作り。重箱の一の段の三品は、素材と作り手で選べる食べものです。
丹波篠山の小田垣商店は、享保19年創業。明治から黒大豆の種を扱い、選抜を繰り返して、いまの大粒の丹波黒大豆に育ててきました。炊くなら「飛切」、忙しい年は煮豆を。
数の子は、北海道のにしんの卵の塩数の子。留萌のやまかの「煌」か、肉厚な特々大か。塩抜きは、大きいほど時間をかけて、最後は味見で。田作りは、国産の片口いわしで。
今年のお正月は、ぜひ一の段だけでも日本の産地のものを選んでみてください。重箱を開けたとき、大粒の黒豆が光るはずです。