「毎年の干支をそろえています」。
干支の置物を買った人のレビューに、こんな言葉が並んでいました。一年にひとつずつ増えて、十二年でひと巡り。棚の上に、家族の時間が並んでいく置物です。
2027年(令和9年)の干支は未(ひつじ)。この記事では、伊勢の一刀彫、愛媛の伊予一刀彫、石川の九谷焼の羊を紹介します。
伊勢の一刀彫は、四角い木を48面体まで彫り進めて形にするそうです。刃の跡を残したまま、羊が立ち上がります。飾り方と、一年たったあとのしまい方もまとめました。
【早見表】日本の干支の置物、どの羊を迎える?
| 産地・作り手 | 素材 | 見どころ | 大きさ |
|---|---|---|---|
| 伊勢一刀彫(宮忠) ▾ | 楠 | 48面体まで彫る刃の跡 | 手のひらに乗る(桐箱入り) |
| 伊予一刀彫(南雲) ▾ | ヒバ | 無駄な線を取り除いたころんとした形 | 小ぶり〜桐箱・台付き |
| 九谷焼(三代 仲田錦玉) ▾ | 磁器 | 白い粒を打った上絵 | 3号 |
作り手の名前を押すと、その解説へ飛べます。しまい方は6章 ▾へ。
1. 十二年で、ひと巡りする置物
一年にひとつずつ、棚に増えていく
干支の置物は、その年が終わっても役目が終わるわけではありません。翌年の干支を隣に並べ、また次の年に一つ。子どもが生まれた年の干支から並べ始めれば、十二年たったとき、棚の上にその子の十二年が並ぶことになります。
伊勢の宮忠で干支の一刀彫を買った人は、「毎年こちらの干支の動物を集めていきたい」と書いていました。同じ作り手で十二支をそろえると、刃の跡の調子や色合いがそろいやすくなります。
2. 伊勢一刀彫:宮大工の余技から、48面に彫る
四角い木から、48の面で羊を出す
三重県伊勢市で神棚や神具をつくる宮忠は、伊勢一刀彫をこう説明しています。「直方体の素材から48面体までの範囲に彫り進め目的の品に形作る手法を使ったもので自然な彫り跡が素朴さの中に力強さを感じさせる一品です」。
丸く磨き上げるのではなく、刃で落とした面をそのまま残して形にする。光が当たると、その面ごとに明るさが変わります。手に取ると、刃の跡を指でたどれる置物です。
式年遷宮の宮大工が、合間に彫ったもの
宮忠によると、伊勢の一刀彫は「20年ごとに行われる伊勢神宮の式年遷宮の御造営に携わる宮大工の余技として始められたものだと言われ」ているそうです。
最初は印籠や巾着の帯留めに使う根付が人気になり、戎や大黒、神鶏がよく彫られるようになったそうです。
伊勢 宮忠 伊勢一刀彫 干支 未|三重・伊勢
楠の角材から、刃の跡を残して彫り出した羊です。幅3.3cm・奥行7.2cm・高さ5.2cm。手のひらにすっぽり乗ります。
桐箱入り。一年飾ったら箱に戻して、次の年の干支を迎える。十二年分の桐箱が並んでいくのも楽しみのひとつです。
伊勢 宮忠 伊勢一刀彫 干支 未(楠材・桐箱入)
商品情報を読み込み中…
3. 伊予一刀彫:無駄な線を取り除いて、ころんと
道後温泉の近くの、木彫人形の作り手
愛媛県の観光サイトは、伊予一刀彫をこう紹介しています。「物の形の無駄なラインを取り除いていき、シンプルに表現していく木彫り」。その作り手のひとつが、松山・道後温泉の近くに店を構える南雲(なうん)です。
南雲の羊は、ころんと丸い。伊勢の一刀彫が角の面で見せるのに対して、こちらは線を減らした丸みと、やさしい彩色で見せます。同じ「一刀彫」でも、土地によって羊の顔がまるで違うのがおもしろいところです。
伊予一刀彫 南雲の十二支 未|愛媛
ヒバの木を彫った、ころんとした小さな羊です。人形は幅9cmほど、木の台付き。
十二支のシリーズなので、毎年同じ作り手でそろえられます。玄関の靴箱の上に、ちょうどいい大きさです。
伊予一刀彫 南雲の十二支 未(天然木ヒバ)
商品情報を読み込み中…
伊予一刀彫 南雲 ひのと未 陽 白|愛媛
毛氈と台、桐箱まで揃った、少し大きめの羊です。本体は12×9.5cm。
南雲は「穏やかに前へ進む羊のごとく、調和に満ちた一年が始まりますよう、心を込めてお作りした干支飾り」と書いています。お年賀の贈り物にも。
伊予一刀彫 南雲 ひのと未 陽 白(桐箱・毛氈・台付き)
商品情報を読み込み中…
豆知識:羊の郷土玩具は、土地ごとに素材が違う
山梨・市川大門の「めでたや」は、未年のぽち袋に日本各地の羊の郷土玩具を描いています。紹介されているのは羊張り子、きびがら細工、能古見人形。
木を彫った一刀彫の羊も含めて、同じ羊が、土地ごとにそれぞれの顔になるのが干支の置物のおもしろさです。
4. 九谷焼:白い粒を打って、羊を描く
極小の点を、密に打つ
石川県の九谷焼には、「青粒(あおちぶ)」という技法があります。九谷焼の産地メディア・九谷焼MAGによると、「極小の点を密集して描く、上絵の盛り上げ技法の1つ」。青のほかに、白粒や金粒もあります。
小松市の仲田錦玉は、三代にわたってこの粒を打ってきた家です。二代は、粒が渦のように見える「渦打ち」を編み出し、三代がその画風を受け継いでいます。
九谷焼 干支置物 未 白金盛桜花ちらし白粒 3号|三代 仲田錦玉
白い羊に、白い粒と白金の盛り、桜の花びら。近くで見ると、粒のひとつひとつが盛り上がっています。
作家の名前で選ぶ干支の置物です。年に一度の置物を、一生ものの器と同じ気持ちで選びたい人に。
九谷焼 3号 干支置物 未 白金盛桜花ちらし白粒/三代 仲田錦玉
商品情報を読み込み中…
5. 木か、焼き物か。毎年並べる場所から選ぶ
① 十二年並べるなら、同じ作り手で
毎年そろえていくつもりなら、十二支のシリーズがある作り手を選ぶと、並べたときに大きさや色合いがそろいます。南雲は「南雲の十二支」として、伊勢一刀彫の宮忠も子から亥まで、それぞれ干支ごとに出しています。
② 置く場所の奥行きを測っておく
伊勢一刀彫は奥行き7.2cm、南雲の小さな羊は台の奥行き9cm。靴箱の上や窓辺の細い棚なら、このくらいの大きさが収まります。毛氈や台が付くものは、台の大きさで考えてください。
③ 木の手触りか、焼き物の艶か
手に取って刃の跡を楽しむなら、木。光を受けて粒や白金が光るのを楽しむなら、九谷焼。どちらも、日本の作り手が一体ずつ仕上げた羊です。
6. 一年たったら、こうしまう
毛払いで埃を払い、箱へ
宮忠は、伊勢一刀彫の手入れをこう案内しています。「毛払いで埃を払い、乾いた柔らかい布で拭いてください」。彫り跡の溝に溜まった埃は、筆のような柔らかい毛で払うと落ちます。
しまうなら、付いてきた桐箱へ。並べて飾り続けるなら、ときどき埃を払うだけです。手放すときについて、宮忠は「お塩で清めたあと、処分してください」と書いています。
7. よくある質問(FAQ)
2027年の干支は何ですか?
2027年(令和9年)の干支は未(ひつじ)です。
この記事で紹介した置物は、どれも未年の羊です。
干支の置物は、いつから飾ればいいですか?
決まった時期はありません。お正月に合わせて年末に出すと、新しい年を迎える支度になります。
毎年そろえていくなら、新しい干支を迎えたときに、前の年の干支を隣に移す形にすると並びが続きます。
一刀彫とは、どんな彫り方ですか?
刃の跡を残したまま形にする木彫りです。
伊勢一刀彫は「直方体の素材から48面体までの範囲に彫り進め」ると宮忠は説明しています。伊予一刀彫は「物の形の無駄なラインを取り除いていき、シンプルに表現していく木彫り」(愛媛県の観光サイト)です。
十二支を同じ作り手でそろえられますか?
南雲は「南雲の十二支」、宮忠も子から亥までの干支を出しています。
毎年同じ作り手で迎えると、並べたときに大きさや雰囲気がそろいます。
干支の置物は、お年賀の贈り物になりますか?
なります。桐箱入りのものは、そのまま贈れます。
宮忠の伊勢一刀彫は桐箱入り。南雲の「ひのと未 陽 白」は毛氈と台、桐箱まで揃っています。
木の置物の手入れはどうすればいいですか?
毛払いで埃を払い、乾いた柔らかい布で拭きます。
宮忠が伊勢一刀彫の手入れとして案内している方法です。
8. まとめ:刃の跡の残る羊を、一年にひとつ
干支の置物は、十二年でひと巡りする置物です。一年にひとつずつ並べていけば、棚の上に家族の時間が並びます。
2027年は未。伊勢一刀彫は、四角い木を48面体まで彫り進めて、刃の跡を残したまま羊にします。式年遷宮の宮大工の余技から始まったと言われる彫り方です。
伊予一刀彫の南雲は、無駄な線を取り除いた、ころんとした羊。九谷焼の三代仲田錦玉は、極小の白い粒を打って羊を飾ります。
今年の干支は、ぜひ日本の作り手の羊を迎えてみてください。手に取ると、刃の跡を指でたどれます。