お年玉を渡すとき、相手が最初に手にするのは、お札ではなく袋です。
開ける前に、絵柄を見て、手触りを確かめて、裏返す。小さな袋には、それだけの時間があります。
この記事で紹介するぽち袋のうち二社は、同じ町でつくられています。山梨県市川三郷町の市川大門。1000年の歴史を持つ和紙の産地です。もう一社は京都。西本願寺の絵所を代々務めた家の十二代目、徳力富吉郎の版画がぽち袋になっています。
2027年の未年(ひつじどし)の袋から、お札の入れ方、お正月のあとの使い道まで。お年玉袋を選ぶ前に読んでみてください。
【早見表】日本製のぽち袋、どれで渡す?
| 作り手(場所) | ぽち袋 | 見どころ |
|---|---|---|
| マルアイ(山梨・市川三郷町) ▾ | 窓ぽち袋 お年玉 未/活版印刷 ぽち袋 | 窓の羊が柵を跳ぶ/厚手の紙に活版の凹み |
| めでたや・大直(山梨・市川大門) ▾ | 玩具尽くし・未/白無地 | 日本各地の羊の郷土玩具を水彩で |
| 京都徳力版画館(京都) ▾ | 十二支ぽち袋/京名所いろいろ | 老舗の包み紙になった版画の絵柄 |
作り手の名前を押すと、その解説へ飛べます。お札を折らずに入れたいときは5章 ▾へ。
1. 千年の和紙の町で、お年玉袋がつくられています
山梨県市川三郷町、市川大門
山梨県市川三郷町の市川大門。ここに本社を置く紙の会社・大直は、こう書いています。「1000年の歴史を持つ和紙の産地です」。
大直という社名は、書院紙の最高級品「大直紙(おおなおし)」から来ているそうです。障子紙をつくりながら、「めでたや」の名前でぽち袋や祝儀袋も出しています。
同じ町に、お年玉袋を毎年出しつづける会社がある
同じ市川三郷町に本社を置くのが、創業138年の紙製品メーカー・マルアイです。昭和30年代にのし袋を、昭和50年代にはお年玉袋の製造・販売を始め、それから毎年、その年のお年玉袋を出しています。
2027年版は全9シリーズ・52種。マルアイの調査では、お年玉の渡し方でいちばん多かったのが「現金をぽち袋に入れて手渡す」(77.8%)でした。
手渡すから、袋が相手の手に残る。その袋を、千年の紙の町の会社が毎年考えています。
2. マルアイ:窓の中で、羊が柵を跳び越える
窓から覗く色を、自分で選べる
2027年の新柄「窓ぽち袋 お年玉 未」。袋に切り抜かれた窓が、羊のシルエットになっています。マルアイはこう説明しています。「ヒツジが柵を軽やかに跳び越える様子は、新しい年へ一歩踏み出すイメージを重ね」。
中にはお札が透けないための添紙が入っていて、クリームとブルーの2色に塗り分けられています。添紙の上下を入れ替えると、窓から覗く色を2色から選べます。渡す相手ごとに、羊の色を変えられるということです。
マルアイ 窓ぽち袋 お年玉 未(2027年版)|山梨・市川三郷町
羊が柵を跳び越える窓の、未年のお年玉袋です。紙は伊予和紙。きらりと光る箔押しが添えられています。
3枚入りで、添紙付き。添紙の向きで窓の色を変えられるので、兄弟で色違いにして渡す楽しみもあります。お札は三つ折りで入る大きさです。購入するときは柄の「未」と「ぽち袋」を選んでください。
マルアイ 窓ぽち袋 お年玉 未 ノ-MD27C(2027年版)
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厚い紙に、活版で押し込んだぽち袋
マルアイには、活版印刷のぽち袋もあります。「海外のウエディング招待状をイメージした、活版印刷のぽち袋。風合いのある厚手の紙に、しっかり圧をかけながら活版印刷をほどこし、質感豊かに仕上げました」。
指でなぞると、柄が紙に沈んでいるのがわかります。お年玉だけでなく、大人どうしのお礼やお祝いにも渡しやすい落ち着いた袋です。
マルアイ 活版印刷 ぽち袋 タイル 2枚入|山梨・市川三郷町
厚手の紙にしっかり圧をかけて刷った、活版のぽち袋です。箔押しが柄に光を添えます。
心付けや、ちょっとしたお礼に。干支の柄ではないので、季節を選ばず一年じゅう使えます。
マルアイ 活版印刷 ぽち袋 タイル ノ-KP2 2枚入
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豆知識:「お盆玉袋」を出したのも、この会社です
夏休みに帰省した孫や甥・姪に渡す「お盆玉」。マルアイは自社サイトで、お盆玉袋を2010年に発売し、「夏の新習慣はマルアイから生まれた」と紹介しています。
同じページには、いまでは定番になった個性豊かな金封(デザイン金封・1986年)もマルアイが発祥とあります。
3. めでたや:日本じゅうの羊の郷土玩具を、一枚に
羊張り子、きびがら細工、能古見人形
市川大門の大直が出す「めでたや」の未年のぽち袋は、日本各地の羊の郷土玩具を描いています。「日本各地にあるひつじの郷土玩具、羊張り子、きびがら細工、能古見人形を柔らかな水彩画で描いた羊尽くしのぽち袋です」。
張り子、きびがら(きびの茎)の細工、土の人形。素材も土地も違う羊が、一枚の和紙の上に並んでいます。袋を受け取った子どもに「これはどこの羊?」と話しかけられる、お正月らしい一枚です。
めでたや ぽち袋 玩具尽くし・未 3枚入|山梨・市川大門
各地の羊の郷土玩具を、やわらかな水彩で描いた和紙のぽち袋です。
お札は三つ折りで入ります。お年玉だけでなく、新年の挨拶に添えるミニ封筒や、お年賀の品に添える袋としても使えます。
めでたや ぽち袋 玩具尽くし・未 K 3枚入
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めでたや 和紙 ぽち袋 白無地 5枚入|山梨・市川大門
絵柄のない、和紙だけのぽち袋です。表書きを筆ペンで書いたり、名前を添えたり。自分の字がそのまま袋の顔になります。
干支を選ばないので、お年玉にも、お礼にも、心付けにも。手元に一束あると便利です。
めでたや 和紙 ぽち袋 白無地 5枚入
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4. 京都・徳力版画館:老舗の包み紙になった絵を、ぽち袋に
西本願寺の絵所の、十二代目
京都・聖護院の京都徳力版画館。京都市観光協会の案内には、「代々西本願寺の絵所としての徳力家。その十二代目木版画家・徳力富吉郎」とあります。
富吉郎は京版画の版元を立ち上げ、絵師・彫師・摺師とともに生涯で9,000点の作品を残しました。その絵は「老舗の包み紙や手提げなど、いまも私たちの生活に馴染んでいます」(JR東海「そうだ 京都、行こう。」)。
京都の老舗の包み紙と同じ画家の絵が、ぽち袋になっています。
ざらっとした和紙に、版画の線
版画館の公式ショップは、ぽち袋をこう紹介しています。「京版画の第一人者・徳力富吉郎の木版画を元に、かわいい干支の絵柄をぽち袋に仕立てました。ざらっとした和紙の風合いが特徴」。
干支の袋はお年玉にそのまま使える絵柄です。京都の名所を描いた5枚組は、たとう紙に包まれて届くので、そのまま贈り物にもなります。
京都徳力版画館 十二支ぽち袋 3枚入|京都
徳力富吉郎の木版画を元にした、干支の絵柄のぽち袋です。ざらっとした和紙の手触り。
大きさは約65×93mmの小ぶりな袋です。お札は折って入れます。お年玉にも、お祝いやお礼にも。
京都徳力版画館 十二支ぽち袋 3枚入
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京都徳力版画館 版画京名所いろいろ ぽち袋 赤 5枚入|京都
賀茂、保津川、清水寺、南禅寺、京舞妓。五つの京都が1枚ずつ、たとう紙に収まっています。
京都の好きな人への手土産に添えて、あるいは袋のまま小さな贈り物として。使うのが惜しくなる5枚です。
京都徳力版画館 版画京名所いろいろ ぽち袋 赤 5枚入(たとう紙入)
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5. 三つ折りか、折らずにか。袋の大きさで選ぶ
① 大きさ:三つ折りで入れるか、折らずに入れるか
この記事のぽち袋は、どれもお札を三つ折りにして入れる大きさです(マルアイの窓ぽち袋は65×110mm、めでたやは7×12cm、徳力版画館は約65×93mm)。
お札を折らずに渡したいときは、細長いのし袋の形を選びます。マルアイの窓のし袋は83×168mmで、同じ未年の柄があります。
② 表書き:「お年玉」か「おとしだま」か
マルアイの2027年版には、漢字の「お年玉」と、ひらがなの「おとしだま」の袋があります。ひらがなの袋は消防車や電車の柄。まだ漢字を読めない小さな子には、ひらがなの袋が自分のものだとわかりやすいはずです。
③ 透けないか
薄い和紙の袋は、中のお札の柄が透けて見えることがあります。マルアイの窓ぽち袋には透け防止の添紙が付いています。白無地の袋を使うときは、半紙や懐紙を一枚お札に添えると、開けるまで中身が見えません。
④ 絵柄で選ぶか、自分の字で選ぶか
刷り上がった絵柄の袋は、渡した瞬間に季節が伝わります。白無地の和紙は、表書きや名前を筆ペンで書けば、その人のためだけの一枚になります。枚数の多いお正月は絵柄の袋、特別な一人には白無地、という使い分けもできます。
6. お札の入れ方と、お正月のあとの使い道
開けたとき、すぐ広げられるように
一般には、お札は三つ折りにして入れるとされています。富国生命のコラムでは、肖像の面を上にして、左から3分の1を内側へ折り、その上に右から3分の1をかぶせる折り方が紹介されています。
袋に入れるときは、お札の上側を袋の口の側に、あとから折った右側を袋の表の側に。「受け取った相手がお札を開きやすく、いくら入っているかすぐにわかるようにするための配慮」だそうです。
お札は新札を用意するのが基本。間に合わなければ、なるべくきれいなお札を選びます。
お正月が過ぎても、ぽち袋は使える
徳力版画館のぽち袋は「お年玉やお祝い、お礼などさまざまなシーンで」、めでたやの白無地もお年玉やお心づけにと紹介されています。
引っ越しの手伝いのお礼、習いごとの先生への心付け、夏のお盆玉。干支の袋は年が変わるまで、無地や通年の柄の袋は一年じゅう使えます。余ったぽち袋は、封筒の箱に一緒にしまっておくと、次に使いたいときにすぐ出てきます。
7. よくある質問(FAQ)
お札を折らずに入れられるお年玉袋はありますか?
細長い「のし袋」の形なら、折らずに入れられます。
マルアイの窓のし袋(83×168mm)には、窓ぽち袋と同じ未年の柄があります。この記事で紹介したぽち袋は、どれも三つ折りで入れる大きさです。
お札は何つ折りにすればいいですか?
一般には三つ折りとされています。
肖像の面を上にして、左から3分の1を内側へ、その上に右から3分の1をかぶせます。袋には、お札の上側を口の側にして入れると、相手が開きやすくなります。
和紙のぽち袋は、お札が透けませんか?
薄い袋では透けることがあるので、添紙のある袋を選ぶか、一枚紙を添えてください。
マルアイの窓ぽち袋には透け防止の添紙が付いています。白無地の袋には、半紙や懐紙を添えると中が見えません。
小さな子に渡すなら、どんな袋がいいですか?
ひらがなの「おとしだま」の袋や、絵で自分のものとわかる袋がおすすめです。
マルアイの2027年版には、ひらがなの表書きで消防車や電車の柄の袋があります。めでたやの羊の郷土玩具の袋も、絵を見ながら話ができます。
干支のぽち袋は、翌年も使えますか?
お年玉には、その年の干支の袋が向いています。
余った干支の袋は、その年のうちのお礼や心付けに使うと無駄になりません。毎年使いたいなら、干支のない柄や白無地を選ぶ方法もあります。
「お盆玉」には、どんな袋を使えばいいですか?
お盆玉用の袋もありますし、季節を選ばない柄のぽち袋でも渡せます。
お盆玉袋は2010年にマルアイが発売したと、同社は紹介しています。活版印刷のぽち袋や白無地の和紙の袋なら、夏にもそのまま使えます。
8. まとめ:開ける前から、うれしい袋を
お年玉を渡すとき、相手が最初に手にするのは袋です。
山梨県市川三郷町の市川大門は、1000年の歴史を持つ和紙の産地。そこで昭和50年代からお年玉袋をつくってきたマルアイの窓ぽち袋では、窓の中で羊が柵を跳び越えます。活版のぽち袋は、厚い紙に柄が沈んでいます。
同じ町の大直「めでたや」は、日本各地の羊の郷土玩具を一枚の和紙に描きました。白無地の和紙なら、自分の字で一枚を仕上げられます。
京都の徳力版画館のぽち袋には、西本願寺の絵所の家に生まれた徳力富吉郎の版画。老舗の包み紙でもおなじみの画家の絵が、手のひらの大きさの袋になっています。
お札は三つ折りで、開けやすい向きに。折らずに渡したいなら、細長いのし袋を。
今年のお年玉は、ぜひ日本の紙と絵の袋で渡してみてください。開ける前から、うれしい一枚になります。