「いい靴」を履いている人は多いですが、「いい傘」を差している大人は驚くほど少ないです。
スーツは決まっているのに、手元はコンビニのビニール傘。
これでは画竜点睛を欠いてしまいます。
日本製の傘は、単なる雨除けではありません。
開いた瞬間の「バサッ」という重厚な音、雨粒を弾く「甲州織」の美しさ、そして何より「修理して一生使える」という安心感があります。
この記事では、皇室御用達の格式高い一本から、選挙演説でも使われる「最強の高級ビニール傘」まで、雨の日が待ち遠しくなる名品7選をご紹介します。
1. なぜ日本製の傘なの?「張り」と「甲州織」の秘密
日本製の傘と、安価な量産品の違い。
それは「生地の張り」と「織り方」にあります。
雨音が変わる「職人の張り」
熟練の職人は、骨のしなりを計算して限界まで強く生地を張ります。
そのため、傘を開いた時に太鼓のようにピンと張り、雨が当たると「ポツポツ」という心地よい音が響きます。
この張りがあるからこそ、美しく見え、水切れも良くなるのです。
水玉が転がる「甲州織(こうしゅうおり)」
山梨県で織られる「甲州織」は、糸を先に染めてから織る「先染め」生地。
高密度で織られているため、プリント柄のようなのっぺり感がなく、立体的で高級感のある光沢があります。
高い撥水性を持ち、傘を閉じて一振りするだけで水滴が飛び散ります。
2. 【決定版】日本製の傘・高級ビニール傘おすすめ7選
「長傘の風格」か、「折りたたみの実用」か。
そして話題の「高級ビニール傘」まで、日本の名品を厳選しました。
【No.1】前原光榮商店|皇室御用達
昭和23年創業。日本が誇る傘の最高峰。
「トンボ洋傘」の名で親しまれ、皇室の方々も愛用されています。
最大の特徴は「16本骨」の美しい円形フォルム。
骨が多いことで和傘のような雅な雰囲気があり、風にも強いです。
持ち手(ハンドル)には楓や寒竹などの天然木が使われ、使い込むほどに手に馴染みます。
【No.2】White Rose (ホワイトローズ)|世界初のビニール傘
選挙演説で使われる「最強のビニール傘」。
実はビニール傘を発明したのは日本のこの会社です。
「カテール」や「縁結(えんゆう)」シリーズは、強風を逃すための「逆支弁(穴)」が開いており、台風レベルの風でも裏返りません。
透明で視界が良く、頑丈。
「ビニール傘=使い捨て」の常識を覆す、実用性の塊です。
【No.3】小宮商店|甲州織の彩り
東京・東日本橋で90年。色の重ね合わせが美しい。
表と裏で色が違う「かさね」シリーズなど、甲州織の美しさを最大限に活かした傘作りが特徴。
開いた時に内側の色が顔色を明るく見せてくれます。
職人が一本一本「ダボ(骨の継ぎ目)」を布で包むなど、見えない部分の細工も丁寧で、修理体制も万全です。
【No.4】槙田商店|絵を差す
富士山の麓で織られる、絵画のような傘。
もともとは生地メーカー(機屋)であり、ジャカード織りの技術は世界トップクラス。
プリントではなく「織り」で表現された柄は、立体的で色褪せません。
「菜(sai)」シリーズなど、野菜や植物をモチーフにしたデザインはモダンで、着物にも洋服にも合います。
【No.5】Ramuda (ラムダ)|東京洋傘の粋
大人の男の色気を感じさせる。
東京・日本橋の市原社が手掛けるブランド。
「張り」の技術に定評があり、開いた時のシルエットが非常に美しいです。
甲州織のレジメンタルストライプ柄など、スーツスタイルを格上げするデザインが多く、ビジネスマンへのギフトとして人気があります。
【No.6】WAKAO (ワカオ)|バンブーの元祖
軽やかで上品。バンブーハンドルの名手。
東京・浅草の老舗。
トレードマークは「寒竹(バンブー)」の持ち手。
天然の竹を曲げて作られたハンドルは、節の感触が心地よく、見た目にも涼やか。
細身で軽量なモデルが多く、特に女性からの支持が熱いですが、男性用の折りたたみ傘も非常に洒落ています。
【No.7】匠の傘専門店 心斎橋みや竹|折りたたみの革新
日本各地の職人・メーカーの傘を軸に品揃えしています。雨傘や日傘はもちろん、杖傘、ショートアンブレラ、業務用まで用途に合わせて選びやすい構成。名入れやギフト包装は“コンシェルジュ”として相談を受け、紛失対策の「ID登録」や、お困りごとに寄り添う修理受付も用意されています。
3. 【体験】東京・東日本橋「小宮商店」で職人の音を聴く
雨の日に行きたくなるショールーム
東京の問屋街、東日本橋にある「小宮商店」の本社ショールーム。
ここでは、職人が作った数十種類の傘を実際に開き、その「音」と「張り」を確かめることができます。
体験の魅力:
・傘ソムリエのようなスタッフが、あなたに合う一本(長さ、重さ、色)を提案してくれます。
・併設された工房では、修理の相談も可能。
・「傘を開く」という何気ない動作が、特別な体験に変わる場所です。
自分だけの「一生モノ」に出会うために、ぜひ足を運んでみてください。
4. よくある質問|日本製の傘、撥水・修理・寿命
撥水効果が落ちてきたら?
傘の撥水力は、汚れや摩擦で低下します。
復活させる裏技は「ドライヤーの温風を当てる」こと。
フッ素樹脂の配列が熱で整い、撥水力が戻ります(生地から10cm離して当ててください)。
それでもダメなら、市販の防水スプレーをかけましょう。
骨が折れたら修理できる?
今回紹介した日本製ブランド(ホワイトローズ含む)は、ほとんどが修理可能です。
骨の交換、生地の張り替え、持ち手の交換などに対応してくれます。
「壊れたら捨てる」のではなく「直して使う」のが、日本製傘の最大のメリットです。
使用後の正しい干し方は?
必ず「陰干し」してください。
直射日光は生地の色褪せや劣化の原因になります。
また、完全に開いた状態ではなく、少し閉じて(半開きで)干すのがコツ。生地に無駄なテンションがかからず、骨も傷みません。
5. まとめ:日本製の傘は「末広がり」の縁起物
傘は開いた姿が「八」の字になることから、古くから「末広がり」の縁起物とされ、贈り物にも最適です。
雨の日。
多くの人がうつむいて歩く中、お気に入りの傘を開き、「ポツポツ」という雨音を楽しみながら背筋を伸ばして歩く。
そんな粋な大人の余裕を、日本製の傘は与えてくれます。