お弁当の定番であり、居酒屋や寿司屋で食べる「だし巻き卵」は、大人も子供も大好きな日本のソウルフード。
「お店のように、出汁がじゅわっと溢れるふわふわの玉子焼きを作りたい」と思ったことはありませんか?
実は、玉子焼きの仕上がりを一番左右するのは「腕」ではなく「道具(玉子焼き器)の素材」です。
このページでは、プロ愛用の「銅」、香ばしく仕上がる「鉄」、手軽な「アルミ・コーティング」の違いを徹底比較。あなたの理想の玉子焼きを焼くための、最適な日本製玉子焼き器をご案内します。
銅・鉄・アルミ。素材で「味」はどう変わる?
【銅】プロの味。ふわふわ・しっとりの最高峰
板前さんが使う玉子焼き器といえば「銅」です。銅は熱伝導率が極めて高く、弱火でも全体に均一に熱が伝わります。 卵液を入れた瞬間にサッと固まるため、旨味や水分を逃さず、「ふわふわ・しっとり」とした食感に仕上がります。お手入れには少し手間がかかりますが、味にこだわるなら間違いなく銅が一番です。
【鉄】家庭の味方。香ばしく、巻きやすい
鉄は油馴染みが良く、使い込むほど卵がスルッと剥がれるようになります。 高温に強いため、表面を少し香ばしく焼き上げることができ、お弁当に入れても美味しい「しっかりめ」の玉子焼きが作れます。耐久性が高く、ガシガシ洗えるのも魅力です。
【アルミ・コーティング】失敗知らず。だし巻き初心者へ
出汁をたっぷり入れた卵液は焦げ付きやすいものですが、フッ素樹脂加工のアルミ製なら失敗知らずです。 最近の日本製モデルは、アルミ鋳物(いもの)で底を厚くし、熱を柔らかく伝える工夫がされているため、コーティング製でも十分にふっくら美味しく焼けます。 「忙しい朝のお弁当作り」がメインなら、迷わずこれを選びましょう。
「東型(正方形)」と「西型(長方形)」どっちを選ぶ?
東型(関東型):正方形
ほぼ正方形の形をしています。一度にたっぷりの卵(4個〜)を使って、厚みのある玉子焼きを作るのに適しています。 江戸前寿司のネタのような、ボリュームのある玉子焼きが好きな方に向いています。
西型(関西型):長方形
細長い長方形です。幅が狭いため、卵2〜3個でも厚みが出しやすく、お弁当サイズを作りやすいのが特徴。 家庭用としては、この「長方形タイプ」の方が扱いやすく、全国的に主流になっています。迷ったら長方形(小〜中サイズ)を選ぶのがおすすめです。
極上の一本を。おすすめの日本製玉子焼き器3選
素材ごとに、日本製ならではの技術が光るおすすめの3ブランドを厳選しました。
中尾アルミ製作所
【アルミ・プロ仕様】プロの厨房で選ばれる、質実剛健な道具。
プロの料理人から絶大な信頼を得ている「中尾アルミ」。 同社の玉子焼き器は、熱伝導の良い厚手のアルミを使用しており、熱ムラなくきれいに焼き上がります。
表面に高品質なフッ素樹脂加工を施したモデル(シルクウェア)は、プロ仕様の耐久性と、家庭での扱いやすさを両立。 「コーティングでも、焼き上がりには妥協したくない」という方に最適です。
こんな人におすすめ:プロ仕様の道具が好きな人、きれいに巻けるコーティングタイプが欲しい人。
リバーライト(極JAPAN)
【鉄】サビにくく、卵がくっつかない。鉄の常識を覆す一本。
鉄の玉子焼き器は「くっつくのが怖い」と思われがちですが、リバーライトの「極JAPAN」なら安心です。 特殊な熱処理(窒化加工)により油馴染みが抜群に良く、使い始めからスルッと巻くことができます。
鉄の蓄熱性で香ばしく焼き上がり、冷めても美味しい玉子焼きに。 サビにくいので、洗ったあとの油塗りも不要。毎日のお弁当作りで「鉄分補給」もできる、現代の鉄フライパンです。
こんな人におすすめ:お弁当用に香ばしい玉子焼きを作りたい人、鉄の手入れが不安な人。
北陸アルミニウム(HOKUA)
【アルミ鋳物】ふっくら熱を伝える、富山生まれの技術。
アルミの産地・富山県高岡市で作られる北陸アルミニウムの玉子焼き器は、底面を厚くした「鋳物(いもの)」製法が特徴です。 一般的なプレス製法よりも熱を蓄える力があり、全体を包み込むように加熱するため、ふっくらとした仕上がりになります。
高密度なテフロン加工(プラチナプラス等)を採用したモデルが多く、耐久性もトップクラス。 軽くて扱いやすく、長持ちする一本を探している方におすすめです。
こんな人におすすめ:軽さと丈夫さを両立したい人、スーパーで売っているものよりワンランク上の使い心地を求める人。
コラム:銅の玉子焼き器は、なぜ「一生モノ」なのか
銅の玉子焼き器は、内側に「錫(すず)」が焼き付けられています。 長年使って錫が剥げてきたり、外側が黒ずんできたりしても、専門の職人に依頼すれば「錫引き(すずびき)」や磨き直しができ、新品同様の輝きを取り戻せます。
本体が割れない限り、何度でも再生できる。だからこそ、銅の道具は親から子へ受け継げる「一生モノ」と呼ばれるのです。 今回ご紹介したブランド以外にも、中村銅器製作所などの専業メーカーもありますので、興味のある方はぜひ探してみてください。
たかが玉子焼き、されど玉子焼き。毎朝のお弁当作りも、道具ひとつで「作るのが楽しみな時間」に変わります。
あなたの理想の焼き上がりに合わせて、長く付き合える一本を選んでみてくださいね。