「一針入魂」の精神。20年愛せる、日本の鞄と財布。

毎日使うバッグや財布は、消耗品ではありません。人生を共にするパートナーです。
「一針入魂」を掲げる吉田カバン(PORTER)や、ファッションと機能を融合させたmaster-pieceなど、日本のバッグブランドは細部への執念が違います。
世界屈指の「栃木レザー」、タフな「倉敷帆布」、そしてハイテク素材を操る縫製技術。
修理しながら親子で使えるほど丈夫な「Made in Japan」の道具たちを、誇りを持って紹介します。

バッグ・財布・革小物の選び方と基礎知識

世界が驚く「機能美」と「ハイテク素材」

日本のバッグが世界で評価される理由は、伝統素材だけではありません。ナイロンなどの化学繊維を扱う技術も世界トップクラスです。
・一針入魂の精神(吉田カバンなど):
フライトジャケットをモチーフにしたボンディング素材や、防弾チョッキに使われるバリスターナイロン。これら厚みのある難しい素材を、職人が一針一針狂いなく縫い上げる技術。だからこそ、ハードに使っても糸がほつれず、20年選手として活躍できるのです。
・異素材の融合(master-pieceなど):
防水レザーと高強度ナイロン、止水ジッパーなど、異なる素材を複雑に組み合わせるデザインは、高度な縫製技術がないと成立しません。ファッション性と「本気のスペック」を両立させているのが日本ブランドの特徴です。


育てる楽しみ。「栃木レザー」と「コードバン」

・栃木レザー(エイジングの王様):
有害な薬品を使わず、植物タンニン(渋)だけで1ヶ月以上かけて皮をなめす「ピット製法」。世界でも希少なこの手間が、硬く丈夫で、使うほどに美しい飴色に変化する「ヌメ革」を生み出します。
・姫路レザー(白なめし・クロム):
平安時代から続く革の聖地。耐久性のあるクロムなめしや、真っ白な「白なめし革」など、多彩な技術が集結しています。
・コードバン(革のダイヤモンド):
馬のお尻からごくわずかしか取れない希少部位。長野や千葉のタンナー(新喜皮革など)が手掛けるコードバンは、鏡のように透き通った艶を持ち、財布やランドセルの最高級素材として世界中からオーダーが殺到しています。


呼吸する生地。「倉敷帆布(ハンプ)」

岡山県倉敷市で、100年以上前の「シャトル織機」を使って織られる極厚のキャンバス生地。
かつては船の帆やトラックの幌に使われたほど強靭です。糸の端(耳)に美しさが宿る「セルビッチ帆布」は、最初は自立するほど硬いですが、使い込むほどに繊維がほぐれてクタクタに柔らかくなり、所有者の体に馴染んでいきます。


神は細部に宿る。「コバ磨き」と「捻引き」

日本製の財布や小物の品質は、端っこ(エッジ)を見れば分かります。
・コバ磨き:
革の切断面(コバ)を、何度も何度も磨き、塗料を塗り重ねてツルツルに仕上げる技。安い製品はここが切りっぱなしやゴム塗装ですぐ剥がれますが、職人が磨き上げたコバは何十年経っても美しいままです。
・捻引き(ねんびき):
縫い目の横に入っている熱したコテで引いたライン。飾り線ですが、革の繊維を引き締めて丈夫にする効果もあります。このひと手間を惜しまないのが日本の美学です。


「修理して使う」という贅沢(Q&A)

Q. ナイロンバッグも手入れが必要?
A. はい。ブラッシングで埃を落とすだけで生地の劣化を防げます。また、ファスナーの滑りが悪くなったら専用のスプレーやロウを塗ることで復活します。
Q. 革財布のエイジングを綺麗に出すには?
A. 最初は何もせず、手の油分だけで十分です。乾燥してきたら少量のクリームを。何より「毎日撫でて使う」ことが一番のメンテナンスです。
Q. 壊れたらどうする?
A. 日本製の多くのブランドは「修理対応」が充実しています。摩耗した持ち手の交換や、ファスナーの張り替えなど、職人がリペアしてくれる体制が整っているため、孫の代まで受け継ぐことも夢ではありません。