焚き火台の表面は、800℃を超えるといいます。
その熱で歪まないか、石まじりの地面に刺さるか。キャンプ道具を選ぶとき、気にしたいのはそこです。
新潟県の燕市と三条市、燕三条は金属加工の町です。ここには、焚き火の熱や固い地面と正面から向き合ってきたキャンプ道具の作り手が集まっています。国内初の焚火台を生んだスノーピーク、炉の四隅のすき間で熱の歪みを逃がすユニフレーム、チタンを薄く軽く仕上げるベルモント、鋼を1100℃で鍛える村の鍛冶屋。
この記事では、燕三条の焚き火台・ペグ・焚き火料理の道具を、作り手ごとに紹介します。選び方と手入れもまとめました。
【早見表】燕三条のキャンプ道具5選
| 道具 | 作り手 | 特徴 | こんなキャンプに |
|---|---|---|---|
| 焚火台 M ▾ | スノーピーク(三条) | 板厚1.5mm、開くだけの一体型 | 2〜3人の焚き火に |
| ファイアグリル ▾ | ユニフレーム(燕) | 約2.7kg、分散耐荷重約20kg | 家族でBBQ・ダッチオーブン |
| 焚き火台TABI ▾ | ベルモント(三条) | チタン製、全体約478g | ソロ・徒歩・釣り |
| エリッゼステーク ▾ | 村の鍛冶屋(三条) | 1100℃で鍛えた楕円断面のペグ | 石まじりの固い地面 |
| ホットサンドメーカー ▾ | TSBBQ(村の鍛冶屋) | 2つに分かれてフライパンにも | キャンプの朝ごはん |
道具の名前を押すと、その解説へ飛べます。
1. 燕三条は、和釘から始まった金属の町
水害の町の、和釘づくり
新潟県観光協会によると、江戸時代、水害が多く稲が育たなかった燕では、和釘づくりが奨励されていました。そこから育った金属加工の技術は、いまも燕三条の町工場に受け継がれています。
キャンプ道具は、焚き火の高温と、雨と、固い地面にさらされる道具です。燕と三条には、その厳しさと正面から向き合ってきた作り手が集まっています。スノーピークとベルモント、村の鍛冶屋を手がける山谷産業は三条市に、ユニフレームを手がける新越ワークスは燕市に本拠を置いています。
2. 焚き火台|スノーピーク、ユニフレーム、ベルモント
スノーピーク 焚火台|1996年、国内初の焚火台
スノーピークの焚火台は、1996年に生まれた国内初の「焚火台」です。焚火台の表面温度は800℃以上。板が薄いほど持ち運びやすくなりますが、熱で変形してしまいます。検証を重ねてたどり着いたのが、1.5mmの板厚でした。
燃える場所は外へ開く形で、開くだけで設置できる一体型の折りたたみ。スノーピークによると、焚火台は新潟県見附市の自社工場と国内の協力工場で、いまも一つひとつ作り続けています。
豆知識:焚火台は、直火の跡から生まれた
スノーピークによると、焚火台が生まれたころのキャンプは、地面で直接火をたく直火が当たり前でした。キャンプ場に残る無残な焚火の跡を見た開発者が、「自然を傷めずに、焚火を楽しむための道具をつくりたい」と考えたのが始まりです。
2026年10月31日からは、新潟県三条市の本社に併設するSnow Peak MUSEUMで、焚火台誕生30周年の企画展が開かれています。
スノーピーク 焚火台 M ST-033R|2〜3人の焚き火に
板厚1.5mm、開くだけで据えられる焚火台のMサイズ。
焚き火の高温に耐えるよう、厚さにこだわった焚火台です。
ベースプレートやグリルブリッジなど、専用の道具を足して料理の幅を広げられるのも焚火台の楽しみです。
スノーピーク 焚火台 M ST-033R
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ユニフレーム ファイアグリル|四隅のすき間が、熱の歪みを逃がす
ユニフレームは、燕市の新越ワークスのアウトドア用品のブランドです。ファイアグリルは、焚き火にも、BBQにも、ダッチオーブン料理にも使える焚き火台。
炉の四隅にすき間を設けているのが工夫で、熱で膨らんでも炉が歪まないようにしています。このすき間から空気も取り入れるので、よく燃えます。頑丈でバランスのよい作りなので、重いダッチオーブンも載せられます。
ユニフレーム ファイアグリル 683040|家族の焚き火とBBQに
ファミリーキャンプにちょうど良い大きさの焚き火台。
使うときは約43×43×33cm、重さ約2.7kg、分散耐荷重は約20kgです。
炉が底に向かって細くなる形なので、2台重ねてもしまうときの大きさが変わりません。ヘビーロストルやフッ素鉄板など、専用の部品も揃っています。
ユニフレーム ファイアグリル 683040
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ベルモント 焚き火台TABI|本体約298gの、チタンの焚き火台
ベルモントは、三条市のアウトドアと釣りの道具のメーカーです。焚き火台TABIは、チタンで作った軽くて薄い焚き火台。たたむと厚さ15mmになり、全体で約478g、本体だけなら約298gです。
軽いのに、側板を外せば大きな薪もそのままくべられます。焼き網とグリルエクステンションが付いているので、焚き火で料理もしやすい作り。ソロキャンプや少人数のキャンプのほか、渓流釣りや沢登り、ロングハイクにも持って行けます。
ベルモント 焚き火台TABI グリルエクステンション付き BM-246|背負って行ける焚き火台
チタンとステンレスで作った、全体約478gの焚き火台。
たためば178×360×15mm。ザックに入れて持ち運びやすい薄さです。
ベルモントの公式オンラインショップには「MADE IN JAPAN」と書かれています。火床の耐荷重は約15kgです。
ベルモント 焚き火台TABI グリルエクステンション付き BM-246
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3. ペグ|村の鍛冶屋のエリッゼステーク
1100℃に熱して、1トンの力で潰す
村の鍛冶屋は、三条市の山谷産業のブランドです。エリッゼステークは、丸い鋼材を約1100℃まで真っ赤に熱し、約1トンの力で一気に断面を楕円形に潰した鍛造のペグ。S55Cという鋼の、継ぎ目のない1本ものです。
丸い棒のペグは地中でくるくる回りがちですが、楕円のペグは地中で回りません。村の鍛冶屋によると、砂利や石が混じった固い地面にも入り込みやすい形です。
豆知識:1,000時間の塩水に耐える黒
黒いエリッゼステークは、カチオン電着塗装という塗装です。村の鍛冶屋によると、1,000時間以上の塩水噴霧にも耐える防錆性能があります。
赤や黄、白、ピンクの粉体塗装や、シルバーのクロームメッキもあるので、草むらで見つけやすい色を選ぶこともできます。
村の鍛冶屋 鍛造ペグ エリッゼステーク 28cm 8本セット|固い地面に負けない
全長280mm、黒のカチオン電着塗装の8本セット。
村の鍛冶屋は「どんなシーンでも扱いやすいサイズ」と案内しています。公式ショップから届きます。
テントやタープのほか、庭のフラワーアーチの固定にも。18cmなど、ほかの長さもあります。
村の鍛冶屋 鍛造ペグ エリッゼステーク 28cm 8本セット 黒
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4. 焚き火の朝ごはん|TSBBQのホットサンドメーカー
燕三条の頭文字の、BBQ道具
TSBBQは、村の鍛冶屋が手がけるアウトドア料理の道具のブランドです。名前は、ものづくりの街「燕三条」の頭文字から取った「Tsubame Sanjo BBQ」。
ホットサンドメーカーは、耳付きのパンにそのまま具をはさんで焼くタイプで、耳がカリカリに焼けます。本体は2つに分かれるので洗いやすく、片面だけでミニフライパンとしても使えます。
TSBBQ ホットサンドメーカー TSBBQ-004|耳までカリカリ
2つに分かれて、片面はミニフライパンになるホットサンドメーカー。
本体はフッ素樹脂加工のアルミニウム合金。村の鍛冶屋の公式ショップから届きます。
焚き火や炭火、家のガスコンロで使えます。IHには対応していません(ラジエントヒーターは使えます)。持ち手への名入れも頼めます。
TSBBQ ホットサンドメーカー TSBBQ-004
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5. 選び方|車で行くか、背負って行くか
車で行く家族のキャンプなら:ファイアグリル、焚火台
車で荷物を運べるなら、重さより安定感で選べます。ダッチオーブンを載せてBBQもしたいなら、分散耐荷重約20kgのユニフレームのファイアグリル。開くだけで据えられる焚き火台なら、スノーピークの焚火台です。
背負って行くソロや釣りなら:TABI
徒歩や自転車、バイクで行くなら、重さと薄さが大切です。全体で約478gのベルモントのTABIは、たたむと厚さ15mm。釣りや沢登りの合間の焚き火にも向いています。
どのキャンプでも:ペグを見直す
テントに付いてくるペグで固い地面に苦労したことがあるなら、ペグから見直すのも一つの方法です。エリッゼステークは、焚き火台と違って車でも徒歩でも使える道具です。
6. 手入れ|灰を落とし、乾かす
焚き火台は、灰を落としてよく乾かす
焚き火台は、使い終わったら灰と燃えかすをしっかり落とし、汚れを洗ってからよく乾かしてしまいましょう。ステンレスやチタンは、使ううちに焼き色がついていきます。手入れのしかたは、それぞれの説明書で確かめてください。
ペグは泥を落として、ホットサンドメーカーは分けて洗う
ペグは、抜いたら泥を落として乾かしてから収納します。エリッゼステークの黒は錆に強い塗装ですが、濡れたまましまわないのが長持ちのこつです。TSBBQのホットサンドメーカーは2つに分けて洗えるので、角まで汚れを落とせます。
7. よくある質問(FAQ)
燕三条の工場は見学できますか?
「燕三条 工場の祭典」という催しがあります。開催の時期や参加する工場は、公式サイトで確かめてください。スノーピークの本社には、Snow Peak MUSEUMが併設されています。
ファイアグリルは重くありませんか?
重さは約2.7kgです。そのぶん頑丈で、分散耐荷重は約20kg。車で行くキャンプで、ダッチオーブンを載せたい人に向いています。
TABIは、どれくらい軽いですか?
網やグリルエクステンションまで含めて約478g、本体だけなら約298gです。たたむと178×360×15mmになります。
エリッゼステークは、どの長さを選べばいいですか?
村の鍛冶屋は、28cmを「どんなシーンでも扱いやすいサイズ」と案内しています。18cmなど短いものもあるので、テントやタープの大きさに合わせて組み合わせましょう。
TSBBQのホットサンドメーカーは、家でも使えますか?
ガスコンロで使えます。IHには対応していませんが、ラジエントヒーターなら使えると村の鍛冶屋は案内しています。
直火が禁止のキャンプ場でも、焚き火はできますか?
キャンプ場によっては、焚き火台を使えば焚き火ができます。スノーピークの焚火台は、自然を傷めずに焚火を楽しむために生まれた道具です。ただし、焚き火のルールはキャンプ場ごとに違うので、行く前に確かめてください。
8. まとめ:熱と地面に向き合った、燕三条の道具
燕三条のキャンプ道具は、焚き火の熱と、固い地面に正面から向き合ってきた道具です。
800℃の熱に耐えるため1.5mmの板厚にたどり着いたスノーピークの焚火台。四隅のすき間で熱の歪みを逃がすユニフレームのファイアグリル。チタンで約298gまで軽くしたベルモントのTABI。1100℃で鍛えた村の鍛冶屋のエリッゼステーク。そして、燕三条の頭文字を背負ったTSBBQのホットサンドメーカー。どれも、金属の町の作り手が仕上げた道具です。
次のキャンプの焚き火に。ぜひ、燕三条の道具を連れて行ってみてください。