のこぎりを入れる前に、差し金を当てて、鉛筆で一本の線を引く。
木工も、家の修理も、仕上がりは測るところで決まります。
この記事では、差し金(曲尺)、スコヤ、ノギスを選びます。金物の町・新潟県三条のシンワ測定の差し金、裏の目盛で丸太から取れる角材がわかる「角目」の差し金、三条に7つの工場を持つ新潟精機のスコヤ、そしてマイクロメータの国産化から始まったミツトヨのノギス。
どれも販売ページで原産国が日本と表示されたものを選びました。
【早見表】何を測る?
| 道具 | 作り手 | 測るもの | 精度の目安 |
|---|---|---|---|
| 曲尺 平ぴた 表裏同目 ▾ | シンワ測定(三条) | 長さ・直角・墨付け | 直角度 100mmにつき0.1mm以下 |
| 曲尺 角厚 裏面角目 ▾ | シンワ測定(三条) | 丸太から取れる角材・円周 | 直角度 100mmにつき0.1mm以下 |
| 台付直角定規(スコヤ) ▾ | 新潟精機(三条) | 直角 | 直角度 ±0.035mm |
| M型標準ノギス ▾ | ミツトヨ | 外径・内径・深さ | 最小読取値 0.05mm |
名前を押すと、その章へ飛べます。測るもので選ぶなら6章 ▾へ。
1. 目盛は、三条で刻まれる
3つの町工場から生まれたシンワ測定
新潟県三条市のシンワ測定は、同じ物差しを作っていた3つの町工場、渡辺度器製作所、羽生計器、渡誠度器製作所が1971年に合併して生まれた会社です(渡辺度器製作所の設立は1950年)。1977年にはステンレスの物差しに目盛を付ける方法を開発し、特許を取っています。
同じ三条市の新潟精機は1960年の創立。精密測定機器や建築用の道具を作り、市内に7つの工場を持っています。
2. 差し金:材料にぴたりと沿う「平ぴた」
薄く平たく、ほどよくしなる
L字の物差し、差し金(曲尺)。長さを測り、直角を出し、木に線を引く(墨付け)ための道具です。
シンワ測定の「平ぴた」は、公式の説明では「竿・角共に薄く平たいので細かい材料にもピタリと張り付き、ケガキやすく」、適度な弾性を持たせた差し金。外側基点の内目盛も付いています。直角度は100mmにつき0.1mm以下です。
シンワ測定 曲尺 平ぴた シルバー 50cm 表裏同目 JIS|新潟・三条
表も裏もcm目盛の、ステンレスの差し金です。長枝50cm、短枝25cm、厚さ1.0mm、87g。販売ページの原産国は日本。
表と裏が同じ目盛なので、はじめての一本に。DIYの棚づくりから、本格的な木工まで。
シンワ測定 曲尺 平ぴた シルバー 50cm 表裏同目 JIS 10032(新潟・三条)
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3. 裏の目盛に√2:角目と丸目
丸太から取れる角材が、測るだけでわかる
差し金の裏には、ふしぎな目盛が刻まれたものがあります。シンワ測定の解説によると、「角目」は表の目盛を√2倍(1.414倍)した目盛。この目盛で丸太の直径を測れば、その丸太から取れる角材の一辺の長さがわかります。丸太の直径が角目で15なら、一辺15cmの角材が取れる、という具合です。
「丸目」は表の目盛を円周率(3.14)で縮めた目盛。円の直径を丸目で測ると、円周の長さがわかります。計算をしなくても、目盛を読むだけで答えが出る。職人の知恵が、一本の物差しに刻まれています。
シンワ測定 曲尺 角厚 シルバー 50cm 裏面角目 重宝 JIS|新潟・三条
裏の長枝に角目、内側に丸目とホゾの目盛が付いた差し金です。厚さ1.4mm、91g。販売ページの原産国は日本。
丸太や丸い材料を扱う人、差し金の目盛の知恵を手元に置きたい人に。
シンワ測定 曲尺 角厚 シルバー 50cm 裏面角目 重宝 JIS 10373(新潟・三条)
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4. 直角を確かめる:新潟精機のスコヤ
台の付いた、直角の定規
スコヤは、直角を確かめるための定規です。新潟精機の「台付直角定規」は、厚い台に竿が付いた形で、材料の縁に台を当てるだけで直角が出せます。
材質は機械構造用炭素鋼で、焼入れをしない研磨仕上げ。寸法の精度はJIS B 7526の規格に沿い、直角度は±0.035mmです。新潟精機の公式楽天店で「日本製」と表示されています。
新潟精機 SK 台付直角定規 JIS2級相当 150mm AA-S150|新潟・三条
長片150mm、台の長さ100mm、420gの台付スコヤです。
箱や引き出しの組み上がりの直角を確かめたい人に。精度の商品なので、未使用でも客都合の返品はできません。
新潟精機 SK 台付直角定規(スコヤ)JIS2級相当 非焼入 150mm AA-S150(新潟・三条)
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5. 0.05mmを読む:ミツトヨのノギス
マイクロメータの国産化から始まった会社
ミツトヨの始まりは1934年。公式の沿革によると、当時ほぼ100%を輸入に頼っていたマイクロメータを、創業者の沼田惠範が国産化しようと取り組んだことから生まれた会社です。1949年にノギスの試作と生産を始めました。
ノギスは、外径、内径、深さを一本で測れる道具。M型標準ノギスは最小読取値0.05mmで、ネジやパイプの太さ、穴の深さまで読めます。
ミツトヨ M型標準ノギス 150mm 超硬合金チップ付き N15WW
測定範囲0〜150mm、最小読取値0.05mm、デプスバー付きのノギスです。内側と外側の測定面に超硬合金のチップが付いています。
はかりの専門店「三和屋」の出品で、生産国は日本と表示されています。電池のいらない、目盛で読むノギスです。
ミツトヨ M型標準ノギス 150mm 内・外側測定面超硬合金チップ付き N15WW
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6. 測るもので選ぶ
① 木に線を引くなら:差し金
はじめての一本は、表裏同目の「平ぴた」。丸太や丸い材料を扱うなら、角目と丸目の付いた差し金を足して。
② 組み上がりの直角を確かめるなら:スコヤ
差し金でも直角は出せますが、台を当てるだけで直角が出るスコヤは、箱や家具の組み立てで手早く確かめられます。
③ 細かい寸法なら:ノギス
ネジやパイプの太さ、穴の内径や深さはノギスで。のこぎりや金槌など、ほかの道具はのこぎり・金槌のガイドにまとめています。
7. よくある質問(FAQ)
差し金と曲尺は同じものですか?
同じL字の物差しを指します。
シンワ測定は製品名に「曲尺」を使っています。
差し金の「角目」とは何ですか?
表の目盛を√2倍(1.414倍)した目盛です。
丸太の直径を角目で測ると、その丸太から取れる角材の一辺の長さがわかります。
「丸目」とは何ですか?
表の目盛を円周率(3.14)で縮めた目盛です。
円の直径を丸目で測ると、円周の長さがわかります。
シンワ測定の製品はすべて日本製ですか?
製品によって違います。
シンワ測定は中国・大連にもグループ会社があります。買うときは原産国の表示を確かめてください。この記事の差し金2本は、販売ページで原産国が日本と表示されています。
ノギスの最小読取値0.05mmとは?
目盛で読み取れるいちばん小さな単位が0.05mmということです。
紹介したミツトヨのM型標準ノギスの器差は±0.05mmです。
スコヤは差し金があれば要りませんか?
差し金でも直角は出せますが、スコヤは台を当てるだけで直角を確かめられます。
新潟精機の台付直角定規の直角度は±0.035mmです。
8. まとめ:一本の目盛に、知恵が刻まれている
仕上がりは、測るところで決まります。
三条の町工場から生まれたシンワ測定の差し金。裏に√2の目盛を刻んだ角目の差し金。三条の7つの工場で作る新潟精機のスコヤ。マイクロメータの国産化から始まったミツトヨのノギス。
丸太に角目を当てて、取れる角材の大きさがわかったとき。一本の物差しに込められた知恵に、きっと感心するはずです。