「部屋の中なのに、背中がずっと寒い」。そんな冬の夜に羽織りたいのが、表地と裏地のあいだに綿を入れたはんてんです。肩から背中を綿がすっぽり包むので、着た瞬間から背中が温まります。
綿入れはんてんの産地として知られるのが、福岡県の筑後市・久留米市・大木町。江戸時代から庶民の防寒着だったはんてんは、1947年からこの筑後地域で本格的につくられるようになり、2025年12月には「久留米綿入はんてん」として県知事指定特産工芸品になりました。
この記事では、二人一組で綿を入れ、手で綴じて仕上げる筑後の仕事と、長袖・やっこ(半袖)・袖なしの選び方、そして宮田織物とミツノブのはんてん5着を紹介します。
【早見表】筑後でつくる日本製はんてん5着
| 商品 | 形 | 生地・わた | こんな人に |
|---|---|---|---|
| 宮田織物 60双糸縞はんてん | 長袖 | 細い双糸の縞・綿80%のわた | 軽くてさらりとした一着を、くつろぐ時間に |
| 宮田織物 60双糸縞やっこ | 半袖 | 同じ60双糸縞 | 料理・皿洗い・パソコンなど、手元を動かす人 |
| 宮田織物 60双糸縞ポンチョ | 袖なし | 同じ60双糸縞 | セーターの上から背中だけ温めたい人 |
| 宮田織物 狐火はんてん ロング | 長袖・95cm丈 | 表・裏・わたすべて綿100% | 一枚で部屋の景色が変わる柄を選びたい人 |
| ミツノブ 久留米はんてん レディース | 長袖 | 表・裏 綿100% | 軽くてゆったりした女性用を探している人 |
1. はんてんは、二人一組で綿を入れてつくる
はんてんの暖かさを決めるのは、表地と裏地のあいだに入る綿です。福岡県の資料によると、筑後の織元では二人一組が左右から同時に生地のあいだへ綿を入れていきます。そうして綿をむらなく入れるのが、この工程の要です。
綿を入れたら、次は「とじり」。着ているうちに中の綿が偏らないよう、要所を手作業で縫い付けて止めます。宮田織物は、いまも「1枚1枚、手作業で、わたを入れ、1針1針手縫いで綴じる」仕事を続けています。
この仕事は、筑後市・久留米市・大木町にある筑後染織協同組合の6つの事業者が受け継いでいます。2025年12月、福岡県はこれを「久留米綿入はんてん」として県知事指定特産工芸品に指定しました。
2. 背中を包む綿が、体温をためておく
「着る布団」と呼ばれるわけ
はんてんは、布団と同じように綿の層で体を包む服です。福岡県は久留米綿入はんてんを「木綿わた独特の保温性を持つ衣服」と説明しています。ふっくらした綿が体温で温まった空気をため、肩から背中をじんわり温めます。
中の綿は、つくり手と商品ごとに配合が違います。宮田織物の60双糸縞は綿80%・ポリエステル20%のわたで、同じ筑後市の新川桂がオリジナルブレンドでつくったもの。狐火は表地・裏地・わたのすべてが綿100%です。商品ページの「中わた」の欄を見れば、配合が分かります。
3. 表地を見る。久留米絣の織元が織る木綿
筑後市は、国の重要無形文化財「久留米絣(くるめがすり)」の機元(はたもと)が数多くある土地です。宮田織物も、1913年(大正2年)に創業者の宮田サカヱが久留米絣を織り始めたことから始まりました。いまもデザイン、布地織り、縫製までを自社で手がけています。
だから筑後のはんてんは、表地を選ぶ楽しみがあります。たとえば宮田織物の60双糸は、細い糸を2本撚り合わせた糸で織った縞で、さらりと滑らかな肌ざわりと、薄く軽やかな着心地が持ち味。一方の「狐火」は、はんてんのためだけに織り上げた、1柄が約130cmにも渡る生地です。七宝の柄が光の加減で浮かび上がるよう、柄糸の色の組み合わせを数十パターン試し織りして決めたといいます。
昔ながらの縞や格子だけでなく、洋室のソファにもなじむ色や柄も増えています。部屋でいちばん長く着る服なので、毎日目に入る柄を選んでください。
4. 形で選ぶ。長袖・やっこ・袖なし
はんてんの形は、袖の長さで3つに分かれます。宮田織物の60双糸縞は、同じ生地でこの3つの形がそろっています。
- 長袖(標準):手首の近くまで袖があり、肩から腕まで包みます。ソファでくつろぐ時間や、寝る前の読書に。いちばん暖かく感じる形です。
- やっこ(半袖):袖がひじより短く、腕まわりがすっきり。料理や皿洗い、パソコン作業で袖が邪魔にならず、背中と肩はしっかり綿で包まれたままです。
- 袖なし(ポンチョ・ちゃんちゃんこ):ベストのような形で、厚手のセーターの上からでも腕が窮屈になりません。背中だけを温めたいときに。
5. 筑後の織元がつくる、日本製はんてん5着
どれも筑後染織協同組合の織元がつくる、日本製のはんてんです。形と生地で選んでください。
宮田織物|わた入れはんてん 60双糸縞(長袖)
細い糸で織るから、軽くてさらりとした一着。
福岡県筑後市の宮田織物は、1913年創業の織元です。この60双糸縞は、細い糸を2本撚り合わせた60双糸で織った縞の表地を使い、さらりと滑らかな肌ざわりと、薄く軽やかな着心地が持ち味。
表地・裏地は綿100%、中わたは綿80%・ポリエステル20%。デザインから布地織り、縫製まで自社で手がけ、わたは一枚一枚手で入れて綴じています。「重いはんてんは苦手」という人の最初の一着に。
宮田織物 わた入れはんてん 60双糸縞(長袖)
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宮田織物|やっこはんてん 60双糸縞(半袖)
台所に立つ人の、半袖のはんてん。
長袖のはんてんは、皿洗いのたびに袖をまくるのが手間です。やっこは袖がひじより短いので、水仕事やパソコン作業でも袖が邪魔になりません。
生地は上の長袖と同じ60双糸縞。肩と背中は綿でしっかり包んだまま、手元だけ自由になります。家族のなかで、いちばん家事をする人への贈り物にも。
宮田織物 やっこはんてん 60双糸縞(半袖)
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宮田織物|わた入れポンチョ 60双糸縞(袖なし)
セーターの上から、背中だけ温める。
袖のない、ベストのような形。厚手のニットを着たままでも腕が窮屈にならず、さっと羽織ってさっと脱げます。
同じ60双糸縞で、長袖・やっこと柄をそろえられるのも、ひとつの織元が形違いでつくっているからこそ。在宅で机に向かう時間が長い人の、背中の冷え対策に。
宮田織物 わた入れポンチョ 60双糸縞(袖なし)
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宮田織物|狐火はんてん ロング95cm丈(中わたまで綿100%)
はんてんのためだけに織った、1柄130cmの生地。
表地の「狐火(きつねび)」は、宮田織物がはんてんのために織り上げた、1柄が約130cmに渡る特別な生地です。七宝の柄が光によってグラデーションのように浮かび上がるよう、柄糸の色の組み合わせを数十パターン試し織りして決めました。
表地・裏地・中わたのすべてが綿100%。裏地にも和木綿「麻の葉」を使ったリバーシブルで、丈は95cmのロング。宮田織物によると、発売以来、毎年完売するほどの人気だそうです。冬が来る前に選んでおきたい一着。
宮田織物 狐火はんてん ロング95cm丈 中わた綿100%
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ミツノブ|久留米はんてん レディース
背中が暖かくて、軽くて、着やすい。
同じ筑後染織協同組合の織元、ミツノブのレディースはんてんです。表地・裏地ともに綿100%、中綿は綿70%・ポリエステル30%。
ゆったりとした着心地で、部屋着の上からでも楽に羽織れます。懐かしさと暖かみのあるデザインは、冬の贈り物にも。
ミツノブ 久留米 わた入れはんてん レディース
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6. ふっくらを保つ洗い方・干し方
はんてんは、商品によって洗い方が違います。たとえば宮田織物の60双糸縞は「家庭洗濯/手洗い可」。中の綿を偏らせないことが、いちばん大切です。
1. 洗うなら「押し洗い」
たらいや浴槽にぬるま湯(または水)とおしゃれ着用の中性洗剤を入れ、はんてんを軽くたたんで、上から押すように洗います。もんだり、こすったりすると綿が偏る原因に。汚れが落ちたら、泡が出なくなるまですすぎます。
2. 脱水は短く
洗濯機で脱水するなら、ごく短時間にとどめます。長く回すと、中の綿が片寄ったり、ちぎれたりしやすくなります。
3. 形を整えて干し、ときどき日に当てる
形を整え、綿の偏りを手でならしてから、風通しのよい場所で干します。洗わない日も、晴れた日に干して空気を含ませると、綿がふっくらしやすくなります。色あせが気になるときは裏返して。
7. よくある質問(FAQ)
綿入れのはんてんは、重たくないですか?
生地と中わたで、着心地の重さは変わります。 軽さを重視するなら、細い糸で織った宮田織物の60双糸縞(「薄く軽やかな着心地」)や、ミツノブのレディース(「背中が暖かくて軽くて着やすい」)のように、つくり手が軽さを書いているものを。中わたの配合は商品ページの「中わた」欄で確かめられます。
中の綿がぺたんこになったら、もう寿命ですか?
すぐに寿命というわけではありません。 晴れた日に干して空気を含ませ、取り込むときに軽くたたくと、綿がふっくらしやすくなります。綿の偏りは、手でならしてから干しましょう。
洗濯機で洗えますか?
洗濯表示を見てください。 商品によって違います。家庭で洗えるものも、基本は押し洗いがいちばん安心です。洗濯機を使うなら、表示を確かめたうえで、弱い水流と短い脱水に。
サイズは、どう選べばいいですか?
ゆったり羽織るものなので、普段の服の上から着る前提で選びます。 はんてんは男サイズ・女サイズ、普通サイズ・大きいサイズといった分け方が多く、身丈も商品で違います。商品ページの身丈と裄丈(ゆきたけ)を、手持ちの上着と比べると失敗しません。
「どてら」「丹前」と「はんてん」は、何が違いますか?
どれも綿を入れた防寒着で、いまは呼び方が混ざっています。 一般に、はんてん(半纏)は丈が短めで動きやすい部屋着、どてら・丹前は丈が長くゆったりした綿入れを指すことが多い言葉です。商品名にどれが付いているかより、丈と形を見て選んでください。
「久留米綿入はんてん」とは何ですか?
福岡県の筑後地域でつくられる綿入れはんてんで、2025年12月に県知事指定特産工芸品になりました。 筑後市・久留米市・大木町の織元が、二人一組で綿を入れる「綿入れ」と、綿が偏らないよう手で縫い付ける「とじり」の工程で仕立てています。
8. まとめ:今年の冬は、背中に綿を一枚
二人一組で綿を入れ、偏らないよう手で綴じる。筑後の織元が受け継いできたこの仕事は、2025年に「久留米綿入はんてん」として福岡県の特産工芸品になりました。
くつろぐなら長袖、台所に立つならやっこ、セーターの上からなら袖なし。表地は、毎日目に入る柄を。筑後の織元の名前を手がかりに、ぜひ国産のはんてんを一枚、冬が来る前に選んでみてください。