小さな「願い」を飾る。四季を呼び込む、大人の室礼(しつらい)。

なぜ、日本人は部屋に人形や動物を飾るのでしょうか?
それは単なる装飾ではなく、「福を招く」「子供の成長を願う」という祈りの形だからです。
お正月の鏡餅、春の雛人形、商売繁盛の招き猫。
かつては床の間に飾られたこれらのアイテムも、今は棚の上に置ける「アートピース」へと進化しています。職人の手仕事が宿る、小さくても本物のオブジェを特集します。

インテリア・置物の選び方と基礎知識

【節句】 箱に収まる「モダンな雛人形・五月人形」

「マンションだから飾る場所がない」。そんな悩みを解決する、デザインコンシャスな節句飾りが増えています。
・組み木(Kumiki)の雛人形:
パズルのように遊べて、収納時は小さな箱に収まる木製のお雛様。木の経年変化を楽しめるため、インテリアとして通年飾る大人も増えています。
・ガラスや陶器の兜(Kabuto):
威圧感のない、透き通るようなガラスの兜や、スタイリッシュな白磁の兜。玄関やチェストの上に置くだけで、季節の空気がキリッと引き締まります。


【縁起物】 「招き猫」と「達磨」のストーリー

世界中で愛されるラッキーチャームにも、深い意味があります。
・招き猫(Maneki Neko):
「右手」を挙げているのは『お金/幸運』を、「左手」は『人/客』を招くとされています。愛知・瀬戸焼や常滑焼が有名ですが、最近は北欧インテリアに馴染む「マットホワイト」や「ブラック」のモダンな猫が人気です。
・達磨(Daruma):
「七転び八起き」の象徴。願いを込めて左目を描き、叶ったら右目を描く、参加形のアートです。群馬・高崎だるまが有名ですが、今はインテリアに合わせて選べる「デザイナーズ達磨(金・銀・パステルカラー)」が登場しています。


素材で選ぶ「郷土玩具」のぬくもり

・張り子(Papier-mâché):
和紙を型に貼って乾かした人形。中が空洞で軽く、素朴な表情と独特の揺れ感が癒やしを与えます(福島の赤べこなど)。
・こけし(Kokeshi):
東北地方の木製人形。かつては子供の玩具でしたが、現在はその幾何学的な美しさと、職人ごとの絵付けの個性が評価され、海外のデザイナーにコレクターが多いアイテムです。


センス良く飾るための「室礼」のコツ(Q&A)

Q. どこに飾ればいいですか?(床の間がない)
A. 玄関のシューズボックスの上、リビングのチェストの上、壁の飾り棚(ニッチ)が現代の「床の間」です。
重要なのは「敷物」です。置物の下に、和紙や小さな布、木の台座を一枚敷いてください。それだけで空間が区切られ、ただ置いているのではなく「飾っている(聖域)」という雰囲気が生まれます。

Q. お正月飾りはいつ飾る?
A. クリスマスが終わった12月26日〜28日頃がベストです。「29日(二重苦)」と「31日(一夜飾り)」は避けるのがマナー。片付けるのは一般的に「松の内(1月7日)」までとされています。