お土産品とは違う。一生モノの「本物の着物」の見分け方。

日本に来て着物を買いたいけれど、「どれがフォーマルで、どれが普段着?」「値段の差は何?」と迷うことはありませんか?
着物には明確な「格(ランク)」と、品質を保証する「証(あかし)」があります。
観光客向けの安価なプリント浴衣と、職人が染めた本物の浴衣の違い。シルク(正絹)とポリエステルの見分け方。
ここでは、あなたがお店で「通(ツウ)」な買い物をするための、プロの視点を伝授します。

織物・和装の選び方と基礎知識

【選び方の基準】 「染め」はドレス、「織り」はデニム

お店に入ったら、まずはその着物が「いつ着るものか」を見極めましょう。洋服に例えると分かりやすくなります。

1. フォーマル=「染め」の着物(柔らかい):
生地に後から絵を描いたもの(友禅など)。表面がツルッとしていて光沢があります。

  • 振袖(Furisode): 未婚女性の第一礼装。長い袖が特徴。=「イブニングドレス」
  • 訪問着(Homongi): 絵柄が肩から裾へ繋がっているもの。=「カクテルドレス」

2. カジュアル=「織り」の着物(硬め・マット):
色のついた糸で模様を織り出したもの(紬・絣など)。表面に節(フシ)や凹凸があります。

  • 紬(Tsumugi)・絣(Kasuri): 丈夫で温かみがある。高価なものでも式典には着られません。=「高級なヴィンテージデニム」や「ツイードジャケット」
  • 小紋(Komon): 全体に同じ柄が繰り返されている染め物。=「柄物のワンピース」

★観光や街歩き、ディナーなら「紬(Tsumugi)」や「小紋(Komon)」を選ぶのが正解です。


【品質・グレード】 値段の差はここに出る!

見た目は似ていても、数千円のものと数十万円のものでは「素材」と「手間」が決定的に違います。

・正絹(Shoken)vs ポリエステル:
本物の着物は「正絹(シルク100%)」です。光を柔らかく反射し、着ると体に吸い付くようなドレープが生まれます。一方、安価なポリエステルは光沢が強く、少し滑りやすいのが特徴。
※最近は「東レシルック」のような、プロでも見分けがつかない高級ポリエステルもあります(これは雨の日に最適)。

・証紙(Shoushi)を探せ:
伝統的な着物(大島紬、結城紬、西陣織など)には、必ず「証紙」という登録商標のラベルが付いています。「伝統工芸品マーク」や「産地の組合マーク」が、本物であることの証明です。リサイクルショップで買う時も、この証紙があるものは価値が高いと判断できます。


【浴衣】 「お土産用」と「本物」の違い

夏のお祭りや温泉で着る浴衣(Yukata)。ここにも大きなグレードの差があります。
・量産プリント(インクジェット):
数千円で買えるもの。裏地を見ると白っぽくなっており、柄が裏まで通っていません。
・注染(Chusen)と絞り(Shibori):
職人が手作業で染める「注染」や、布を糸で括って染める「絞り(有松絞りなど)」は、裏側までしっかり色が通っています。
生地も凹凸のある「紅梅(こうばい)」などが使われ、汗をかいても肌に張り付かず、涼しさが段違いです。大人が着るなら、ぜひ「注染」か「絞り」を選んでください。


【和装デビューしたい人にもおすすめ】 「Haori」というカーディガン

着物を着るのはハードルが高い...という方に爆発的に人気なのが「羽織(Haori)」です。
本来は着物の上に着るジャケットですが、現在はTシャツやジーンズの上に「ロングカーディガン」感覚で羽織るスタイルが世界中でクールとされています。
特に黒い紋付きの羽織や、裏地(羽裏)に派手な絵が描かれたヴィンテージの羽織は、一点物のアートとして非常に人気があります。


どこで買う? ショッピングガイド

1. デパート(呉服売り場):
最高級の新品が揃います。人間国宝級の作品を見たいならここ。
2. リサイクル着物店(Vintage Shop):
実は最も狙い目。昔の良い生地(正絹)で作られた着物が、驚くほどリーズナブルに手に入ります。原宿や浅草、京都には、英語対応可能なヴィンテージショップが多くあります。
3. 産地の工房直売所:
金沢(友禅)、奄美大島(大島紬)など、旅行で産地に行くなら直売所へ。職人から直接、制作秘話を聞きながら購入できます。