もう、靴擦れはいらない。日本人の「足」を知り尽くした一足。

「欧米の靴はカッコいいけれど、足が痛くなる」。その原因は、骨格の違いにあります。
日本人の足は「甲高・幅広」。日本の靴職人は、この独特な足の形に合う「木型(ラスト)」を削り出し、吸い付くようなフィット感を実現しています。
福岡・久留米で窯(かま)で焼かれるスニーカー、東京・浅草の質実剛健な革靴、神戸の柔らかいパンプス。
ここでは、修理しながら10年履ける革靴から、雨の日も滑らない職人魂の宿るスニーカーまでを特集します。

靴・履物の選び方と基礎知識

【久留米・スニーカー】 窯(かま)で焼く「ヴァルカナイズ製法」

福岡県久留米市は、ブリヂストンなどが創業したゴム産業の聖地です。ここで作られるスニーカーは、世界的にも希少な製法で作られています。
・ソールが剥がれない:
スニーカーの本体とゴム底を接着した後、硫黄を加えて窯に入れ、高温で焼き上げる「ヴァルカナイズ(加硫)製法」。
ゴムが化学変化を起こして硬化し、本体と強力に圧着されるため、どれだけ曲げてもソールが剥がれず、美しいシルエットを保ちます。
・手仕事の証:
多くの工程が手作業のため生産数は限られますが、その丈夫さと、陶器のようなクラシックな質感は、世界の靴好きを魅了しています。


【浅草・革靴】 「グッドイヤーウェルト」と日本人の足

東京・浅草エリアは、150年近く続く革靴の生産地です。
・日本人のための「ラスト(木型)」:
海外ブランドの靴は「幅が狭く、甲が低い」ことが多いですが、日本のブランドは日本人の「幅広・甲高」な足に合わせて木型を設計しています。「カカトが浮かない」「指が痛くない」という体験は、国産靴ならではの感動です。
・修理できる製法:
高級靴の代名詞「グッドイヤーウェルト製法」で作られた日本の革靴は、中底にコルクが敷き詰められており、履くほどに沈んで足の形に変形します。ソールが磨り減っても交換修理(オールソール)が可能で、手入れ次第で10年、20年と履き続けられます。


【神戸・長田】 走れるパンプスと「ケミカルシューズ」

ファッションの街・神戸(長田区)は、レディースシューズの生産量日本一を誇ります。
・科学が生んだ「履きやすさ」:
戦後、ゴム素材から発展した「ケミカルシューズ(合成皮革など)」の技術が進化したエリア。本革のような見た目でありながら、雨に強く、驚くほど軽く、柔らかい。
クッション性の高いインソールを組み合わせた「走れるパンプス」は、働く日本の女性たちの足を支え続けています。


【奈良・和履物】 ジーンズに合う「雪駄(SETTA)」

今、新しいトレンドとして注目されているのが、日本の伝統的な履物をアップデートしたアイテムです。
・雲の上を歩く履き心地:
奈良県などが得意とする雪駄(せった)や草履(ぞうり)。最新モデルは、ミッドソールにスニーカーと同じEVA素材やエアーバッグを採用。
鼻緒のデザインもモダンになり、ジーンズや短パンに合わせる「和モダンなサンダル」として、海外でも人気急上昇中です。


靴を育てるメンテナンス(Q&A)

Q. 革靴は雨の日に履かない方がいい?
A. 基本的には避けるべきですが、日本には「撥水レザー」を使った革靴も多数あります。濡れた場合は、帰宅後に新聞紙を入れて湿気を取り、完全に乾いてからクリームを塗れば問題ありません。

Q. スニーカーのゴム部分の汚れが落ちません。
A. ヴァルカナイズ製法のゴムソールは丈夫ですが、汚れがつくと目立ちます。メラミンスポンジ(激落ちくん等)で軽く擦ると、驚くほど白さが蘇ります。

Q. 「シューキーパー」は必要?
A. 必須です!人の足は1日にコップ1杯の汗をかきます。脱いだ後に木製のシューキーパーを入れることで、湿気を取り除き、靴の反り返りや型崩れを防ぎます。これが靴の寿命を2倍にします。