事業者・ブランド紹介

山只華陶苑

高田の青土で、すり鉢をもっと心地よく。

岐阜県多治見市高田町で、すり鉢づくりを軸に続いてきた「山只華陶苑(YAMATADA)」。はじまりは1794年、初代・藤兵衛(とうべえ)が分家の窯を構えたことにさかのぼります。高田で採れる原土「青土(あおと)」を大切にし、土の“ざらっ”とした質感が生む摩擦力を、すり鉢の持ち味として磨いてきました。近年は、渦を描く「波紋櫛目」を施したJUJU mortierも展開。すり目が食材を上へ逃がしにくくし、右回り・左回りのどちらでも使いやすい発想が魅力です。唐草や線彫りのリムすり鉢、口付きすり鉢、納豆鉢まで、かたちはいろいろ。気になる品はギャラリーから選び、問い合わせでやり取りしながら迎えられるのも、ちょっと特別な楽しみ方です。

〒507-0033 岐阜県多治見市高田町8丁目46 やまただかとうえん
山只華陶苑

ここが推し!

届いたらまず“当たり”を付けて、すりこ木が面全体に当たる感覚をつかむと使い始めがスムーズです。香りを立てたい胡麻や山椒はJUJU mortierで、回す方向を選ばない目立てを試してみるのも楽しいところ。ドレッシングや和え衣は口付きすり鉢にすると、そのまま注げて手早くまとまります。器として使うなら、唐草や線彫りのリムすり鉢を“盛り鉢”に。納豆鉢は混ぜやすいサイズ感なので、朝の一品にちょうど良さそうです。

PROFILE 企業・工房について

山只の歩みは1794年、初代・藤兵衛(とうべえ)が分家の窯を構え、「無から有を生む」という意味を込めて“山只”の名を掲げたところから始まります。窯そのものも、窯道具も、まずは手でつくり上げて陶器づくりを始めた――そんな原点を今も語り継ぎます。合言葉は「高田の土を理解すること」と「創造と革新」。代々の藤兵衛が受け継いできた、この2つが“すり鉢の窯”としての背骨になっています。

土へのこだわりを語るとき、必ず出てくるのが「青土(あおと)」。水簸で粘土にしたとき、細かな粒子の間に大きな粒子が入り込むことで生まれる“ざらつき”が、摩擦力の土台になると言います。すり目に釉薬を掛けたものや磁器土のものと比べると違いが分かりやすい、というのも山只らしい説明。すり鉢の欠点として語られがちな摩耗についても、土の粒子が“鋭さをやさしくガードする”という視点で向き合っています。

ラインナップは、リムの装飾が楽しい「唐草rimすり鉢」「線彫りrimすり鉢」、注ぎ口のある「口付きすり鉢」、そしてJUJU mortierへ。渦を描く「波紋櫛目」は、食材が上へ動きにくく、その場で細かくすれやすいよう考えたものです。開発には約9年を費やし、回す方向を選ばない目立てを目指した、と語られています。ワラ白や鉄クロなど、表情の違いも選びどころになります。

道具は、買って終わりではなく、使い方の所作まで含めて育てていくもの。山只がすすめる“当たり”は、すり鉢とすりこ木を湿らせ、右回り・左回りを均等にすってなじませる手順です。すりこ木には山椒の木が使われてきた背景にも触れ、国内産の木を使ってほしいという姿勢も示しています。商品はギャラリーから選び、問い合わせで相談しながら届けてもらうスタイル。ゆっくり選べる距離感も、この窯の魅力です。

高田の土「青土」がつくる、摩擦力とやさしさ

青土(あおと)は高田で採れる原土で、掘り出した土の色が少し青みがかって見えることからそう呼ばれます。水簸して不純物を取るだけでも使える性質を持ち、粒子の大小が混ざることで内側に“ざらっ”とした感触が残ります。このざらつきが、すり鉢の摩擦力につながるという考え方です。

“白い輪”の正体。焼成時の工夫まで隠さない

すり鉢は重ねて焼成するため、器同士がくっつかないように「アルミナ」を塗ります。内側に見える白い輪は、その名残。初代の頃は山砂で代用していたそうですが、精製できるようになってからも感覚を近づけるため、粒子の大きいアルミナを特別に混ぜて輪を軽減しようとしています。

使い始めの“当たり”で、すり鉢とすりこ木をなじませる

山只では、使う前に“当たり”を付けることをすすめています。すり鉢とすりこ木を水に浸して湿らせ、食材のない状態で右回り・左回りを同じようにゴリゴリ。すり目とすり目の間にできる薄く弱い部分が取れたら終了、という手順です。車で言う慣らし運転のように、最初にひと手間かけておくと、すり心地が整いやすいという発想です。

渦を描く「波紋櫛目」。2000年に生まれたオリジナル

内側の目立てを渦状にした「波紋櫛目」は、7代目の工房で2000年に形になったオリジナルの意匠。食材が上へ逃げにくく、その場ですれていく発想から生まれました。回す方向を選ばず使える目立てを目指し、完成まで約9年をかけたという開発の時間も、道具への本気度を物語ります。