和がき

宮城県東松島市・東名地区。日本三景・松島湾に隣接する漁業の町に、宮城県産牡蠣の出荷基地を目指す「株式会社和がき」があります。牡蠣生産者が中心となり、種牡蠣から殻付・ブランド牡蠣までを一手に扱う会社として、2011年に設立されました。

代表取締役の阿部年巳さんは、東松島で牡蠣漁師の家に生まれ、ドラッグストア勤務を経て家業を継いだ三代目の牡蠣漁師。2011年3月の東日本大震災では、自宅や船を失うなど甚大な被害を受けますが、「もう一度、自分たちの牡蠣で喜んでもらいたい」という声に背中を押され、新しい牡蠣ビジネスの形を模索し始めます。

震災後に訪れた牡蠣養殖先進国・フランスでは、生産から出荷、レストラン運営までを一体で担う企業の姿や、殻付牡蠣が当たり前のように流通する仕組みに衝撃を受けたといいます。漁師が殻付のまま出荷し、飲食店や消費者が最短距離で新鮮な牡蠣を楽しむ――そのモデルをヒントに、日本でも「殻付牡蠣を中心とした新しい出荷の形」をつくろうと決意しました。

2011年12月には、志を同じくする仲間たちと株式会社和がきを設立。2013年には出荷工場が完成し、本格的な出荷事業を開始します。宮城県内の複数産地に提携生産者を持ち、そのとき最も状態の良い浜を選んで水揚げする体制を構築。安全性の確保・安定供給・品質維持を同時に実現できる仕組みを整えてきました。

現在、和がきは一般向けのギフト・通信販売事業に加え、飲食店向けの卸販売事業、種牡蠣生産・販売事業を柱に、宮城の牡蠣を通じた「共存共栄」の関係づくりに取り組んでいます。産地ツアーや漁場視察、オンラインイベントなども行い、生産者の想いと海の恵みを、全国の食卓と飲食の現場につなぎ続けています。

宮城県産牡蠣の出荷基地としての一貫体制

和がきは、東松島を拠点に宮城県内の主要な牡蠣産地と連携し、種牡蠣から殻付牡蠣・むき身・ブランド牡蠣までを一括で扱う出荷基地です。生産者に近い立場で品質を見極めながら、一般のお客様、ご飲食店様、全国の牡蠣生産者まで幅広く届けています。

複数の浜と提携した「一番牡蠣」の安定供給

雄勝・女川・万石浦・渡波・牡鹿半島・東松島・松島など、宮城県内の複数産地に提携生産者を持つことで、日々の状態を見極めながら「今いちばんおいしい牡蠣がある浜」から水揚げ。生食用を含めた通年供給と安定した品質を両立し、オイスターバーや牡蠣小屋業態からも支持されています。

一般向けギフトから飲食店向け卸まで多彩なライン

冬から夏にかけては殻付牡蠣やむき身を組み合わせたギフトセットや、ご自宅用のお徳用セットを全国発送。飲食店向けには、殻付・むき身に加え、ホタテ・ホヤ・ムール貝・ツブ貝なども扱い、販促のぼりやポップの無償提供、衛生検査結果や出荷情報の配信など、現場に寄り添ったサービスを展開しています。

種牡蠣生産と世界に通じる「カキビジネス」への挑戦

全国有数の種牡蠣生産地である東松島の地の利を生かし、種牡蠣の生産・出荷にも注力。震災後にはフランスなど海外の養殖方法も学び、日本の牡蠣産業に新しい流通モデルを持ち込むべく、殻付牡蠣の流通や産地ツアー、オンラインイベントなど、多方面から牡蠣の価値を伝える取り組みを行っています。