柴田慶信商店
白木のまま、杉の呼吸を台所へ。
秋田県大館市で受け継がれてきた大館曲げわっぱ。その中でも柴田慶信商店は、北国でじっくり育った天然杉を使い、白木(無塗装)のまま暮らしの道具へと仕立てる店です。炊きたてのごはんの水分をほどよく吸い、冷めてもふっくら感を保ちやすい調湿性が持ち味。合わせ目には山桜の木皮を縫い通す「樺綴じ」を施す品もあり、木の表情にさりげない景色が生まれます。弁当箱、おひつ、飯切に加えて、せいろや茶道具まで。毎日の台所からおもてなしまで、そっと寄り添う一式が揃います。白木は吸って吐く素材だから、たわしでさっと洗い、よく拭いてからしっかり乾かすだけでも気持ちよく付き合えます。1966年創業。2018年にはミュージアムと製作体験の場を備えた「わっぱビルヂング」も生まれ、旅先で立ち寄る楽しみも広がりました。
ここが推し!
ご飯がふっくらしやすいので、おにぎりや焼き魚弁当が気持ちよく収まります。家ではおひつや飯切で“ごはんの道具”を揃えるのも楽しい。現代的な形が好みなら「マゲワ」シリーズを覗くのもおすすめです。樺綴じは模様違いで選べますし、旅先でわっぱビルヂングの製作体験を予約してみるのもいい。使い込んだら修理の相談ができるのも心強いポイントです。
PROFILE 企業・工房について
柴田慶信商店が拠点を置くのは秋田県大館市。大館曲げわっぱは、薄くした板を曲げて作る「曲げ物」の技から生まれました。初代・柴田慶信は1964年に曲げ物の道へ。1966年に創業し、1979年に設立された曲げわっぱ協同組合にも関わりました。需要開拓のため国内外で実演を行い、講演会や展覧会の企画にも携わったとされています。1980年には大館曲げわっぱが国の伝統的工芸品に指定されています。
店の大きなこだわりが、白木(無塗装)の曲げわっぱ。天然杉の調湿性を生かし、炊きたてのご飯の水分をほどよく受け止めてくれます。白木は汚れも染みやすい素材なので、たわしでさっと洗い、よく拭いて乾かすのが基本。夏目は厚めに、冬目は薄く削るなど、反りにくさへの工夫も案内されています。ふたの反りが気になるときは、軽く濡らしてから内側を下にして乾かす方法も紹介されています。
曲げ目のアクセントになるのが「樺綴じ」。大館市内で山桜の木皮を採取し、乾燥後に磨いて艶を出したものを、合わせ目に縫い通します。木皮は細く裂いた1本ずつを使い、縫いのリズムが木目にやさしく溶け込みます。子持ち縫いは弁当箱に多く、子孫繁栄を願う模様。鱗綴じや両鱗綴じは厄除けの意味があるとされ、飯器やシャンパンクーラーなどにも施されます。これらの意匠は2023年に登録商標となっています。
品ぞろえは飯切・おひつ・飯器、白木弁当箱、重箱や菓子器、和せいろ、茶道具、カップ類、折敷や盆、箸やへらまで幅広く。2008年には日用品デザイナー大治将典氏と「マゲワ」シリーズを発表しました。2018年には大館の複合施設「わっぱビルヂング」にミュージアムと製作体験スペースを設置。体験は電話での事前予約制です。修理は秋田本店で受け付け、伝統工芸士の最終確認を経て完了します。
白木(無塗装)で、杉の調湿性をそのまま
白木は無塗装。ご飯の水分をほどよく吸って、冷めてもおいしさを保ちやすいのがうれしいポイントです。夏目(夏の柔らかい木目)は厚めに、冬目(冬の締まった木目)は薄く削り、反りにくさにも目を配っています。ふたが反ったときは、軽く濡らしてから内側を下にして乾かす方法も案内されています。
山桜の木皮を縫い通す「樺綴じ」
合わせ目に縫い込まれるのは、山桜の木皮。大館市内で職人が採取し、乾燥後に磨いて艶を出し、1本ずつ使います。子持ち縫いは弁当箱に多く、子孫繁栄を願う模様。鱗綴じは厄除けの意味があるとされ、大型の品にも。子持ち縫い・鱗綴じ・両鱗綴じは2023年に登録商標になりました。
1966年創業。大館曲げわっぱの歩みと並走
初代・柴田慶信が曲げ物の道に入ったのは1964年。師匠を持たず試行錯誤で技法を学び、1966年に柴田慶信商店を創業しました。1979年に設立された曲げわっぱ協同組合にも関わり、1980年の国の伝統的工芸品指定に向けた環境整備や資料作成にも力を注いだ歩みが残ります。
直営店・体験・修理まで、長く付き合える体制
大館の秋田本店は工場も併設し、平日10:00〜17:00に営業(祝日等は定休)。2018年には大館に「わっぱビルヂング」を開き、ミュージアムと製作体験スペースも用意しました。東京では浅草店を2010年に開店し、2015年にオレンジ通りへ移転。修理は秋田本店で受け付け、伝統工芸士の最終確認で仕上げます。