事業者・ブランド紹介

玉川堂

燕の鎚起銅器を、いまの暮らしへ。200年の手仕事が生む「銅のうつわ」。

玉川堂(Gyokusendo)は、新潟県燕市に工房を構える鎚起銅器(ついきどうき)の工房です。1816年の創業以来、一枚の銅板を金槌で叩き締めながら立ち上げ、湯沸かしや急須、茶器、カップなど、暮らしの道具へと仕立ててきました。鎚起銅器は新潟県の無形文化財にも指定されており、玉川堂では工房での見学(オープンファクトリー)を通して、その音や手仕事のリズムに触れることもできます。燕の工房を拠点に、銀座(GINZA SIX)などの店舗展開も行い、修理の相談にも対応しながら、道具を長く使い続ける文化を支えています。

〒959-1244 新潟県燕市中央通2丁目2番21号(玉川堂 燕本店) ぎょくせんどう
玉川堂

ここが推し!

「銅の道具って、ちょっと敷居が高そう」――そう思っていた人ほど、玉川堂の器に触れると印象が変わります。鎚目の表情や、色の揺らぎ、手に取ったときのしっとりした重み。どれも“飾るため”ではなく、毎日の湯沸かしや一杯のお茶を、静かに格上げしてくれる実用品として立ち上がっています。しかも工房は見学できて、修理も相談できる。道具を買って終わりじゃなく、暮らしの中で一緒に歳を重ねていけるブランドだと感じました。

PROFILE 企業・工房について

雪深い新潟・燕で、鎚起銅器一筋。玉川堂の歩みは1816年(文化13年)に始まります。燕三条というと金属加工のイメージが強いですが、玉川堂が大切にしてきたのは「一枚の銅板を、鎚で器へ立ち上げる」という、極めて身体性の高い手仕事。叩く音、火に入れる匂い、銅が柔らかくなる瞬間――そうした“工房の時間”が、そのまま器の佇まいに残ります。

鎚起の面白さは、素材を“伸ばす”のではなく、“縮める”ように叩いて形を作るところにあります。やかん一つを完成させるために、金鎚と当て金(鳥口など)の膨大な組み合わせを使い分け、途中で何度も焼き鈍しを挟みながら、銅の硬さと柔らかさを行き来させる。最後は鏡面の金鎚で全体を均し、鎚目や肌感を整えていく――その積み重ねが、玉川堂の“道具としての美しさ”を支えています。

プロダクトの中心にあるのは、玉川堂の原点ともいえる湯沸(やかん)。なかでも「口打出」は、注ぎ口までを継ぎ目なく打ち出す高度な仕事で、流れるような曲線が目を引きます。一方で、茶器の世界では、銅が湯の熱に反応して素早く温まり、対流によって茶葉がよく開くとされる銅製急須など、“素材の性質”を暮らしの快適さへつなぐ発想も見えてきます。

玉川堂を語るうえで欠かせないのが「色」。銅の酸化、錫引き、焼成、磨き、再酸化――工程を重ね、温度や時間を見極めることで、赤、青、銀、茶など多彩な色調が生まれます。ほんの少しの差が仕上がりを変えるからこそ、色付けは一点ずつ。職人の目と手が最後まで入り、同じ色名でも微妙な揺らぎが残るのが魅力です。

燕本店では、築約100年の工場で実際に銅器づくりを見学でき、見学後には畳の部屋で完成品に触れられる時間も設けられています。工房の空気に触れてから器を手に取ると、鎚目の一つひとつが“工程の記憶”として立ち上がってくるはず。銀座店やKOGAIなど、都市部で出会える場があるのも嬉しいところです。

そして、道具は使ってこそ価値が増すもの。玉川堂は修理の相談にも応じており、長く使い続けるための導線をきちんと用意しています。暮らしの中で傷がついたり、調子が変わったりしても、まずは相談できる。伝統を“守る”だけでなく、“使い継ぐ”ためにアップデートしてきた姿勢が、玉川堂というブランドをいっそう身近にしてくれます。

一枚の銅板から、器を“立ち上げる”鎚起銅器

玉川堂のものづくりの核は、鎚(つち)で叩き、銅板を少しずつ立ち上げて器にしていく「鎚起」という技法です。やかん(湯沸)一つを仕上げるのにも、数十種類以上の金鎚や当て金を使い分け、叩いては焼き鈍し(なまし)を繰り返して形を整えます。職人が頭の中に描く“完成形”へ向かって、銅を縮めるように叩きながら立体へ導く――その工程自体が、玉川堂らしさを物語っています。

「口打出」の湯沸に宿る、継ぎ目のない流線

玉川堂の湯沸(やかん)の象徴として語られるのが「口打出(くちうちだし)」。一枚の銅板から、注ぎ口までも継ぎ目なく打ち出していく技で、金鎚が生む流線の美しさが際立ちます。もともと玉川堂は“薬罐屋”から始まった歴史を持ち、創業以来の職人技を、いまの暮らしに持ち帰れる形にしているのが魅力です。

銅に“色”を宿す。七代にわたる酸化・着色の技

玉川堂の銅器は、色のバリエーションも大きな個性です。銅の酸化を利用した赤系の色から、錫引きと焼成を組み合わせて生まれる虹色の青、落ち着いた銀色や茶系まで、工程と温度のわずかな違いで表情が変わります。色付けは一点ずつ個別に行われ、磨きの加減も含めて“同じものが二つとない”佇まいになるのが、工芸品としての醍醐味です。

工房見学と直営店、そして修理対応。長く使うための導線

燕本店は店舗に工場が併設され、銅器づくりの現場を見学できる「Open Factory」も用意されています(予約優先・所要15〜20分ほど・無料)。直営店は燕本店のほか、GINZA SIX 4Fの銀座店(2017年4月オープン)や、西麻布の「玉川堂 笄 KOGAI」も展開。さらに修理の相談も受け付けており、“買って終わり”ではなく、使い続けるためのサポートが整っているのが心強いポイントです。