型番の最後に、(G)か(E)が付いています。
リコーダーの箱や商品名をよく見ると、204A(G) のように、番号のうしろに小さな記号が入っています。これは色や仕上げの違いではありません。指づかいの体系が違うという意味です。
(G)はジャーマン式、(E)はバロック式。同じメーカーの同じシリーズでも、この一文字で運指が別のものになります。買ってから気づくと、指を覚え直すことになります。
もうひとつ、外からは見えないところにも作りがあります。管の壁の厚い部分に、わざと空洞を作ってあるという構造です。
この記事では、記号の読み方、ソプラノとアルトで式が変わる理由、そして管の中の作りを順に見ていきます。
【早見表】買う前に読む、三つの表記
| 表記 | 意味 | 見落とすと |
|---|---|---|
| (G) ▾ | ジャーマン式(ドイツ式) | 指づかいが手持ちと合わない |
| (E) ▾ | バロック式(イギリス式) | 同上 |
| ソプラノ/アルト ▾ | 大きさと音の高さ | 曲集の想定と合わない |
| 木目調 ▾ | 仕上げの名前。素材はABS樹脂 | 木製だと思って買う |
| 覚えておくこと | 記号ひとつで、指づかいが別体系になります。まずそこから ▾ | |
表記を押すと、その解説へ飛べます。
1. 一文字で、指づかいが変わります
(G)と(E)は、色の違いではありません
リコーダーの型番には、204A(G) のように末尾へ記号が付きます。(G)はジャーマン式、ドイツ式。(E)はバロック式、イギリス式です。
この2つは、運指の体系が違います。同じ楽譜を吹くのに、押さえる指の組み合わせが変わる。色違いでも、グレード違いでもありません。
だから、途中で乗り換えると指を覚え直すことになります。学校で使っていたものと同じ式を選ぶか、最初から先を見て決めるか。買う前に決めておく部分です。
同じシリーズで、両方が用意されています
アウロスの「ロビン」というソプラノリコーダーには、204A(ジャーマン式)と 205A(バロック式)があります。
同じシリーズで、大きさも同じ。番号が1つ違うだけです。作り手が両方を用意しているのは、どちらにも使う人がいるからにほかなりません。
売り場で並んでいると、見た目ではほとんど区別がつきません。だからこそ、型番の記号を読むことになります。
AULOS 204A(G) ロビン|ジャーマン式
アウロスのソプラノリコーダー、ジャーマン式です。型番の末尾が(G)になっています。
アウロスを作っているのは、トヤマ楽器製造株式会社です。1954年設立で、事業内容は「楽器の製造・販売、楽譜・CDの企画」。
次のカードは、これと同じロビンのバロック式です。並べて見ると、記号だけが違うことが分かります。
AULOS ソプラノリコーダー 204A(G) ロビン ジャーマン式(ドイツ式)
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AULOS 205A(E) ロビン|バロック式
同じロビンの、バロック式です。型番は205A、末尾が(E)。
並べても、見た目ではほとんど分かりません。変わっているのは、指で押さえる穴の配置と、それに合わせた運指の体系です。
アルトリコーダーに進むなら、バロック式に触れておくと後がつながります。3章で、その理由を見ます。
AULOS ソプラノリコーダー 205A(E) ロビン バロック式(イギリス式)
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2. 学校で配られるものには、理由があります
「小学校の定番モデル」と書かれています
売り場を見ていると、「小学校の定番モデル」という言葉が付いた商品があります。学校でまとめて使われてきたものです。
同じ教室で同じ運指を教えるので、式はそろえられます。だから学校で配られたリコーダーと同じ式を選んでおくと、家でも教わったとおりに吹けます。
子どものものを買い替えるときは、いま持っているものの型番を控えていくのが確実です。記号まで含めて写しておけば、売り場で迷いません。
YAMAHA YRS-27III|ジャーマン式
商品ページに「小学校の定番モデル」と書かれているソプラノリコーダーです。ジャーマン式。
学校で使うものは、落としても割れにくく、掃除がしやすいことが求められます。毎日たくさんの子どもが扱う前提の作りです。
予備として1本持っておく、という買い方もあります。吹き口は個人のものなので、貸し借りができない道具です。
YAMAHA ソプラノリコーダー YRS-27III ジャーマン式(小学校の定番モデル)
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YAMAHA YRS-301III|同じ式で、ひとつ上
同じヤマハの、同じジャーマン式で、ひとつ上のモデルです。
式が同じなら、指づかいはそのまま使えます。覚え直しが要りません。買い替えで音を上げたいときは、この選び方になります。
式を変えずに段を上げる。これが、リコーダーでいちばん無理のない進み方です。
YAMAHA ソプラノリコーダー YRS-301III ジャーマン式
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3. アルトに持ち替えると、式も変わります
アルトは、バロック式が中心です
ソプラノより一回り大きく、低い音の出るのがアルトリコーダーです。売り場を見ると、アルトは(E)、つまりバロック式が中心になっています。
ソプラノをジャーマン式で覚えた人が、アルトでバロック式に移ることになる。ここで一度、指を覚え直す場面が来ます。
先にアルトまで進むつもりがあるなら、ソプラノの段階でバロック式を選んでおくという手があります。1章で並べた204Aと205Aの選択は、ここにつながっています。
AULOS 509B(E) シンフォニー|アルトリコーダー
アウロスのアルトリコーダー、バロック式です。シンフォニーというシリーズ名が付いています。
トヤマ楽器の紹介文にはこうあります。「絶妙のヴォイシング、心地よい息の吹奏感が、最低音から最高音まで演奏者の微妙な息遣いを忠実に再現」。
素材はABS樹脂と、公式の仕様表に書かれています。アルトは息の量が要るので、ソプラノより体が育ってから持つ楽器でもあります。
AULOS アルトリコーダー 509B(E) シンフォニー バロック式
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AULOS 509BW 木目調(E)|仕上げの違う同型
同じ509系のアルトで、木目調の仕上げになっているものです。式はバロック式のまま。
「木目調」は仕上げの名前です。木の色と模様に寄せた見た目で、素材そのものは樹脂のままになります。商品名をそのまま読んでください。
合奏で並んだときの見え方が変わるので、そこを選ぶ人のためのものです。式も寸法も509Bと同じなので、指づかいはそのまま使えます。
AULOS アルトリコーダー 509BW 木目調(E) シンフォニー バロック式
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4. 壁の厚いところに、空洞を作ってあります
管の壁は、場所によって厚みが違います
リコーダーの管は、まっすぐな筒に見えて、場所によって壁の厚みが変わります。指で押さえる穴のまわりや、継ぎ手の部分では、どうしても厚くなる。
厚みが揃っていないと、響きにむらが出ます。そこで、厚くなってしまう部分にあらかじめ空洞を作って、肉厚をそろえるという作りがあります。
販売店の解説によれば、この空洞そのものが共鳴体としてはたらき、外気温の変化を受けにくくなり、楽器も軽くなるとされています。
継ぎ手も、二重になっています
リコーダーは、上下に分かれる継ぎ手のところで抜き差しして音の高さを微調整します。ここが緩むと、空気が漏れます。
その継ぎ手を精密な二重構造にしてあるという説明があります。長く使っても緩みや空気漏れが出ず、調整がスムーズにできる、と。
どちらも、吹いているときには見えない部分です。手に取っても分かりません。見えないところに手が掛かっているのが、この楽器の作りです。
5. 鳴らしているのは、リードではありません
息が、刃に当たって鳴ります
吹き口から入った息は、細い通り道を通って、管に開いた窓の縁へまっすぐ当たります。この縁は薄く尖っていて、刃のような形をしています。
息の流れがこの刃に当たると、管の中と外に交互に振れます。その振れが管の空気を震わせて、音になる。震える部品は、どこにもありません。
前日のハーモニカとは、鳴り方がまったく違います。あちらは金属の板が震えて鳴る楽器でした。同じ「息で鳴らす楽器」でも、仕組みが別だということです。
だから、息の通り道が命になります
震える部品が無いということは、音を決めているのが「通り道の形」だけだということでもあります。
吹き口から刃までの細い隙間、窓の大きさ、刃の角度。この形が狂うと、そのまま音になります。だから成形の精度がそのまま楽器の質になる。4章の空洞の話も、この一点につながっています。
6. 吹いたあとは、内側を通します
水気は、内側にたまります
息には水分が入っています。リコーダーは管の中を息が通るので、水気は内側にたまります。
吹き終わったら、掃除棒に布を巻いて管の中を通します。上下に分けて、それぞれ通す。とくに吹き口の細い隙間は、水がたまりやすいところです。
そこが濡れたままだと、次に吹いたときに音が出にくくなります。掃除は音のための作業でもあります。
AULOS リコーダー掃除棒|ソプラノとアルトの両方に使える
布を巻いて、管の中を通すための棒です。ソプラノ・アルト両用と表記されています。
この記事ではソプラノとアルトの両方を並べました。持ち替えても、掃除棒はこの一本で足ります。
吹き終わりの数十秒のための道具です。上の管と下の管に分けて、それぞれ通す。掃除は、次に鳴らすための作業でもあります。
AULOS リコーダー掃除棒(ソプラノ・アルト両用)
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AULOS 205A用 リコーダーケース|型番の合うものを選ぶ
機種ごとに、対応するケースが決まっています。これは205A用です。
大事なのは、乾かしてからしまうこと。濡れたまま閉じると、中に水気が残ります。掃除棒を通してから、しばらく置いて入れます。
ケースは持ち運びのためだけのものではありません。息が当たる吹き口と、抜き差しする継ぎ手。音に関わる部分が、そのままぶつけやすい場所にあります。
AULOS 205A用 リコーダーケース
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7. よくある質問(FAQ)
(G)と(E)、どちらを選べばいいですか?
いま習っている運指に合わせるのが基本です。学校で配られたものと同じ式にしておけば、教わったとおりに吹けます。先にアルトリコーダーまで進むつもりがあるなら、バロック式(E)を選んでおくという考え方もあります。アルトはバロック式が中心だからです。
式が違うと、まったく吹けないのですか?
音は出ますが、指づかいが変わります。同じ楽譜に対して押さえる指の組み合わせが違うので、覚え直しになります。買い替えのときは、いま持っているものの型番を記号まで控えていくのが確実です。
「木目調」は木製ですか?
仕上げの名前です。木の色と模様に寄せた見た目で、素材そのものは樹脂になります。アウロスのアルトリコーダーの仕様表には「ABS樹脂製」と書かれています。商品名をそのまま読んで確かめてください。
ソプラノとアルト、どちらから始めますか?
ソプラノから始めるのが一般的です。小さく、必要な息の量も少なくて済みます。アルトは一回り大きく、その分の息が要るので、体が育ってからでも遅くありません。曲集がどちらを想定しているかも見ておいてください。
吹いても音が出にくくなりました
吹き口の細い隙間に水気がたまっていることがあります。リコーダーは息が刃に当たって鳴る楽器なので、その通り道が濡れていると鳴りにくくなります。掃除棒に布を巻いて、管の中を通してください。
水で丸洗いしてもいいですか?
機種によって扱いが違うので、付いている説明書を確認してください。樹脂製は水に強い一方で、吹き口の細い隙間や継ぎ手には水が残りやすい部分です。洗ったあとは、内側まで乾かしてからしまいます。
8. まとめ:見えないところに、手が掛かっています
リコーダーの型番の末尾には、(G)か(E)が付いています。(G)はジャーマン式、(E)はバロック式。色やグレードの違いではなく、運指の体系そのものが違います。アウロスの「ロビン」は204A(G)と205A(E)で並んでいて、番号が1つ違うだけです。見た目ではほとんど区別がつきません。
アルトリコーダーはバロック式が中心なので、ソプラノをジャーマン式で覚えた人は、そこで一度指を覚え直すことになります。先を見て、ソプラノの段階で式を決めておくという選び方もできます。
管の壁は、場所によって厚みが変わります。厚くなる部分にあらかじめ空洞を作って肉厚をそろえる、という作りがあります。販売店の解説によれば、その空洞が共鳴体としてはたらき、外気温の影響を受けにくく、楽器も軽くなるとされています。継ぎ手も精密な二重構造で、緩みや空気漏れが出ないようになっています。どちらも、吹いているときには見えない部分です。
リコーダーには、震える部品がありません。息が刃に当たって鳴る楽器です。だから音を決めているのは、通り道の形だけ。吹き口から刃までの隙間、窓の大きさ、刃の角度。形が狂えば、そのまま音になります。
吹き終わったら、掃除棒で内側を通す。それだけで長く使えます。型番の記号を読むところから、この楽器の選び方は始まります。