思考を止めない。クリエイティブを加速させる「日本の道具」。

なぜ、デジタル全盛の時代に、日本の文房具が世界中で爆買いされているのか?
それは、0.01ミリのインクの出方にこだわり、紙の滑り具合を研究し尽くした「変態的(褒め言葉)」なクラフトマンシップがあるからです。
思考をそのまま紙に写し取る万年筆、ストレスをゼロにするハサミ、触れるだけでインスピレーションが湧くノート。
ここでは、仕事の相棒として、そして大切な人へのギフトとして選びたい、日本が誇るステーショナリーを特集します。

文具・ステーショナリーの選び方と基礎知識

【ノート・紙】 一度書いたら戻れない「紙沼」へようこそ

日本の製紙技術は、ただ「書ければいい」のレベルを遥かに超えています。
・トモエリバー(Tomoe River):
「ほぼ日手帳」で有名な超軽量紙。辞書のように薄いのに、万年筆のインクが裏抜けせず、ペンの走りが驚くほど滑らか。世界中の手帳ファンが指名買いする奇跡の紙です。
・MD用紙(MD Paper):
「書くこと」だけを考えて開発されたクリーム色の紙。インクを程よく吸い込み、ペン先が紙を走る「カツカツ」という心地よい音が、書くリズムを整えます。
・飾り原稿用紙:
作家気分を味わえる、デザインされた原稿用紙。インクの濃淡(揺らぎ)を楽しむために計算された紙質は、万年筆インクの沼にハマった人への最高のギフトです。


【万年筆】 漢字を美しく書くための「三大メーカー」

海外製の万年筆はアルファベット(横文字)用ですが、日本の万年筆は「トメ・ハネ・ハライ」を美しく表現するために設計されています。
・PILOT(パイロット):
世界一の技術力を誇る「キャップレス」万年筆は、ノック式ですぐに書ける発明品。ペン先の弾力が絶妙で、日本語が一番書きやすいと言われます。
・Sailor(セーラー):
職人が手作業で研ぎ出すペン先は、紙に吸い付くような独特の摩擦感(サリサリ感)があり、「書いている」という実感を強く与えてくれます。
・Platinum(プラチナ):
「スリップシール機構」により、2年間放置してもインクが乾かない特許技術を持っています。「久しぶりに使おうとしたら書けない」という万年筆の最大の弱点を克服しました。


【ボールペン】 世界を変えた「低粘度油性インク」

日本のお土産として最も喜ばれるのが、実は「150円のボールペン」です。
・ジェットストリーム(三菱鉛筆):
「クセになる、なめらかな書き味。」のキャッチコピー通り、油性ボールペンの常識を覆した低粘度インク。力を入れなくてもスルスル書けるため、長時間書いても手が疲れません。
・フリクション(PILOT):
「こすると消える」ボールペン。温度変化で無色になるインク技術は、日本の化学技術の結晶です。ビジネスの現場を変えた革命的なペンです。


【ハサミ・刃物】 関の孫六のDNA

岐阜県関市の刃物技術は、文具にも生きています。
・ベルヌーイカーブ刃:
刃をカーブさせることで、根元でも刃先でも常に最適な角度(30度)で切れるハサミ。ダンボールも牛乳パックも、軽い力でサクサク切れます。
・ベタつかない加工:
フッ素コートや3Dグルーレス構造により、ガムテープを切っても刃に糊がつきません。「切れないストレス」を過去のものにします。


文具を長く使うためのQ&A

Q. 左利きでも使いやすいペンは?
A. 日本の「エナージェル(ぺんてる)」や「サラサ(ZEBRA)」などの速乾性ゲルインクが最強です。書いた瞬間に乾くので、左手で文字を擦って汚してしまうストレスから解放されます。

Q. 万年筆のインクが詰まってしまいました。
A. 焦らなくて大丈夫です。コップにぬるま湯(または水)を入れ、ペン先を一晩つけておくだけで、固まったインクが溶け出します。大切なのは「毎日少しでも書くこと」。それが一番のメンテナンスです。

Q. ギフトに万年筆を贈りたいのですが。
A. 最初の1本なら、扱いやすい「カートリッジ式」で、ペン先の太さは汎用性の高い「F(細字)」か「FM(中細)」がおすすめです。日本メーカーのものは個体差が少なく、誰が使っても書きやすいので安心して贈れます。