事業者・ブランド紹介

伊吹島プロジェクト

伊吹島「釜揚げいりこ」を全国に広め、漁師の生業と島の暮らしを未来へつなぐ。

伊吹島プロジェクトは、香川県観音寺市・伊吹島のいりこ漁の網元と地元食品加工業者たちが立ち上げたプロジェクトです。讃岐うどんの出汁を支えてきた「伊吹いりこ」の産地から、これまで島でしか食べられなかった新食材「釜揚げいりこ」を全国へ。瀬戸内海・燧灘(ひうちなだ)の漁場から30分圏内にある加工場で、漁獲から蒸煮乾燥までを一貫生産する技と知恵を活かし、魚を無駄なく、おいしく食べ切ることを使命として活動しています。

〒768-0011 香川県観音寺市植田町1618-1 いぶきじまぷろじぇくと
伊吹島プロジェクト

PROFILE 企業・工房について

香川県観音寺港の沖約10km、周囲約5〜6kmの小さな島・伊吹島。瀬戸内海・燧灘に浮かぶこの島は、古くから「伊吹いりこ」のふるさととして知られてきました。カタクチイワシを煮て干した煮干しは、讃岐うどんの出汁に欠かせない存在。伊吹島では、網元が自らの漁船でイワシを漁獲し、すぐさま自前の加工場(イリバ)に運び込んで煮干しに仕上げるという、一貫生産の仕組みが長年受け継がれてきました。昭和の最盛期には、伊吹いりこの売上げが日本一を記録したといわれるほどです。

しかし近年、漁獲量の減少や魚価の低迷により、全盛期に27軒あったいりこ漁の網元は、およそ15軒にまで減少。島の生業である漁業の先行きとともに、伊吹いりこ文化の行方にも危機感が高まっていました。さらに、伊吹いりこの原料にならない「脂イワシ」が、加工工程の特性上、飼料や廃棄にならざるを得ないという課題もありました。

こうした状況のなか、「讃岐うどんの出汁が、伊吹いりこではなくなる日を迎えてはならない」「島の漁業と暮らしを次の世代につなぎたい」という想いから、いりこ漁の網元と地元加工業者たち13人が集まり、令和2年に立ち上げたのが「伊吹島プロジェクト」です。「島のすべては、漁業からはじまっています。」という言葉のとおり、漁業を軸に島の未来を描くことを目指しています。

伊吹島プロジェクトが生み出した代表的な商品が、脂イワシを活用した新食材「釜揚げいりこ」。水揚げしてすぐの新鮮なイワシを塩茹でし、ふっくらとした食感と濃いうま味を引き出した逸品で、これまで島内でしか味わえなかった漁師料理を全国へ届けることを可能にしました。最近では、電子レンジで箱ごと温めるだけでできたての味が楽しめる「箱ごとレンチン釜揚げいりこ」など、現代の暮らしに寄り添う商品も登場しています。

オンラインショップや産直サイト、ふるさと納税、イベント出店などを通じて商品を届ける一方で、瀬戸内国際芸術祭を契機とした島の文化・アートの発信、「伊吹えびす」など信仰と暮らしが結びついた島のストーリー紹介、オンライン授業などの教育活動にも積極的に取り組む伊吹島プロジェクト。瀬戸内の小さな島から、魚食の未来と地方の漁業のあり方を問いかける挑戦は、今日も続いています。

讃岐うどんの「命」を支える、伊吹いりこの島から生まれたプロジェクト

瀬戸内海・燧灘のほぼ中央、観音寺港の西約10kmに浮かぶ香川県最西端の島・伊吹島。ここは、讃岐うどんの出汁に欠かせない高級煮干し「伊吹いりこ」の一大産地として知られています。漁場から加工場(イリバ)までの距離が近く、漁獲から30分以内に煮沸・乾燥まで行う一貫体制が、雑味のない上品な出汁を生む秘訣です。その伊吹島で、いりこ漁の網元と加工業者たちが島の漁業と文化を未来へつなぐために立ち上げたのが「伊吹島プロジェクト」です。

「脂イワシ」を活かした、新しい島の名物「釜揚げいりこ」

伊吹島の名産「伊吹いりこ」に向かない、脂の多いカタクチイワシ——通称「脂イワシ」。従来は乾燥工程で脂が酸化しやすく、飼料や廃棄になってしまうこともありました。伊吹島プロジェクトは、この脂イワシを“煮干しにしない”という逆転の発想で「釜揚げいりこ」へと加工。水揚げ後すぐに塩茹ですることで、ふっくらやわらかく、骨ごと食べられる新食材として生まれ変わらせました。魚を無駄なくおいしく食べ切る、サステナブルな取り組みです。

漁獲から加工まで一気通貫。伊吹島15網元の共同ブランド

伊吹島では「パッチ網漁」と呼ばれる漁法でイワシを漁獲。魚群を探す探知船、網を引く2隻の漁船、そして時速約60kmで加工場へと魚を運ぶ高速運搬船の4隻が連携し、漁獲から加工場までの時間を極力短く抑えています。伊吹島プロジェクトは、いりこ漁の網元と地元加工業者たち13名が中心となり、漁獲から加工、商品開発、情報発信までを一体となって行う共同ブランド。島全体の生業を支える仕組みづくりに取り組んでいます。

「伊吹えびす」と生活・信仰が息づく、漁業の島の物語を伝える

伊吹島は、漁畜高がそのまま島の暮らしに直結する「漁業の島」です。そのため、漁の安全と豊漁を祈る「伊吹えびす」の信仰が今も島の日常と密接に結びついています。伊吹島プロジェクトでは、商品を届けるだけでなく、伊吹島七浦七えびすや島四国、お遍路のお接待文化など、島に連綿と続く文化や信仰も含めて「伊吹島の物語」を伝える活動を展開。瀬戸内国際芸術祭で伊吹島を訪れた人々や、煮干し・出汁文化が好きな人たちと島をつなぐハブの役割も担っています。

オンライン授業やイベントを通じて、魚食と漁業の未来を考える

伊吹島プロジェクトは、生産と販売だけでなく、全国の小学校とオンラインでつなぐ「魚食授業」や、都市部の魚屋とのコラボイベントなども積極的に展開しています。釜揚げいりこの試食会やワークショップを通じて、「魚を丸ごと食べることの大切さ」や「島の漁業の現状・魅力」を発信。食卓から漁業の未来を考えるきっかけづくりにも力を入れています。