事業者・ブランド紹介

ぬし熊

創業明治二十年。尾鷲ヒノキと天然漆で仕上げる、全四十五工程「尾鷲わっぱ」の一子相伝工房。

三重県尾鷲市向井で「尾鷲わっぱ」の漆器製造販売を行う『ぬし熊』。明治二十年に初代・熊市が創業して以来、100年以上にわたって受け継がれてきた伝統技法を守りながら、四代目ぬし熊が木地づくりから漆塗りまで全四十五工程を一人の手で仕上げています。素材には、木目が細かく美しい尾鷲産ヒノキの中でも厳選した上質な部分だけを使用し、塗りには混ざり物のない天然本漆を採用。科学的材料を一切使わずに作られる尾鷲わっぱは、炊きたてご飯の美味しさを引き出すお櫃や弁当箱、マグカップなど、使うほどに艶を増し、親から子へと受け継がれる「100年使えるうつわ」として多くの人に愛されています。

〒519-3625 三重県尾鷲市向井493-15 ぬしくま
ぬし熊

PROFILE 企業・工房について

明治二十年、初代・熊市によって三重県尾鷲市向井に創業した『ぬし熊』。山で働く人々の弁当箱として愛されてきた「尾鷲わっぱ」を手がける工房として、妥協のないものづくりを続けてきました。尾鷲の厳しい自然が育んだヒノキは木目が細かく美しく、柱材としても使われるほど丈夫。その中からさらに厳選された部分だけを使い、一つひとつ丁寧に削り、曲げ、桜の樹皮で綴じ、何度も漆を摺り込むことで独特の艶と風合いを生み出します。

尾鷲わっぱは、親から子へと受け継がれ、100年も使用できるほど丈夫だと言われています。人工素材にはない「温もり」と「愛情」を感じさせるのは、天然木と漆という自然素材だけで構成されているからこそ。山仕事の合間にわっぱ弁当を広げてひとときの安らぎを楽しんだ昔の人々と同じように、現代の暮らしの中でも、ご飯をよそい、汁物を注ぎ、手に取るたびに心が和む道具として活躍しています。

四代目ぬし熊は伝統の技を守りながらも、「レンジ対応お櫃」をはじめとした新しい漆器づくりにも挑戦しています。炊きたてのご飯をお櫃に移し、そのまま電子レンジで温め直しても変形しないか、2年間にわたる自宅での実験を経て自信を持って送り出した製品は、現代の暮らしに寄り添った尾鷲わっぱとして好評を得ています。

また、尾鷲わっぱの製造だけでなく、古い漆器の修繕・メンテナンスにも力を入れています。使い込んで漆がはげてきたお櫃や弁当箱も、塗り直しを施すことで再び食卓の主役として活躍できるように。手間と時間がかかるからこそ、大量生産はできないけれど、一つひとつに心を込めて、長く寄り添える道具を作り続ける――それがぬし熊のものづくりの根底にある想いです。

明治二十年創業、尾鷲わっぱ一筋の工房

ぬし熊は、明治二十年に初代・熊市が創業して以来、「尾鷲わっぱ」を専門に作り続けてきた工房です。山で働く人々の弁当箱として親しまれてきたわっぱを原点に、暮らしの変化に合わせたお櫃や弁当箱を生み出しながらも、全四十五工程を守り抜く姿勢は変わりません。現在は四代目ぬし熊がその技を継承し、注文が1年待ちになるほど全国から支持を集めています。

尾鷲ヒノキと天然本漆、FSC認証材へのこだわり

古くから良質なヒノキの産地として知られる尾鷲地方。その中でも木目の細かい美しい部分だけを厳選し、強度と美しさを兼ね備えた素材として使用しています。さらに、責任ある森林管理が行われたFSC認証木材を採用。塗りには混ざり物のない天然本漆だけを用い、殺菌作用や耐久性にも優れた、環境にも人にもやさしい尾鷲わっぱを実現しています。

全四十五工程を一人の職人が仕上げる尾鷲わっぱ

厳選された尾鷲ヒノキを削り出し、曲げ、桜の樹皮で綴じ、何度も漆を摺り込む――尾鷲わっぱの製作には、木地づくりから塗りの仕上げまで四十五もの工程があります。ぬし熊では、四代目がそのすべてを手作業で担当。一つのわっぱが完成するまでに1ヶ月以上を要することも珍しくありませんが、その分だけ手にしたときの存在感と、使い込むほどに深まる艶が違います。

レンジ対応お櫃という、新しい尾鷲わっぱのかたち

「お櫃のまま電子レンジで温められたら」という思いから生まれた、ぬし熊オリジナルのレンジ対応お櫃。天然本漆は熱に強いという特性に着目し、同じお櫃で2年間毎日レンジテストを繰り返したうえで商品化されました。炊きたてのようにふっくら温かいご飯が楽しめるだけでなく、樹と漆が持つ調湿性・殺菌性が、ご飯の美味しさをしっかりと支えてくれます。

修繕・メンテナンスで「100年使えるうつわ」に

漆器は使い込むうちに漆がすり減り、白木が見えてくることもありますが、ぬし熊では尾鷲わっぱはもちろん、神楽・山車・仏壇など、さまざまな塗り物の修繕にも対応しています。塗り直しや補修を行うことで、親から子へ、さらに孫世代へと受け継いでいける――そんな「100年使えるうつわ」としての在り方も、ぬし熊が大切にしている価値です。