事業者・ブランド紹介

伊勢形紙協同組合

千年の文様を、いまの暮らしへ。三重・鈴鹿から発信する「伊勢型紙」のものづくり。

伊勢型紙は、友禅・小紋・ゆかたなどの生地を染めるために使われてきた、日本を代表する染色用の型紙です。美濃和紙を柿渋で貼り合わせて作る「型地紙」に、職人が小刀や錐で文様を彫り抜くことで生まれる精緻な世界は、千年以上の歴史を持つ伝統的工芸品(用具)として、今も三重県鈴鹿市で受け継がれています。伊勢形紙協同組合は、その技と文化を未来につなぐため、染色用の型紙だけにとどまらず、インテリアや雑貨、ワークショップやオンライン講座など、暮らしの中で伊勢型紙に出会える場を幅広く提案しています。

〒510-0254 三重県鈴鹿市寺家3-10-1(鈴鹿市伝統産業会館内) いせかたがみ きょうどうくみあい
伊勢形紙協同組合

PROFILE 企業・工房について

伊勢型紙は、室町時代にはすでに型紙業があったとされ、江戸時代には紀州藩の保護を受けながら、武士の裃や町人の小紋、ゆかた地など全国の染屋を支える存在として発展してきました。白子の地で育まれた型地紙の技と、型彫り職人の高度な技術が組み合わさることで、細かな小紋柄や多色使いの友禅といった、日本独自の染色文化が花開いていきます。

昭和57年には、「伊勢型紙地紙製造組合」「日本注染型紙協同組合」「伊勢染型紙販売組合」を束ねるかたちで伊勢形紙協同組合が設立され、産地全体の技術継承と活性化を担う存在となりました。現在は15の会員が所属し、伝統的工芸品産業振興会の事業や教育機関での体験授業、各地イベントへの参加など、さまざまな活動を通じて伊勢型紙の魅力を発信しています。

伊勢形紙協同組合に所属する職人は「型匠」と呼ばれ、オリジナル染型やワンポイント柄、体験用の型、インテリアや建築向けの意匠など、多彩なオーダーに対応しています。窓やパーテーションに型紙を挟み込んだ仕切りパネル、商業施設の装飾、企業のノベルティグッズなど、伝統文様を活かした空間演出やプロダクトの事例も増えています。

三重県鈴鹿市寺家にある鈴鹿市伝統産業会館では、伊勢型紙や鈴鹿墨の展示、実演、ワークショップなどを通じて、現地でしか味わえない空気や音、手触りを体験できます。一方で、公式サイトやオンラインショップ、バーチャルツアー、SNSを通じて、遠方からでも伊勢型紙の世界に触れられるコンテンツを提供。地域とオンラインをつなぎながら、「伊勢型紙っていいね、使ってみたいね」と感じてもらえるものづくりと情報発信を続けています。

国指定「伝統的工芸品(用具)」――千年続く伊勢型紙の産地

伊勢型紙は、友禅や小紋、ゆかたなどの柄を染めるために使われてきた染型紙で、その歴史は千年以上ともいわれます。美濃和紙を柿渋で貼り合わせて作る強靭な型地紙に、緻密な文様を彫り抜く高度な技術が評価され、1983年には国の伝統的工芸品(用具)に指定されました。三重県鈴鹿市は、その一大産地として今も全国の染屋や作家を支えています。

型地紙づくりから彫刻まで――職人技が宿る一枚の「型」

伊勢型紙の制作は、200〜500枚もの美濃和紙を規格寸法に裁断し、タテ・ヨコ・タテと三枚を柿渋で貼り合わせてベニヤ状に仕立てる「型地紙」づくりから始まります。天日干しと燻煙を繰り返すことで、強く伸縮しにくい紙に仕上げ、その上に錐彫り・突彫り・道具彫り・縞彫りといった技法で文様を彫り抜くことで、図案が立体的な「型」として立ち上がります。

着物からインテリア・雑貨まで――暮らしを彩る伊勢型紙プロダクト

伊勢形紙協同組合では、着物の染型に加えて、御朱印帳や和紙雑貨、アクセサリー、クリアファイル、インテリアパネルなど、現代の暮らしに取り入れやすい伊勢型紙プロダクトを多数展開。オンラインショップでは伝統文様の販売用染型のほか、衣・食・住・楽の切り口で、日常に溶け込む「伊勢型紙の商品」を紹介しています。

体験・ワークショップ・バーチャルツアーで「使って・学べる」

鈴鹿市伝統産業会館での実演や体験教室、オンラインワークショップ、バーチャルツアー、動画コンテンツ「ISEKATAチャンネル」などを通じて、「見て終わり」ではない学びの場を用意。ポケモン「ミジュマル」とのコラボワークショップや、伊勢型紙フェスタ、東京展などのイベントを通じて、次世代へ技と魅力を伝え続けています。