事業者・ブランド紹介

シマタニ昇龍工房 -Shimatani Syouryu Studio-

鍛金のおりんと、折り紙のようにしなやかな「すずがみ」。

syouryu(シマタニ昇龍工房)は、高岡銅器の産地・富山県高岡市に工房を構える、おりん(仏具の「りん」)専門の鍛金工房です。江戸時代から受け継がれる鍛金技法をもとに、明治42年(1909年)に初代・島谷和吉が創業して以来、一点一点金鎚で打ち出し、焼きなましと叩きを幾度も繰り返しながら、澄んだ響きを持つおりんを制作してきました。近年は自社ブランド「syouryu」による、紙のように薄く、何度でも折り曲げられる錫の器「すずがみ」を開発。受け継がれた金属加工の技術を、寺院の祈りの場から、日々の食卓や暮らしのシーンへと広げています。

〒933-0847 富山県高岡市千石町4-2 しまたにしょうりゅうこうぼう
シマタニ昇龍工房 -Shimatani Syouryu Studio-

PROFILE 企業・工房について

syouryu(シマタニ昇龍工房)が工房を構える富山県高岡市は、北に日本海、南に立山連峰を望む城下町として約400年前に開かれ、鋳物職人が招かれたことをきっかけに「高岡銅器」の産地として発展してきました。鍋や釜、農具、武具、仏具など、暮らしと祈りを支える金属製品をつくり続けてきた土地柄の中で、おりんづくりの工房として歴史を刻んできました。

工房のルーツは江戸時代にまでさかのぼり、鍛金によるおりん制作の技を本家から受け継いだ初代・島谷和吉が、明治42年(1909年)に現在のシマタニ昇龍工房を創業しました。黄銅板を金鎚で絞り、焼きなましを繰り返しながら形をととのえ、最後に調音によって響きを仕上げるという、シンプルでありながら高度な鍛金技法は、世代を超えて受け継がれています。

二代目・三代目の昇龍は、経済産業大臣指定「伝統工芸品 高岡銅器」の伝統工芸士認定を受け、日本伝統工芸士会功労賞、高岡市伝統産業技術保持者指定、「現代の名工」など、多くの表彰を通してその技術と功績が評価されてきました。こうした評価は、単なる名誉ではなく、日々の鍛金と調音に向き合う姿勢そのものの積み重ねでもあります。

現在は四代目・島谷好徳が工房を率い、先代から受け継いだおりんの制作に加えて、新たな表現にも挑戦しています。2013年には日用品ブランド「syouryu」を立ち上げ、鍛金技術を日常のテーブルウェアに生かした「すずがみ」を開発。折り紙のように折り曲げて形を変えられるこの錫の器は、国内外のショップやギャラリーでも取り扱われ、ギフトアイテムとしても高く評価されています。

おりんは仏具であると同時に、音によって場と心をととのえる道具でもあります。工房では寺院向けの本格的なおりんから、現代の暮らしに溶け込むシンプルなデザインの一般向けおりんまで、用途に合わせたさまざまなシリーズを展開。さらに、工房見学やすずがみ鍛金体験を通じて、音と金属、そして手仕事の関係性を伝え続けています。

高岡銅器の産地で育まれた、おりん専門の鍛金工房

syouryu(シマタニ昇龍工房)は、約400年の歴史を持つ高岡銅器の産地・富山県高岡市で、おりん(仏具の「りん」)を専門に制作してきた鍛金工房です。黄銅板を叩き出し、何度も焼きなましながら形と厚みを整え、最後は音色が整うまで丹念に調律を行うことで、深く澄んだ響きを持つおりんを生み出しています。

明治42年創業、四代にわたって受け継がれる鍛金と調音の技

工房のルーツは江戸時代にさかのぼり、明治42年(1909年)に初代・島谷和吉が鍛金によるおりん制作を本家から受け継ぎ創業しました。その後、二代目・三代目・四代目へと技術が引き継がれ、経済産業大臣指定「伝統工芸品 高岡銅器」の伝統工芸士の認定や、卓越した技能者(現代の名工)表彰など、数々の栄誉を受けながら、今日も手仕事によるおりんづくりを続けています。

一期一音──「甲・乙・聞」の三つの響きで整えるおりんの世界

syouryuのおりんは「一期一音」というコンセプトのもと、「甲・乙・聞(かん・おつ・もん)」と呼ばれる三つの音の波紋のバランスを大切にして作られます。一点を叩きながら周囲の響きを聴き分け、表面の張りや厚みを微細に調整し続けることで、ゆったりとしたうねりと余韻を持つ、心を落ち着かせる音色が生まれます。

自社ブランド「syouryu」が生んだ、折り紙のように曲がる錫の器「すずがみ」

2013年、工房は日用品ブランド「syouryu」を立ち上げ、100%錫の器「すずがみ」を独自に開発。板状の錫を何度も圧延し、リズミカルに鎚目を打ち込むことで、紙のように薄く、何度でも折り曲げられる不思議な器が誕生しました。雪片や雨粒を思わせる「かざはな」「さみだれ」「あられ」などの模様は、ハンマーの跡そのものが模様になる、鍛金ならではの表現です。

工房見学・すずがみ鍛金体験で、職人の技と響きを身近に

工房では、おりんの製造現場を見学したり、職人の指導のもと「すずがみ」を自ら金鎚で叩いて仕上げる鍛金体験も行っています。寺院で使われるおりんの音に耳を傾けつつ、金属が器や音へと変わっていくプロセスにふれることで、「道具の向こうにいる職人」の存在をより近くに感じられる時間が広がります。